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まほうのえのぐ

「えのぐのじかん」などで子どもたち(幼児)と楽しんでいる、色に関する絵本を紹介します。

1冊目はこちら「まほうのえのぐ」

ちいさな女の子が初めて「えのぐ」を使っていると、虫や動物たちが寄ってきて,,,というお話し。
作者は林明子さんなので、ご存じの方もたくさんいらっしゃると思います。

「じぶんらしさ」へのながれ

うまいか、へたか、という価値観を避けてくれているのは、まぁ当たり前なんですが、この本のいいところは主人公の気持ちの移ろいに沿って流れる時間の豊かさかだと思います。
失敗しちゃったり、焦ったりしつつ、
動物たちが「それぞれ、じぶんらしく描く姿」と出会って、楽しむことへ立ち返っていく姿はとても自然でやわらかいです。

「表現」の「日常性」

ここからは少し話が広がります。

「自分らしさ」とか「表現」とかを扱っているもので「過剰性」に違和感を持つ事があります。ハイテンションだったり、妙に押し出しが強かったりというのに、お腹いっぱいに感じてしまうというか、、、
そういう姿を否定はしませんが、そういう人は一部なので残念に思います。本来「自分らしく」というのは、テンションが高い人でも低い人でも、無理をせずいられる姿であって、無理矢理に絞り出さなくてもにじみ出るものです。

同様に「自己表現」の尊さを強調したいために、とにかく出せばOKというか「はじけている」のが善という価値観も、お腹いっぱいになってしまいます。僕はふだん幼児さんと過ごしていて、嬉しくて楽しくて、興奮してヒートアップするシーンでは、少し水を差してクールダウンする方向で働きかけます。自分の楽しさに振り回されているので、周りが見えないし味わえていないからです。

これらの「表現の過剰性」ではなく「表現の日常性」を豊かにできたらいいなという姿勢で子どもたちの前に立っています。
そういう視点からも、この「まほうのえのぐ」は、日常性と非日常性のバランスが、とても心地よいのです。

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