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新米ガイド、肉離れで猛反省

全国通訳案内士合格〜今日まで

2022年2月    全国通訳案内士(英語)合格
2022年2月〜   通訳案内士のための研修を様々受ける
2022年4月〜   東京都観光ボランティアに所属
2023年3月    東京都立高等学校の教員(非常勤教諭)を退職
2023年4月    全国通訳案内士(英語)としてデビュー
2023年4月〜6月 FIT( Foreign Independent Tour)のお客様対象に、
                                           東京都内プライベートツアーを行う
2023年6月〜   寿司体験講師、築地食べ歩き、上野食べ歩き、
           相撲朝稽古など、日本文化体験ツアーも始め、
           自分の方向性を模索し始める
2023年9月    フードツアー、人形町・日本橋ツアー、
           FIT東京都内プライベートツアーを請け負う
2023年10月   ようやくガイドとして、自分なりのペースを掴んだ
           つもりになる
2023年10月末  右脚ふくらはぎ肉離れのため、入っていた仕事を
           キャンセル         

秋までの自分を振り返ってみる

2022年2月、全国通訳案内士(英語)に合格するも、コロナ禍で日本の観光業界は、ほぼ鎖国状態。合格後1年間は教員の仕事をしながら、週末に様々な研修を受けた。更に研修に重点を置くため、2023年3月末で退職。退職後1年間はガイド修行に専念するつもりだったが、コロナによる入国規制が撤廃され、観光客が戻って来た。特に3月以降は、花見のシーズンということもあってガイドの需要が急激に高まったので、思い切ってデビューしてみた。

最初の2ヶ月間は、ガイドとして働けるのが嬉しくて、疲れを感じる暇もなく駆け回っていた。ガイドの仕事が入っていない日は、訪問先の下調べで徹夜をしたり、下見のために一日中都内を歩き回る日々だった。元々歩くのは大好きだったし、何より外国からのお客様を案内して喜んでいただけるのが嬉しかった。

桜のシーズンはあっという間に過ぎ、お客様と共に躑躅、杜若、菖蒲、紫陽花と綺麗な花を追いかける日々が終わる頃、訪問先があらかじめ設定されているツアーも経験したいと思うようになった。1つのツアーに習熟することで、自分のスキルが高められ、カスタムツアーにも活かされると思ったからである。そんな頃、以前履歴書を送っておいたフードツアーの会社からコンタクトがあり、上野界隈で食べ歩きのツアーを請け負うことになった。同時に寿司体験の講師や築地食べ歩きツアーなど、日本食に関連するツアーに重点を置くようになっていった。

閑散期となる夏には、仕事を休んで座学と実地の勉強をし直しつつ、少し体を休めようと考えていた。3月末の退職以来、ずっと働き通しで体を休める時間がなかったし、自分の勉強不足も痛感していたからである。しかし今年の夏は、猛暑にも関わらず日本を訪れる観光客数は減ることはなかった。それで完全に休むことは諦めたが、自分の体力を考慮して半日コースのフードツアーを中心に活動した。また、先輩ガイドのツアーにアシスタントとして参加し、画像や表などの資料を用いて効果的にガイドする場面も見せていただいた。そこで、旅程に合わせて日本の文化や歴史を視覚的に分かりやすく提示できるよう資料作りにも取り組んだ。

そして迎えた秋。今年の秋の訪れは遅かったが、10月も中旬を過ぎて暑さも和らいできた頃、心身ともに余裕を持ってガイディングができるようになってきた。フードツアーに加えて、人形町・日本橋の老舗を巡るツアーも始めた。このツアーでは、江戸から東京への歴史や江戸時代からの伝統文化等に触れながらガイドをすることが求められる。学ばなければならない面もたくさんあるが、とてもやりがいがある。何より私は人形町という街が大好きなのである。5つ星レビューをいただくのも楽しみになってきた。

そして今…

そんな時である。ただ普通に道を歩いていて、軽くジャンプをしただけだったのに右のふくらはぎに激痛が走った。最初は足が攣っただけだと思ったが、あまりにも痛いので整形外科で診てもらうと「典型的な肉離れです。よほど脚が疲れていたのでしょう。」とのこと。法事があって帰省し、翌日のツアーのためにトンボ帰りするところだった。当たり前のことだが、歩けなくてはガイドはできない。実家から移動することができなくなり、当面入っていた仕事は全てキャンセルする事態となった。その結果、お客様、旅行会社、ツアーを代行してくださったガイド仲間の皆様に、大変なご迷惑をおかけしてしまった。

松葉杖さえあれば、とりあえず歩くことはできるだろうから、ガイドは無理でも研修には参加できるだろうとタカを括っていた。しかし、それも大変な思い違いだった。胸や腕の筋肉も衰えていて、松葉杖があっても体を支えて歩くことが困難になっていたのだ。イメージの中の自分とリアルな自分との間にかなりの年齢差があることに、ようやく気づいた瞬間だった。

数ヶ月前までは、教員として組織で働いていた。休暇は取りづらかったが、怪我や病気の時には有給休暇を使わせていただくことができた。そのせいか、つい無理を重ねる癖がついてしまっていた。フリーランスとしての心構えが十分にできていなかったのである。今まで以上に自分の体の状態に気を配り、常にベストな状態でガイドができるようにしなければならないのに、それができていなかった。

今後の自分

あと1〜2週間はガイドに復帰できそうにない。ガイドができなくなってみて改めて私はこの仕事が大好きなんだと気づいた。フリーランスとして責任を持って仕事を遂行していくためには、常に体調を万全に整えておかなければならない。私の場合、還暦を過ぎてからの転職である。若い人たちのように無理は効かない。無理をすれば、今回のようにお客様や周囲に迷惑をかけてしまう。コロナ禍以降サボっていたジム通いの再開も視野に入れて、自分の体のメンテナンスについてもっと真剣に取り組んでいこう。

また、私のように定年退職後に転職をした場合、自分のライフステージの中で仕事をどのように位置付けるのかも明確にする必要がある。インバウンドが復活した勢いに乗じてスタートしてしまったため、この点について十分考える時間がなかった。

子供達が独立し、愛犬も旅立ってしまった今、私はある意味とても自由である。平均的な健康寿命を謳歌できると考えれば、あと10年は元気に動き回れることになる。その間、ガイド中心の生活を送るのか、プライベートの旅行や家族や友人との時間を大切にしていくのか、あるいはトータルで考えてバランスをとっていくのか、少し立ち止まって考える時なのかもしれない。10年なんてあっという間だ。体が動かなくなって、気づいてみればやり残したことが山積みになっている…。そうならないように、肉離れの足をさすりながら、今後の人生について少し考えてみよう。


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