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三重の書家が東京のクイズ番組に出た話④

前回のあらすじ
ひょんなことが重なってクイズ番組に1年間(早押しを見るために)出ることにした。

さて、1年間99人の壁に出場にするにあたって、私は自分にルールを課した。

① 出場は月一回まで
② 会場で初回の人に話しかける
③ 東京の美術館・博物館に行く

良く聞かれるのだが、99人の壁は交通費はでない。出演料も無い。解答できた人だけが賞金を貰えるシンプルな環境だ。
なので金銭的に月一が限界だった。
往復は基本新幹線。意外と遠方の出演者は新幹線が多い。夜行バスだと頭が働かなくて早押しに影響するからだ。
私は単純に体が弱く夜行バスを使うとすぐ体を壊すため新幹線だった。

とは言っても近年の夜行バスは高級化も進んでいて、帰りに高級夜行バスを使うこともあった。半個室のようになっていたりもするので、一度体験してみるのも面白いかもしれない。

ある時新幹線で英字新聞を読んでいる初老の方が隣だったことがある。話しかけてみると京都の介護系の大学教授であった。
そこから発達障害や手足の不自由な人と筆ペンの親和性についてまるっと1時間半お話しした。
実に有意義な一時だった。

会場での声かけは単純に初回の辛さの反省からだ。
1年間、会場で1人でずっと座っている人、初めてらしき人には声をかけまくった。
内容は何てこと無い天気やら出身やらジャンルやら当たり障りの無いことばかりだった。

壁に出ている人は基本好奇心が旺盛だ。
そして博識だ。
なので、どんな話題でも盛り上がれる。それこそ年齢性別に関係なく、誰とでも話が弾むのがとても良い。
これから壁に出られる方はぜひ色んな人と話をしてみて貰いたい。
壁は実は控え室が一番楽しい。

好奇心が旺盛なので、初めてでも収録が終わる頃には色んな人と話が弾み、次回からはたくさんの人と仲よくしているのも参加者の特徴である。

3つ目の美術館・博物館行脚。
東京に住んでいる人は分からないかもしれないが、地方に比べて美術館・博物館の比率がまるで違うのが東京である。
大阪や京都ですら比べ物にならないぐらい乱立している。
巡回展も『東京+どこかの地方1つ』なんてザラだ。
なので見たかった美術館や博物館を片っ端から回った。お腹いっぱい回った。多分人生で一番贅沢な一年だったと思う。

とそんな風に1年を満喫して過ごした。
途中、書道の仕事や表彰式とダブったりして4ヶ月ほど出なかった時もあった。
日展の前夜祭に出て、オープニングセレモニーに出て、99人の壁に出てから三重に帰ったりした時もあった。

なかなか普通では体験できない時間を1年間も持てた事を、感謝するばかりである。

⑤へつづく!!

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