樋口 鼎乎

三重県在住。書家。 字の上手さと人格は別と思っているので道はいりません。 インスタ→…

樋口 鼎乎

三重県在住。書家。 字の上手さと人格は別と思っているので道はいりません。 インスタ→http://www.Instagram.com/teika_h/ ツイッター→http://www.twitter.com/teika_higuchi/

最近の記事

一日一書一画⑥

皆様いかがお過ごしでしょうか。 私は今鈴鹿墨のイエローで作品を創っているところです。 近いうちに撮影があるそうなのですが、まぁ、時世柄『撮影がある』ということしかわかりません。 そういえば臨と創の違いを説明していませんでしたね。最初にすべきなのに全く気がつかず……。 臨とは臨書。古典の作品を模写することをさします。どこまで正確に再現できるかが大事です。書道の古典は石碑など形式が違うことが多いので、再現度と文字の瑞々しさが問われます。 創とは創作です。歴史上多くの作家がオ

    • 一日一書一画⑤

      さて、皆様いかがお過ごしでしょうか。 私は有り余った時間で印刀を数十本研いだら腱鞘炎になり、2ヶ月箸を持つのも激痛を伴う生活をしていました。 何事もほどほどが大事ですね。 では、はりきってまいりましょう!! 21画「竈」(臨) 1082年・蘇軾・黄州寒食詩巻・行書。 黄州へ左遷された苦しい生活を書いた作品です。 その辛さをも凌ぐ強く太い線質が特徴。若干刷毛のように筆を使っている印象です。 宋時代を代表する作品。 22画「畳」(創) 200年代・天発神讖碑。篆書。

      • 一日一書一画④

        さて、間があきました。 忘れていたわけではありません。 サボっていただけです。 三重は5月の助走期間を経て、6月からかなり日常が戻りまして。 落ちに落ちた体力で毎日ヘロヘロです。 ではさっそく始めましょーー! 16画「隷」 1700年代・金農・隷書。 隷書の隷は奴隷の隷です。 秦時代に奴隷が製作した事から生まれた名前です。 が、実は木簡にたくさん文字を書きたい、木簡経費が勿体ない、という理由で潰しに潰した結果、扁平な文字・隷書が誕生しました。 木簡を見るたびにその

        • 一日一書一画③

          さて、3回目です。 本日は11画~15画。 10画台が一番漢字の種類が多いので選び放題でした。 なので今回は全部臨書。まぁ意臨(雰囲気を拡大して書く臨書)もありますが、全臨です。 臨書だと楽ですね~~。 今ツイッター(www.twitter.com/teika_higuchi/)と インスタ(www.instagram.com/teika_h/) では20画台で、しかも画数多すぎて臨書対象の文字が無いから創作でヒーヒー言ってます。 臨書と創作では四倍ぐらい知力体力時

        一日一書一画⑥

          一日一書一画②

          さて、2回目です。 漢字とは画数がある程度あった方が見映えが良いです。 書道作品でも字面はとても大事です。 日展で解説をご一緒した作家さんが 「私は中日ドラゴンズが好きです。だからテーマに選びました。しかし『中日』だと作品として字面の見映えが悪いので『昇龍』にしました」 と解説されていました。 確かに『中日』では人間よりも大きな紙に書くにはシロの面積が大きすぎますね。 ということで、ここら辺から20画位までは程よい画数なので一文字でも見映えがよろしいかと思います。 6

          一日一書一画②

          一日一書一画①

          お仕事をむしりとられてから2ヶ月たちました。 私の場合パートさんなので働かないと本当に収入がありません。 仕事が1つだけだと、それが無くなったときに食いっぱくれる。なるべくいろんな所の非常勤をして公的機関で書道教室をやっていこう、と決めてたくさん仕事先を開拓したのに、まさかその全部が無くなるなんて思いもしませんでした。 ……切ない。 ……そして、お金もない。 展覧会もないから作品を書く時間も丸々空いてしまった。 有り余る時間……、これは遊ぶしかない!!! というこ

          一日一書一画①

          賞金の10万円で旅に出た話

          私はごくごく普通の書家である。 とても普通の書家だったので、書道科の大学院を出ようが、全国学生展でザクザク賞を取ろうが、社会に出たらなんの仕事もない新一年生の書家だった。 食いつなぐのが精一杯の頃に県展で新人賞をいただいた。 岡田文化財団賞。岡田屋さんの財団の賞。 現イオンの賞である。 賞金は10万円。一席と同じ金額だ。 さすがはジャスコ。太っ腹である。 せっかくなのでこのお金を未来の投資にするべくフランスに留学している同級生にメールした。 「ちょっと行ってもいい?

          賞金の10万円で旅に出た話

          篠田桃紅展に行ってきました

          篠田桃紅を知ったのは1年前。海外でも大変有名らしいのですが、不勉強で全く知りませんでした。 特集番組で「私は書道家ではない。墨象画家だ」との言葉に大変感銘を受け、それから名前を記憶するようになりました。 書家の定義はやはり『墨で文字を書く芸術家』なのだと思います。 文字を書かなかったら、それはあくまで抽象画で水墨画です。 そこらへんの区分けの知的解釈が私にズバンときたわけです。 そんな篠田桃紅展が名古屋にやってくる!ということでいそいそとタカシマヤへ。 11時につくと

          篠田桃紅展に行ってきました

          書き初め

          まぁ、文字を墨で書く作業自体が書家のお仕事な訳です。書家といえども新年からお仕事はしません。 たぶん書家の新年1発目の筆書きは年賀状が一番多いのではないでしょうか。 ちなみに私の今年の年賀状はコレ。 無難こそスタンダード。正がイマイチなのはご笑納ください。 そんなわけで久々にnoteを見てみると「#note書き初め」なるものが。 そういや人生で書き初めの書き初めによる書き初めのための書き初めをしたことがなかった事に気がついたので書いてみました。 今年の目標はコレ!!

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話⑤

          前回までのあらすじ なんやかんやあって1年間99人の壁に出てました。 さて、日展の作品をいきなり突っ込む予定だったのに忘れていたのでここに入れ込みます。手前が私で奥が父です。 以上、去年の日展でした。 それでは口調も戻して総括としての感想。 1年間東京のテレビ局へ通って思ったこと。 『地方だとキー局に出ることはとても珍しく、映ってなくても話題になる』 『東京という地方の番組を全国で楽しんで見ている』 の2点であった。 東京在住のある出場者さんが「自分はこのテレビ局

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話⑤

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話④

          前回のあらすじ ひょんなことが重なってクイズ番組に1年間(早押しを見るために)出ることにした。 さて、1年間99人の壁に出場にするにあたって、私は自分にルールを課した。 ① 出場は月一回まで ② 会場で初回の人に話しかける ③ 東京の美術館・博物館に行く 良く聞かれるのだが、99人の壁は交通費はでない。出演料も無い。解答できた人だけが賞金を貰えるシンプルな環境だ。 なので金銭的に月一が限界だった。 往復は基本新幹線。意外と遠方の出演者は新幹線が多い。夜行バスだと頭が働か

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話④

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話③

          前回までのあらすじ ビビリなのに99人の壁に応募して、書類と面接に受かってしまった。 さて、1年間の出場権を得、レギュラー1回目の収録日が決定した。 日程を見るとパリに行く10日ほど前。 高飛びの直前とあって仕事で忙殺されていることは予想できたのでお断りしようと思ったが、兄弟子に「そんなん参加1択やん」とのお言葉を賜り、「なるほど」と日帰り東京を決意した。 実はこの時、第一回に参加してもう出ないつもりであった。作品製作と仕事と東京通いを全てこなす能力に自信が無かったからだ

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話③

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話②

          前回のあらすじ 三重県の書家が99人の壁に自分から応募したのに東京遠いわと面接断ったら名古屋の面接によばれたのでした。 ということで、あんな失礼な返事に良くもう一度声をかけようと思わはったなぁ、と私はメールを見つめていた。 メールには面接会場が書いてある。 私は迷い無く住所を検索した。 なぜならばこのメールが本当に番組からの本物のメールとは思えず半信半疑だったからである。 私は人一倍、騙されたくない、という気持ちが強いように思う。 私の両親は書道用品店&表具屋を経営し、父

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話②

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話①

          多くの方初めまして。 書道関係者の皆様、ご無沙汰をしております。 樋口 鼎乎(ひぐち ていか)と申します。 テレビでは本名の弓弦(ゆづる)で出ていました。 雅号は先祖から、本名は年号で話題になった万葉集引用です。 どちらも読めない名前ですね。 某フィギュアスケーターのおかげで読める人が増えて、彼にはシーズン始めの試合の時にテレビを通して感謝の念を送っています。 今回は99人の壁に1年間出場した記念に、つれづれなるままに第一回出場経緯をメインに書き進める予定です。書道話はほ

          三重の書家が東京のクイズ番組に出た話①