見出し画像

浜松旅行|不味くても記憶に残る

どうせ食べるのなら美味しいものを食べたいと思う。
そこに価格の拘りは特にない。
安くて、値段相応の美味しさも好きだし、たまには背伸びをして、大切な人と高くて美味しいものを食べるのもいい。

食べ放題という文字に魅力を感じ、まんまと入った某チェーン店で苦い思いをした後に思った。
不味くもない、美味しくもない食べ物でお腹がいっぱいになった時、どうしようもなく悔しい……。
写真も撮っていないし、この店が特段美味しくなかったことなど忘れてしまうと思うけど。

だけど、潔く不味い店は違う。数年前に浜松へ行った際に入った店を私は未だに覚えている。浜松には、寂れた遊園地や特に何もない城があり、眺めの良いはずの風呂は夜に入った為に何も見えなかった。
(付き合って間もない今の夫と一緒だったので、それでも楽しかった覚えがあるし、きっとちゃんと観光すれば浜松は良いところ)。

帰る日に、ラーメンが食べたくて目についた店に入った。
まず、今考えると店のキャッチフレーズからして外れのにおいしかしない。だけど付き合って間もない私は幸せだったんでしょうね、そんなこと気にも留めず、浜松にある「広島風ラーメン」の店に入ったのだ。少し辛いですよ、という言葉と一緒に出されたラーメンがとにかく不味い。

途中、「辛さは大丈夫ですか」と聞かれたが、辛さの問題ではないのだ。冷やし中華の素を濃縮し尽くした味のするスープに七味を振った味。
カウンターのすぐ近くにあるテーブル席の為に2人でこの不味さを共有することもできず、「辛さ、大丈夫?」と中身のない会話をした。

店を出てようやく、「あれは不味い。何だあれは」と言い合うことができた。未だに2人で美味しくない物を食べた後には、「そういえば酷い店があったな」と話題に上がることがある。

中途半端に不味くもない美味しくもない店は最悪だけど、とにかく不味い店は記憶に残る。
そこまで振り切れてるならいいんじゃないか、とも思う。
記憶に残ったからといって、また行きたいとは思わないけれど、許せてしまうのだ。(あまりに不味くても写真を撮らないんだな……と今更思いました)。

#食エッセイ #エッセイ #日記
#食事 #旅行 #ラーメン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?