未来のカラス ⑤
カラスの中に
特段美しく女性がいた。
サーシャと呼ばれていた。
科学のミスで大きくなり過ぎた犬が
射殺場から逃げてきたのだ。
Ash-Trashの森の中でサーシャは
その犬を一瞬でなつかせ、
旅に同行させていた。
サーシャは軽い白血病だった。
もちろんチップのないサーシャは
知る由もなかったが
さらに生まれつき目の見えないサーシャは
自分の死期が近いのを薄々感じていた。
だからこそ
その人間のエゴで作られた
巨大な犬は無防備でクリアな
サーシャになついたのだろう。
犬は片時もサーシャから離れなかった。
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