見出し画像

未来のカラス 11

サーシャのあたたかさ 


ジョンが死んだとき、
ウェッジにはジャンの遺体が
自分を貫き通した 
美学が見えた。 

ジョンの屍を鳥のカラスがつつき、 
虫が体を這う。 

骨になって、何日もした後 

サーシャが現れた。 

と言っても魂だけだった。 


誰よりもやさしくて 
普段はハープすら弾いてそうな 
優雅な振る舞い 

トリリンガルの彼女は 
ジョンの死体のまえで 
ジョンの母国語でボソボソ言いながら 
美しい音色の笛を吹くのだった。 


悲しいような楽しいような 
誰も聞いたことがないメロディだった。 

ここから先は

1,288字 / 1画像
この記事のみ 残り10/10 ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?