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「呑み屋は女将が9割」シリーズ

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「呑み屋は女将が9割」シリーズ
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88歳の女将と呑める店 ー 「呑み屋は女将が9割」第3回

88歳の女将と呑める店 ー 「呑み屋は女将が9割」第3回

■「店を始めたときは、センター街が舗装されてなかった」

渋谷に40年以上続く呑み屋がある。女将は88歳(2016年7月時点)だ。

店の間口は狭く、その古めかしい扉を開くには、勇気がいる。意を決して開けたとしても、今度は目の前にいきなり急な階段があり、圧倒されてしまう。実際に、扉を開けてはみたものの、階段を上ることなく引き返していく客も多い。そこを上りつめた者だけが、店内の様子を知ることができる

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渋谷・のんべい横丁への挑み方  ――「呑み屋は女将が9割」第2回

■「流しをやっていた頃のサブちゃん」渋谷駅から徒歩数分の線路わきに、小さな呑み屋ばかりが集まる「のんべい横丁」がある。

若い頃の北島三郎は、ギターを抱えてこのあたりを「流し」でまわり、酔客に歌声を披露していたのだ。

だが今では、その歴史ゆえに、どこか足を踏み入れにくい雰囲気がある「のんべい横丁」。興味はあるけど勝手がわからないという人のために、ここに簡単な「初めての『のんべい横丁』」マニュアル

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名もなきタコ焼き屋 ―ー「呑み屋は女将が9割」第1回

名もなきタコ焼き屋 ―ー「呑み屋は女将が9割」第1回

名もなきたこ焼き屋がある。
店名を示す看板が、どこにも出ていないのだ。

呑み屋を一人で切り盛りする女将は、たいてい魔女のようにみえる。この店の女将もまた、魔女のようだ。70歳を過ぎたばかりだというが、10万70歳だとしても納得がいく。そんな顔つきをしている。

「なんで店の名前が出てないの?」とたずねてみても、「看板が出てないと、なんか入りにくいだろう? イヒヒヒ……」と不気味に笑うだけで、答え

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