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僕のワンダフルライフ
少し前の映画だが犬が飼い主の下へ何度も転生する映画が今になってすごい馴染のあるものになった。
境遇は違えど僕はそんな感じで好きな人の飼っている犬へと転生してしまった。
まあ、僕の場合は何度もというよりもつい昨日転生したばっかなのだが。
どうやって転生したかって?
知らないよ。
そこらへんはどうでもいいんだ。
ただただ君の下で健やかに暮らしていけるそれだけで幸せだからね。
飼い主の君は僕の異常な懐きっぷりに少し嫌気がさしてそうだったが、
それでも優しい君の性格は僕を無視することができなくて、
僕は図々しく君の膝元に居座り続けた。
不愛想に君は僕の頭をなでてくれる。
この上ない幸せに溢れてもうこれ以上求めないよ。
犬と人間は結婚できないけれど、
僕が死んでしまうその最後の瞬間まで君の下に居られるそれだけで幸せだよ。
そうやって浮かれていたら知らぬ間に寝てしまっていて、
起きたら君のベッドの上にいた。
君の優しい匂いがする。
そういえば初めて君の部屋に入るなあ。
こんなだったんだ。
僕の知らない君の一面が可愛いなと一人でに思ってしまった。
君が帰ってきて、
「ああ~!またベッド占領しやがって~」
と言いながら君が僕をくすぐる。
「わんわん!」
多分鏡で自分の顔を見たら気持ち悪いくらいの笑顔を浮かべているんだろうな。
しばらくたって君はじっと僕の顔を見る。
「君、エリックじゃないでしょ?」
なんで、どうして、ばれるわけないよね!?
もしかして犬になったつもりが顔だけ犬になりきれず、
人面犬のようになっていたら…
想像しただけで気持ちが悪い!
ベットから飛び降りて鏡に全力疾走した。
「ばふ… 〈はあ、ちゃんと犬の顔してた。〉」
じゃあ、どうして気付かれたんだ?
「犬になったところで--の性格は隠しきれてなんだよ」
「なんかね、色んなところから溢れ出てるんだ。--の事よく知ってるから余計分かりやすいんだよ。」
君は笑いながら話す。
「あ、あと犬になんかならなくても--のこと好きだよ」
「わんっ!?〈本当!?そんなことありえないよ。それなら今すぐ犬なんかやめて人間に戻って、君にちゃんと告白して、それでそれで、デートとか行って、おいしいもの食べて、楽しかったねって笑い合いたいよ。死ぬまで一生散歩がデートだなんて嫌だよ!〉」
「なんて言ってるかわかんないよ笑」
君が僕を優しく抱えて、
「これで人間に戻れるかなあ」
僕の額にキスをした。
犬はやだな。
しっぽのせいで喜んでいるのがまるわかりだからね。
「ちなみにこれがファーストキスだからね。犬とキスなんて多分一生忘れられない思い出になるよ笑」
君の声が遠くなっていって、
目の前がキラキラして気づいたら何もない自分のベッドに戻っていた。
携帯を急いで手に取って君への気持ちを伝えようとしたけれど、
大切なことは直接言おうと思ってその日はぐっすり寝ることにした。
「わん〈明日は頑張るぞ!〉」
ってもう人間だろ自分。
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