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またね、イギリス

今でも九か月前、ヒースロー空港に降り立った時のことを鮮明に覚えている。

窮屈なタクシーに無理やり詰め込まれた僕らは意識も朦朧としたまま三時間ほど揺られ、

やっとの思いでカンタベリーへと着いた。

しかし希望に満ちた旅の始まりは目の前で起きた交通事故によって完膚なきまでに汚されてしまった。

今でもあれは人生史上最悪のサプライズだと思う。

眠気に満ちた僕たちを美味しい手作りピザで迎えてくれたホストマザー。

毎晩美味しい料理を作ってくれてありがとうございました。

夕食の場ではいろんな話をしたなあ。

途中からは夕食後英語の小テストも用意してくれ、

あの頃はよくわからない彼女がこだわる英語ばかり頭にこべりついて、

でもたまにちゃんと授業で出てきたりするから、

何とも言えない感謝の気持ちが彼女に募っていった。

思い返せば本当によくしてもらったと思う。

ありがとうございました。

肝心の大学での授業は幼稚園のそれと何の大差ないものだった。

みな、不満を抱えていたが実際問題僕たちの英語力は幼稚園児より少し低いぐらいのモノだったから、

クレームを言うことすらもできないままひたすらに時間ばかり過ぎていった。

そんな惰性に満ちた授業と並行して色んな所に旅行にも行った。

ヨーク、エディンバラ、リバプール、そして言うまでもないロンドン。

≪ヨーク編≫

≪リバプール編≫

でも時間とお金が許すのならもっといろんなところに行ってみたかったなあと少し思ったりもする。

イギリスでは六月はプライドマンスと呼ばれるLGBTQの祭典のようなものがあった。

日本では今なおこういうものはタブーとみなされて、

なかなか世間的にオープンになる機会はない。

だからロンドンのプライドなど実際自分の目で見てみて、

こんなにも自由に生きていいのだと感じた。

みんなみんなやりたいように生きて、

好きな人に好きだと伝えて、

性別なんて飛び越えて自由気ままに生きていく。

僕はそんな生き方がかっこいいと思った。

夏ごろから僕らのモジュールは自称レベルアップして、

変に難しく書かれた教科書を読まされて、

この先生きていくうえで必要のないことばかりフォーカスして教えてもらった。

ありがとう、全く役に立ちそうにないよほんとに。

八月には僕が愛してやまないレックスのライブに一人で行くという奇行に走った。

2000字に及ぶ一人語り。

もしも興味があるならお読みください…

それから九月からは寮へと強制移動させられて一人生活が始まった。

追い打ちのようにアンダーグラジュエートのコースも始まった。

あの頃は大変だったなあ。

何気なく20歳を迎え、人生で初家族のいない誕生日だった。

少し寂しかったけれど大人になるってこういうことなのかと勝手に思ったりした。

けれどこの月には新しくできた友達といろんなところに行ったりして楽しい思い出もたくさんある。

秋空の下で小舟に揺られ、カンタベリーの街並みを楽しんだのはとてもロマンチックな思い出だし、

僕が嫌いなホラー映画を見に行ったのも結局は楽しかった。

一緒に色んな事してくれてありがとう。

またとあるクラスで知り合った彼は気さくで、

いつもみんなにやさしく接していた。

彼から学べることは多かったし、

少しは僕の邪悪な性格が彼のおかげで浄化されたように感じる(笑)

僕が大変な時も話を聞いてくれ、

優しい言葉をかけてくれた。

出会えて本当によかったよ。

僕がイギリス生活で仲良くなった人は数えるくらいしかいないけれど、

みんな違った良さを持っていて、

彼らから新しい生き方を学んだ。

こんな僕と友達になってくれてありがとう。

また会えるならただただたわいのない話をしてゆっくり散歩でもしよう。

そんな未来が来るまで僕は勉強を続けようと思う。

僕の将来はまだまだ分からないことだらけだけれど、

ここでの生活が僕の一部になって、

数え切れない可能性を与えてくれた。

まだ見ぬ世界を求めて僕はがむしゃらに生き続けようと思う。


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