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【加茂水族館】クラゲに出会った鶴岡の朝

結論:クラゲを五感で学べる水族館クラゲだけでなく庄内の自然も


クラゲの美しさを五感で体験するため、加茂水族館に行きました。

加茂水族館は山形県鶴岡市、日本海を望む加茂地区にあります。最寄り駅は出羽大山駅で徒歩1時間かかります。自動車を利用しない場合、鶴岡駅から湯野浜温泉行きのバスで行く方法が一番安いです。しかし、バスの本数が平日は1日8往復、土日祝は1日5往復と少ないのでご注意ください。人気のある水族館のため、帰りは渋滞による遅延がありますので、余裕をもった計画をたてましょう。

加茂水族館を知ったきっかけは、20年近く前に観たテレビ。丸い大きな水槽の中を悠々と泳ぐ光景を観て、いつか行こうと決めました。しかし、忘れていました。新潟旅行の計画を立てているときに、下記の本を読んで、昔テレビで観た光景を思い出し、今回、加茂水族館に行くことを決めました。

山形県で唯一の水族館

加茂水族館は、山形県唯一の水族館です。1930年、山形県水族館として誕生しました。1964年、2代目の水族館が誕生し、地元の方向けに運営されていました。当時は、アシカが目玉でした。またアライグマ、ニホンザルなど、さまざまな動物も飼育されていました。オープン当初は年間20万人が訪れました。しかし、経営が厳しく、1995年には10万人を割り込み赤字が続きました。倒産の危機を迎えていました。

加茂水族館でクラゲに力を入れた理由

加茂水族館きっかけは、1997年の企画展。加茂水族館では、お客さんを集めるため、1993年から、企画展を行っていました。1997年の企画展のテーマは、「生きたサンゴとサンゴ礁の魚展」。サンゴの水槽の中を泳いでいた小さなクラゲ(サカサクラゲ)を見つけて育て、展示したところ、お客さんから好評でした。ここから、クラゲ中心の運営にシフトチェンジしました。

当初は、獲ってきたクラゲをそのまま飼育していたため、1週間で死亡してしまいました。観察により死因を特定していき、2000年には、クラゲ専用の水槽を開発しました。

飼育、繁殖の難しいクラゲの研究をし、展示の種類を増やしつつ、集客にも力を入れていきました。2004年、クラゲアイスを開発し、2006年、クラゲレストランをオープンさせました。

2000年代のエチゼンクラゲの大量発生(現在では、風評被害の防止などから大型クラゲと表現されています。)のとき、クラゲの飼育に力を入れていたため、メディアから取材が相次ぎました。2008年、下村脩博士がオワンクラゲの発光の仕組みの研究により、ノーベル化学賞受賞。当時、オワンクラゲの繁殖に取り組んでいたため、ノーベル賞関連の取材が相次いできました。ノーベル賞発表以降、連日行列のできる水族館になりました。当時の館長が下村脩博士に手紙を送ったことがきっかけとなり、2010年4月2日、下村博士が来館され、名誉館長に就任されました。1997年を境に、来場者が増え、2010年には、21万人を超え、過去最多を更新し、倒産寸前から、人気のある水族館の一つになりました。

下村脩博士が来館時に記念で造られたレリーフ

2014年、老朽化のため、現在の建物に建て替えられました。日本海が目の前に広がる風景、バリアフリーを意識しつつ、クラゲなどの生物にとって快適な飼育環境を考慮して設計しています。飼育しているクラゲの種類は世界一。2023年8月には、80種類に到達し、100種類以上の展示を目指しています。

加茂水族館はクラゲだけではない

加茂水族館は、クラゲだけではありません。水族館のある庄内地域に棲む生物、アシカ、アザラシも観察できます。

庄内地方の水の生態系

冒頭は、庄内地方の魚の紹介です。その土地の生態系を学べることが水族館の魅力の一つだと思います。加茂水族館のある庄内地方の水環境について、展示されています。目の前の日本海、鶴岡市内を流れる川を切り取ったかのような水槽でした。

川を切り取ったような水槽
生け簀のような庄内沿岸に生息する魚の水槽

クラゲ館を通ると、思ったより近く、アシカ、ゴマフアザラシを観察できます。アシカ、アザラシの違いを学べるショーも開かれています。

クラゲを見る

庄内地方の生態系を学んだ後に、世界最大級のクラゲの展示室が現れます。クラゲ1種類ごとに展示されており、小さな水槽がずらりと並んでいました。クラゲの種類によってゆったり動いたり、ちょこちょこ動いたり、優雅なひとときを味わえます。観察しながらお気に入りのクラゲを探すワクワク感があります。エチゼンクラゲ、ミズクラゲなど透き通っている身体、ベニクラゲ、オワンクラゲなど発光の美しさ。クラゲは美しい。

海月と書かれているように、海に浮かぶ月のように見える幻想、海の中をクルクル、くらくらしている姿からクラゲと呼ばれるようになった説など、名前のルーツを知ることができました。ちなみに、クラゲは体の90%以上が水分でできているゼラチン質のプランクトンを指します。

目玉は、最後に出てくる直径5m以上ある巨大な丸い水槽「クラゲドームシアター」。ミズクラゲが飼育されており、ユラユラと泳ぎ、遠くから、ぼーと眺めるといやされます。上から注がれる光が神秘的な雰囲気を演出しています。

ゆったり眺められるクラゲドリームシアター

クラゲを食べる

実は、クラゲは食べられます。クラゲの足に毒があり、刺されるとしびれるイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?カツオノエボシなど、猛毒なクラゲもいますので、食べられるクラゲは限られていれます。

日本では、飛鳥時代からクラゲを食べるようになったといわれており、奈良時代、備前国(現在の岡山県)から平城京へクラゲが贈られたという記録もあります。平安時代には宮中のハレの日に食べられていました。四角に切って酒で洗い、カツオを酒に浸した汁や生姜酢と一緒に和えて調理されました。鎌倉時代には、からすみ、このわた、ウニと並ぶ珍味として食べられていました。ゼンのつくクラゲは食べられるという言い伝えが昔からありました。

加茂水族館では、クラゲ料理が揃っています。2004年、話題作りのため、クラゲアイスを開発したことが、加茂水族館におけるクラゲ料理の探求の始まりです。クラゲを食べる試みは、食材として流通していないものを食べてみようという企画の一環がきっかけでした。2023年には、クラゲ御膳、クラゲラーメン、クラゲアイス、クラゲソフトクリーム、タピオカ風クラゲが食べられます。下村博士もクラゲラーメンを食べて、美味しいとおっしゃっていました。今回は残念ながらクラゲラーメンは食べてません。

受付を入って右側、お土産屋さんの奥に「魚匠ダイニング沖海月(おきみづき)」という和食屋さんがあります。沖海月の営業時間は、11:00~15:00。加茂水族館とは異なりますので、ご注意ください。目の前に日本海が広がり、旬の海鮮料理が食べられます。推しはハモとフグですが、クラゲも名物です。次回行ったときには、ハモ、フグも食べたいです。

今回は、クラゲ御膳をいただきました。クラゲ御膳で提供されるクラゲ料理は、サラダ、刺身、和え物、味噌汁。クラゲは入ってませんが、ごはん、茶碗蒸し、食後のコーヒーも付きます。クラゲ御膳に使用されているクラゲは、エチゼンクラゲ、ビゼンクラゲ、ヒゼンクラゲの3種類です。ちなみに、それぞれ、最初に記録された場所が名前の由来となっており、エチゼンクラゲは、福井県、ビゼンクラゲは岡山県、ヒゼンクラゲは熊本県で初めて記録されました。ビゼンクラゲは日本では1000年以上前から食べられており、エチゼンクラゲも日本海での大量発生により、漁業に悪影響を及ぼしたため、捕まえて食べられないか?と考え、最近食べられるようになりました。

クラゲ御膳

クラゲ御膳(フグの刺身付)

クラゲは食感を楽しむ食材ということが分かりました。ゼリーフィッシュと呼ばれるだけに、ゼリーのようにぷるんとした食感だろうと思っていました。しかし、食べてみると、らっきょうに近いコリコリ、サクサク食感でした。

サラダ、刺身はコリコリで思っていた8倍ほど、歯切れの良さを感じました。一方、クラゲ自体の味、ニオイは一切感じられません。体の95%以上が水分のため、栄養もありません。刺身は、3種類のタレにつけていただきました。
エチゼンクラゲはきくらげに近い見た目、食感でした。ビゼンクラゲの方が筋肉質でした。「きくらげ」というキノコがクラゲと言われている理由がわかります。昔の方の感性に驚かされました。

季節のクラゲパフェ

夏は庄内砂丘メロン

デザートに季節のパフェをいただきました。パフェは、季節のフルーツがメインで盛られていて、タピオカのような細かく刻んだクラゲも入っていました。夏のフルーツは、山形県の日本海沿岸で栽培されている庄内砂丘メロンでした。タピオカ風クラゲは、ゼラチン多めのゼリーのようで、ザクザク食感がよいアクセントでした。クラゲがゼリーフィッシュと呼ばれている理由がわかりました。庄内砂丘メロンも甘くジューシーでした。

クラゲのお土産を買う

受付を入って右側に、「海月灯り(つきあかり)」お土産屋さんがあります。
クラゲにまつわるユニークなお土産がそろっています。

美しい写真に惹かれて300ピースのジグゾーパズルも購入しました。壊して何度も組み立てることができるため、飽きません。他には、飼育員さんの執念が込められたクラゲのぬいぐるみ、どんよりとした雨空を彩るクラゲのデザインをした傘も販売されていました。さらに、クラゲをモチーフにしたお菓子もあり、クラゲがお土産売り場にあふれています。下村博士と加茂水族館の交流について書かれた本、クラゲの写真集も販売されていました。
クラゲ館の前には、ガチャガチャがあります。クラゲは、種類ごとにガチャガチャが分けられているほどのこだわりです。〇〇類が好きというクラゲの奥深い世界に踏み入れることができます。

今回は、山形県鶴岡市にある加茂水族館を訪れました。クラゲといえば、海水浴のときに、刺されたり、大量発生し、漁のジャマになるなど、厄介者というイメージがありました。しかし、加茂水族館でクラゲに触れることにより、美しさ.美味しさなど、ポジティブな印象に変わりました。

1年以内に3回以上行かれる場合は、年間パスポートがお得です。年間パスポートは高校生以上2500円、小中学生1250円で販売されています。お盆期間、GWなど混雑が予想される期間は、入場制限があります。当日でも空いていれば入ることはできます。しかし、事前に指定時間入の入場券を専用サイトで購入したほうがいいです。さらに、自動車で行く場合、午前中が狙い目です。駐車場も埋まりやすく、特に午後は、周辺の道路が渋滞して動かなくなりますので余裕を持った計画を立てましょう。

営業情報

営業時間 9:00-17:00(入館は16時まで)
定休日  なし
入館料 高校生以上1000円、小中学生500円、小学生未満無料
アクセス JR鶴岡駅からバスで40分

公式ホームページ

入館規制日専用、日時指定前売券の買い方


おまけ

また、加茂水族館と売れるお笑い芸人と重なりました。2012年、「ワイルドだろ?」というネタでブレイクしたスギちゃん。ライブでウケずに、追い詰められてお客さんに反応を求めたときに出た言葉が、「ワイルドだろ?」です。これで爆笑をさらい、ワイルドネタが誕生しました。
加茂水族館は、偶然見つけたクラゲを飼育して展示したところ、お客さんから好評を得られたことがきっかけで、現在のように、クラゲを中心とした運営に変わり、入場者数が回復を超えて更新し続けるようになりました。(コロナ禍の2020~2022年を除く)
売れたいなら、お客さんの反応(noteならダッシュボード)を見て、傾向を分析し、評判の高いコンテンツに絞って磨き上げることが大事だと感じました。

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