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黒部ダムへ行ってきた

結論:先人への感謝を忘れてはいけない


長野県と富山県を結ぶ立山アルペンルート。西は富山県立山町、東は長野県大町市を結び、さまざまな乗り物を乗り継いで北アルプスを貫通します。黒部ダムは黒部峡谷にあります。長さ492m、高さ186mと日本一の高さをもつダムです。

今回は、長野県大町市側からアルペンルートに入り、黒部ダムを訪れました。季節ごとに新緑、紅葉、白銀に染まる山々とダムの水面のコントラストで表情を変えます。10月後半は紅葉が見頃を迎え、美しい風景を作り出します。

黒部ダムが作られた目的 

黒部渓谷は、滝のように急な河川があり、降水量も多く、水力発電にとって最高の環境だと大正時代から考えられていました。1917年、高峰譲吉がアルミ製造のための電力を確保するため、黒部川に水力発電を造ろうと考え、調査しました。戦後の急速な経済復興により、関西電力で電力不足が起きました。火力発電では変動する需要に素早い対応ができず、1955年、電力を補うため、水力発電の建設を決意しました。

1956年からダム建設予定地へ建築資材などを運ぶため、大町市からトンネルを掘り始めました。しかし、1957年、地下水を含んだ軟弱な地盤破砕帯にぶつかり、土砂、水があふれて眼の前をふさぎました。4℃の水を浴びながら排水用のトンネルを作るなどの対策しながら、たった82.6mを突破するのに7ヶ月もかかりました。1958年に運送用のトンネルを貫通させ、黒部ダム建設開始。5年かけて1963年完成しました。黒部ダム、水力発電所が完成したことにより、当時の京都府の80%、大阪府の20%の電力を賄うことができ、電力不足も解消されたと言われています。
当時、掘られたトンネルは現在もダムと大町市側をつなぐ役割を果たしています。

現在は電気バスで大町市と黒部ダムを繋ぎます

黒部ダムは、黒部川の上流を堰き止めて水を貯めます。アーチ式ドーム型ダムという、水の圧力を両側の山で受け止める方式を採用しました。アーチ式ドーム型ダムは、上部が下部より前面にせり出しています。この方式により、コンクリートの使用量を抑え、短期間で完成できます。

黒部ダム建設は世紀の大プロジェクトとされ、7年間、1000万人もの作業者を動員しました。転落、落盤事故により、171人が亡くなっています。慰霊碑は、黒部ダムのトンネルを抜けて左手にあります。多くの方の苦労があって、今があることに感謝しなければなりません。

失敗すれば破綻するほどの財政を使い、社内でも紙ですら、倹約に徹するほどの状態でした。ダム建設の様子は1968年に公開された「黒部の太陽」という映画にもなり、過酷な労働環境の元、人々の苦労が集まってできたダムとも言えます。

黒部ダムに行ってきた

黒部ダムといえば観光放水

黒部ダムといえば、高さ116mから行われる豪快な放水。6月25日~10月15日に観光放水が行われます。毎秒10〜15トンの水が壁となって豪快に流れ落ちます。放水する理由は、黒部川本来の姿を保ち、周辺の動植物を保護するため。静かな山奥に、水の落ちる轟音が響きます。

黒部ダムで食べる

黒部ダムにあるレストハウスも楽しみの一つ。レストハウス内のレストランでは、黒部ダムに行かないと味わえない料理があります。名物は黒部ダムカレー。2種類の黒部ダムカレーがあります。今回食べたのは、黒部ダムの水面をイメージしたグリーンカレー。遊覧船に見立てたヒレカツがトッピングされていました。辛さは抑えられていて、ココナッツミルクによってマイルドな味わいになっていました。香りから、本格的なカレーです。
もう一つは、アーチダムカレーという、欧風カレー。黒部ダムと同じくアーチダム型に盛られたごはん。トッピングに北陸地方を中心に食べられるビタミンちくわがトッピングとして使用されています。

蕎麦、うどん、ラーメンもあります。ダムカレーうどんは、グリーンカレーを使ったうどんで、珍しいです。

黒部ダムカレー 1300円

カフェもあり、ソフトクリーム、名物のハサイダーを使ったオリジナルのドリンクなど、バラエティ豊富でした。ハサイダーは、トンネル内の破砕帯から湧き出る水を使用しています。

黒部ダムで買う

さらに、お土産売り場もあり、黒部ダム建設のときに使われたヘルメットや掘削機をモチーフにしたインテリア、掘削のときに使われたスコップを表したスプーン、黒部ダムカレーの味を再現したレトルトカレーも販売されていました。

今回は、黒部ダムを訪れました。先人の苦労の上に現代の豊かな生活が成り立っていると感謝しつつ、現代は、事故を起こさないためにも、リスクを事前に出して、対策を打ち、ってから作業することが現場作業の基本になりました。

豪快な放水と美しい北アルプスの山体を眺めて思いました。新緑、紅葉、雪というように四季折々で変わる風景を楽しんではいかがでしょうか?

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