見出し画像

ネギとこんにゃくを買うために、冬の下仁田へ

結論: 火山活動、涼しい気候が甘いネギ、美味しいこんにゃくを生み出す。


群馬県下仁田町

群馬県の南西にある下仁田町は、下仁田ネギ、こんにゃくが名物です。群馬県の歴史、自然などが描かれた上毛かるたにも、「ねぎとこんにゃく下仁田名産」と読まれています。下仁田は、榛名山や荒船山など町の西側を中心に起きた火山活動により、噴出した軽石、火山灰、溶岩など砂が広がり、水はけのよい土地です。この水はけの良い土地を利用して、下仁田ネギ、こんにゃくの生産が行われています。

下仁田ネギ

下仁田町の名物の一つは、下仁田ネギ。下仁田ネギは下仁田町の西野牧小出屋近くが原産のネギの品種の一つです。ネギの品種のため、下仁田町以外で栽培しても下仁田ネギと呼ぶことができます。2023年の朝ドラ「らんまん」のモデル、牧野富太郎によって名付けられました。下仁田ネギは、江戸時代から知られており幕府にも献上されました。

下仁田ネギは、直径4、5cmと太く、濃い緑色の葉、白い部分の長さは15〜20cmあります。生では辛すぎて食べられません。しかし、火を通すととろけ、甘くなります。

鍋焼きうどんを作るときに、一緒に煮込んだり、串から外した焼鳥のように、鶏肉と一緒に炒めて、マキシマムスパイスやホルモンしま田監修の俺の塩など万能調味料を加えるだけでも美味しいです。

旬は12月。12月に道の駅下仁田へ行くと、下仁田ネギがずらりと並びます。6本ほどまとめて500円〜600円で売られていました。直売所やこんにゃく屋さんでも下仁田ネギが売られています。

低温にも高温にも強く、15ヶ月かけてじっくり育つため、気象の影響を受けやすいです。そのため、葉が柔らかく、火を通すととろけるような甘さを味わえる下仁田ネギは、下仁田周辺の群馬県南西部や長野県の佐久地域の一部に生産が限られています。

こんにゃく

群馬県はこんにゃくの名産地で、日本のこんにゃく芋の生産量の97%を占めています。下仁田町は上州かるたで読まれているように、こんにゃく芋の産地として有名です。
しかし、群馬県北部で生産が最も盛んで、渋川市が全国一の生産量を誇ります。渋川市だけで、群馬県の半分のこんにゃく芋が生産されています。

富岡市の東隣にある甘楽町には、こんにゃくパークがあります。刺身こんにゃく、こんにゃく麺だけではなく、煮物などさまざまなこんにゃくがタダで試食できます。こんにゃく工場の見学、こんにゃく作りも体験でき、こんにゃくのテーマパークです。

こんにゃくは苗を植えてから2,3年かけて育ち、収穫します。山の斜面の畑で作られ、軽石を含んだ水はけの良い土地、日当たりを避けながら育ちます。

こんにゃくは、おでんなど煮物の具材、田楽として主に食べられます。刺身こんにゃく、こんにゃく麺、糸こんにゃく、こんにゃくゼリーなどさまざまな食べ方で販売されています。
こんにゃく屋さんで食べたこんにゃくの田楽は、スーパーで売られているコンニャクより、プルプル感だけではなく、歯ごたえもはっきり分かりました。

こんにゃくが固まる理由

こんにゃく芋は、茹でても食べられません。シュウ酸カルシウムというトゲの結晶に覆われ、食べると痒くなりますし、喉が腫れます。口に含んだ瞬間、苦さに襲われます。
アクを抜いて、シュウ酸カルシウムを取り除かなければ、こんにゃくは食べられません。

こんにゃくは、70℃台のお湯にこんにゃく粉を加えながら、よくかき混ぜます。かけ混ぜしながらアルカリ性の液体を加えていくことにより、固まり始めます。アルカリ性の液体は、消石灰を水で溶かすことによってできる水酸化カルシウムが主ですが、植物の灰汁や炭酸ナトリウムでも代替できます。

コンニャクが固まる理由について、考えられる説は、塩析という現象です。塩析とは、水に支えられてプカプカ浮いている粒が、塩を加えられることにより、塩によって水が奪われて、粒が下へ沈み集まる現象です。

コンニャクの主成分は、グルコマンナンという水溶性食物繊維。グルコマンナンは、一つ一つが大きい固まり。水に支えられ、水中を漂っています。しかし、アルカリ性の溶液を加えながらかき混ぜることにより、アルカリ性溶液がグルコマンナンを支えていた水を奪ってしまいます。支えがなくなると、グルコマンナンは支えがなくなって不安定になり、仲間同士でくっつきます。こうして、できた巨大な固まりがコンニャクです。

こんにゃく芋の皮むき技術が向上したことにより、白いこんにゃくを作れるようになりました。しかし、こんにゃくは灰色のものというイメージが強く、ほとんど売れませんでした。そこで、ヒジキなど海草を加えて昔ながらの灰色の見た目のこんにゃくにしています。現在では、白いこんにゃくも販売されています。

こんにゃくを食べるのは、かつて日本人だけでした。発祥のの中国でも、一部地域しか食べられていません。しかし、カロリー0で食物繊維が豊富にあることに目をつけて、ダイエット食品として海外でブームになっており、輸出向けが好調です。

今回は、下仁田町で食べた下仁田ネギ、こんにゃくについて書きました。群馬県産の食材だけで、すき焼きが成立するらしいので、その説についても確かめます。

参考文献

・尾形希莉子、長谷川直子,(2018) ,地理女子が教える ご当地グルメの地理学, ベレ出版.
・鈴木郁夫、赤羽孝之,(2007) . 新潟もの知り地理ブック . 新潟日報事業社.
・河合 敦,(2023) ,群馬の教科書 (大人のための地元再発見シリーズ),JTBパブリッシング
・宮越 俊一,(2016),化学と教育 64 巻 6 号,こんにゃくとグルコマンナンの化学

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

化学がすき

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!