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ちゃんこ鍋について語る回

結論:力士が作る料理を「ちゃんこ」と呼ぶ。ちゃんこ鍋は、入門者が増えすぎた相撲部屋の知恵から生まれ、栄養バランスがよい理想の食事だったため、他の部屋にも広まった。両国に行くと、ちゃんこ鍋が食べられる。


2024年1月14日〜28日は大相撲初場所

横綱照ノ富士関の復活、先場所優勝の大関霧島関の綱取り、幕内に昇進してから優勝まであと一歩のところまで続いている期待の若手、熱海富士関など、特に若手のみどころが多い2024年初場所です。

先日、両国国技館周辺のグルメ情報をお伝えしました。こちらをお読みください。今回取り上げる、ちゃんこ鍋のオススメのお店も掲載しました。

寒い季節にぴったりな鍋が、ちゃんこ鍋。自宅で作ってもカンタンにでき、具だくさんで栄養バランスの良い食事になります。冬はご飯とちゃんこ鍋ぎあれば充分です。

今回は、ちゃんこ鍋について、歴史から美味しく作るコツまで話します。

「ちゃんこ」とは?

「ちゃんこ」と言えば、「ちゃんこ鍋」をイメージする方が多いと思います。しかし、実は、お相撲さんが作る料理のことを全部「ちゃんこ」と言います。お好み焼き、カレーライス、ケーキも、お相撲さんが作れば全部ちゃんこです。

お相撲さんの料理は、お相撲さんの体格から、高カロリーのイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、実際は、栄養バランスがよく、ヘルシーです。野菜もしっかりとれるため、理想の食事と言えます。一般人の量で食べれば、健康的な生活を送ることができます。おもてなし料理としてもぴったりです。

お相撲さんは、身体を大きくするために、食べることも仕事です。「食べるのも稽古」と言われ、ご飯を食べる量もノルマがあります。特に入門したてで身体ができていない力士は、食事の方が稽古より厳しいと言っていたほどです。

朝の激しい稽古による豊富な運動量→大量の食事→睡眠という朝の習慣に加えて、午後、筋トレをしたり、食べ続けて身体を大きくします。

お相撲さんの作る料理が美味しい理由

タチマチと呼ばれる、相撲部屋、力士のスポンサーにヒミツがあります。全国各地から食材を提供したり、美味しいお店に連れてっていただくことによって、舌が肥えていきます。

さらに、部屋のちゃんこ番という、ご飯を作る当番もあり、兄弟子から見て教わります。伝統的な部屋の味を覚えつつ、料理のスキルも向上し、お店を出せるレベルまで達することもあります。

両国には美味しいちゃんこ屋さんがありますので、訪れることもオススメです。相撲の世界(角界)は厳しく、幕下という地位までは給料が出ません。十両に上がると、関取と呼ばれ、一人前として認められ、安定した給料をいただけます。

手前の幕下上位が特に厳しく、あと一歩のところで昇進できずに引退する力士は多くいます。

引退後、飲食業を開く方も多いため、元力士のお店にぜひ足を運んでください。ただし、1人で注文できない場合もあります。ひとり旅でちゃんこ鍋を食べたい方は、ランチをオススメします。

ちゃんこという名前の由来

お相撲さんの作る料理が「ちゃんこ」と呼ばれるようになった理由は、諸説あります。特に有力とされる3つの説を紹介します。

  • 中国から伝わった長崎由来のごちゃ混ぜの「ちゃんぽん」から来ている説

  • 長崎で大きな中華鍋を「ちゃんこ」と呼んだことが由来になっている説

  • 相撲部屋は親方と弟子の関係から、親方が親、弟子は子「こ」、角界(相撲界)では親のことを「ちゃん」と呼んでいた説。

ちゃんこ鍋の種類

「ちゃんこ」と言えば、ちゃんこ鍋の知名度が高いです。ちゃんこ鍋は、相撲部屋で季節問わず食べられます。ちゃんこ、ご飯、おかずが相撲部屋の基本的な食事です。

ちゃんこ鍋は、約110年前、明治末期に誕生しました。19代横綱常陸山は明治時代後半に活躍しました。20世紀に入り、常陸山は横綱に昇進し、看板力士になりました。あまりの人気ため、常陸山が所属していた出羽海部屋への入門者が一気に増えました。

当時の食事は、個別に配膳されていました。しかし、相撲部屋に人数が増えると、料理の準備や配膳に大変な手間がかかるため、一度に大量に作ることができる鍋料理が日常的に食べられるようになりました。それが、ちゃんこ鍋と呼ばれるようになりました。

ちゃんこ鍋は栄養バランスがよい理想の食事だったため、他の部屋へも広まりました。

自由な味つけ、具材が特徴

ちゃんこ鍋は醤油、味噌が伝統的です。時代の流れ、高見山を始め、海外から来た力士も増え、多国籍化、味のバラエティは増えました。塩ちゃんこ鍋、キムチちゃんこ鍋、カレーちゃんこ鍋、トマトちゃんこ鍋など、現代のちゃんこ鍋は、バラエティ豊富で毎日食べてもいいほど、飽きが来ません。

「手をつく」=「負ける」というイメージから、4本の足のある牛、豚は敬遠され、鶏肉が好まれて使われました。しかし、現在は、牛肉、豚肉の入ったちゃんこ鍋が食べられています。

今回は、多くの部屋で食べられているちゃんこ鍋を紹介します。

鶏のソップ炊き

鶏ガラのことを「ソップ」と言い、鶏ガラでとった醤油ベースのスープ。鶏ガラでスープを取った後に残った肉も美味しいです。

昭和の大横綱、大鵬親方が開いた大鵬部屋を祖とする大嶽部屋では、大鵬から伝わったソップ炊きが今も食べられています。特徴は、ゴボウの灰汁抜きのために浸した水を仕上げに加えること。ゴボウの香りが広がります。

ちなみに、出汁をとった鶏ガラから、体格の細い力士のことをソップ型と言います。一方、体格の大きな力士のことをあんこ(鮟鱇)型と言います。どちらも、見た目から、そう呼ばれるようになりました。

味噌ちゃんこ鍋

醤油と並び、伝統的な味つけ。ポイントは、味噌も砂糖も多目に入れること。濃いめの味付けにしないと、具だくさんの味噌汁みたいな味になり、豚汁と変わらない味わいになってしまいます。 

ちゃんこ寺尾で食べた味噌ちゃんこ

塩ちゃんこ鍋

塩ちゃんこ鍋は塩胡椒、ニンニクを効かせるとより美味しく感じられます。シンプルな味付けだからこそ、よりスープの味わいが感じられます。

基本的な作り方

基本的な作り方は、スープを作って先に味つけしてから、肉、野菜、魚介類、キノコ、練り物を食べやすい大きさに切って鍋に入れて具材を準備して煮込むだけ。野菜は大根、人参など煮えにくいものから入れることが美味しく仕上げるコツです。玉ねぎは、甘味を加えるために欠かせません。

練り物、油揚げは最後の方に入れます。さらに、油揚げは、鍋に入れる前にお湯をかけて油を抜くなど、ひと手間でちゃんこ鍋は美味しくなります。

肉、魚は加熱するから、消費期限間近になり値引きされたおつとめ品を買って入れてもよいです。朽ちかけた野菜を入れてもいいです。見映えなどは関係ありません。美味しければよいです。

相撲メシ

お相撲さんが作るから、ちゃんこ。我々が作ればちゃんこではないです。「一般人が作る相撲部屋で食べられているような料理を何と名づけるか?」そう考えたときに、マツコの知らない世界を見て、「相撲メシ」と言うことを決めました。相撲メシについて、お話する機会があれば、詳しく話します。

力士メシについて、オススメのレシピ本はこちら。

お気に入りは、肉団子。肉団子の味付けは味噌。肉団子を煮込むほど肉団子から旨味が染みだします。広がっていきます。ニンニク入りの鶏ガラスープに、煮えにくい根菜を、肉団子を投入。肉団子が浮いてきたら、葉野菜、豆腐、キノコを投入。最後にごま油を垂らすと、食欲が湧きます。

今回は、寒い時期に食べたい鍋料理の中でも、ちゃんこ鍋を紹介しました。次回、福岡県が発祥といわれる2つの鍋について、話します。

冬によく食べる鍋料理がありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。


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