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【詩】FIRE ON THE MOON2023

"見るがいい、吟遊詩人よ" 
"今宵も月は燃えている"
"…見えております、わが王(きみ)"

"平穏だったこの地球に"
"数多の災厄が放たれた"
"疫禍、戦争、裏切り者の群れ"
"民草は喘ぐ 果てなき絶望の日々に"

姑息な罠隠し持った
黒い翼の天使達
深紅の薔薇の唇 
耳まで引き攣らせ 嗤う
空を見ろ 月は燃えてる
この国は 罪に満ちてる

クピドの戯れと知らず
憎しみあう恋人達
言の葉の刃振るい
目には見えぬ傷を負う
空を見ろ 月は燃えてる
人の子のカルマを憂い
空を見ろ 星が震える
月の怒りが 夜を焦がす

畏れよ
神を忘れた愚かな人の子よ
平伏せ
今宵の月の輝きを
然(しか)と目に焼きつけろ

災厄の芽は潰えぬ
血で血を洗う争い
鈍色の雲は去らず
疫禍に民は膝を折る
空を見ろ 月は燃えてる
滅亡の気配(かげ)を嘆いて
空を見ろ 星が震える
月の怒りが 夜を焦がす

畏れよ
神を忘れた憐れな人の子よ
平伏せ
今宵の月の輝きを
然(しか)と目に焼きつけろ


畏れよ
神を忘れた愚かな人の子よ
平伏せ
今宵の月の輝きに慄け
恐れよ
神を忘れた憐れな人の子よ
平伏せ
今宵の月の輝きを
然(しか)と目に焼きつけろ

*******************

この詩は、2018年に書いた同タイトルの詩(更に言えば原型になった詩は2008年に綴っています)を、一部内容を改めてリファインしたものになります。

本作は以前上記の記事でも触れました通り【欧州クラブシーンのゴッドファーザー】の異名をとる著名なプロデューサーにしてシンガーのデイヴ・ロジャースが1980年代に【ALEPH】名義で出した同タイトルの曲に強くインスパイアされて書きました。

デイヴの【FIRE ON THE MOON】には近年セルフカヴァーされたものも含めかなりの数のリミックスが存在しますが、今回の詩のリファインに辺り1986年にリリースされたバージョンを強く意識しました。荘厳且つヒューマニズムを無視した電子音源による前奏と共に、女性シンガーとデイヴによる台詞の掛け合いがあり、非常に幻想的な雰囲気になっています。

今回内容を改めた部分には、特にこの近年世界各地をざわつかせているネガティブな事象を抽象的に盛り込みました。

こう言うダークな内容の詩を書く為なのか、近頃はワタクシと実際に逢った方から「想像しているより明るい雰囲気の方でビックリした」と言われる事が増えました。書いてるワタクシは心の中のネガティブを詩に託して吐き出してスッキリしているまであります。然し、ダークな気配を普段から電磁の海にて匂わす事に成功しているのだとすれば、それは却って作者冥利に尽きるのかも知れません。

(note・pixiv同時公開)

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