見出し画像

【ぼくは"元"航空管制官】ステージ6 ~どんな管制官になりたいですか?~

こんにちは。元航空管制官の田中秀和(たなかひでたか)です。
テクノブレインのゲームユーザーの皆さんの中には、将来航空業界で働きたいと夢を膨らませている若者も多いでしょう。今回はそんな方々へのメッセージを兼ねた回にしたいと思います。私も普通の子どもと変わらず様々な職業を夢として口に出す時期があり、その後中学生の時に自らが就く仕事として真剣に将来を意識し始めました。そして偶然にも出会ったのが管制官です。管制官という職業を知ってしまってからは管制官一筋で、調べれば調べる程管制官の世界が魅力的に感じました。実際に管制官になってからも天職だと思っていましたし、今でも管制業務を愛しています。

そんな私からお伝えしたいのが「管制官/パイロット/CAになるのが夢」というのは小中学生までにしておきましょう、高校・大学に進んだら「管制官/パイロット/CAになってから、どんなことがしたいのか」までイメージしてみましょうということです。これはどんな仕事にも言えることですが、仕事に就くことがゴールではなく、仕事についてからがスタートだからです。就職したことで満足し、燃え尽きてしまう若者も少なくありませんが、例えば20代前半で管制官になったとすると、そこまで生きてきた期間のおよそ倍にもなる40年程を管制官として過ごすことになります。志して夢を叶えるまでの期間の何倍もその業務に就き続ける訳ですね。なので、仕事に就く前からでも、どんなことをしたいのかをイメージし始めて欲しいのです。その仕事についてより考えることで、夢への思いが強くなったり、今自分が何に取り組むべきかのヒントにもなると思います。勿論実際に仕事に就くまでに抱くイメージはかなり漠然としたものになるでしょうが、この目標は年月と共に変化しても全然構いません。初志貫徹する必要はなく、より現実的又はより高度な目標へと変えていったら良いと思います。

ちなみに、私が現役のある時期から退職まで掲げていた目標は「運航者に寄り添う管制をしたい」でした。これは、たった一言ではあるものの、実現するにはもの凄い努力が必要でした。適切に相手に寄り添うためには、自らの業務も相手の業務も正しく理解しなければなりません。そうでないと、偏りのある不適切な結果になってしまうからです。実現のためには、知識も技術も常に磨き続ける必要が有りました。私の座右の銘の一つに「彼を知り己を知れば百戦危うからず」がありますが、まさにこれをストイックに実践しようと努めていたつもりです。その為、私から訓練指導を受けた後輩達からすると、私はさも鬼軍曹のようだったかもしれませんね。

業務に誠実に向き合っていたからこそ、人一倍仕事を楽しんでいたとも言えます。こういったオープンな場ではとても口に出来ない逸話も数多くありますから、また直にお会いした時に訊ねて頂ければと思います。他にも、今の私が大事にしている言葉に「The sky is the limit.」という英語の慣用句があります。直訳だと「空が限界」ですが、「限界は果てしない」に転じて「可能性は無限大」を意味します。私も第二の夢・目標に向かって今まさに頑張っているところですが、是非若者も今回の話を参考にして夢・目標を立て、それに向けた計画を実行し、その手に成功を掴んで欲しいと思います。次のステージもお楽しみに。
Good day!!

メッセージ、リクエスト、記事のご感想などございましたら、是非コメント欄へお寄せ下さい。コメントは全てチェックしておりますが、個別の回答は控えさせて頂きますのでご了承下さい。

田中 秀和(たなか ひでたか)
1983年生まれ、愛知県出身。「ぼくは航空管制官」や「ぼくは航空管制官2」をプレイし、航空管制官志望を固める。2001年国土交通省入省、那覇空港での勤務を経て2008年から2020年セントレアで航空管制官として勤務。2020年3月末に退職し、現在は全国の空港やミュージアムでの講演・トークショー、小中高校での職業講話、学童・児童センターで航空教室や紙飛行機教室等を実施する。テクノブレインではテクニカルアドバイザーを務める。Facebookアカウント:元航空管制官のCafe&Bar準備室