昨年の9月末のある日、叔母から電話があった。 数年前に地元へ戻って叔母と一緒に暮らしていた父が、失踪したので警察に届け出を出すと言う。 そのひと月前、父は朝早く…
わたしの義父はアメリカ人で、日本語はほとんど話せない。 「ダイジョウブ」「ソウソウ!」「ゴメンナサイ」「ドウゾー!」それぐらいかな。 「Ayako」という名前はアメ…
癌の診断を受けるすこし前、たまたま読んでいた小林健さんの著書に、彼が癌を自分で治すくだりがあった。小林健さんはニューヨークで活躍する自然療法医で、その本は『長生…
癌患者にとって、最初の大仕事は治療の方針を決めることだ。 自分で納得して治療法を選ぶこと。そして「癌を治すのだ」と決めること。これは、選んだ治療法がどうかという…
多くの人にとって、癌と診断されたときが、自分の死と向き合う最初の瞬間なんじゃないだろうか。 「死ぬことだってできる病気なんだ」 癌を告げられた時、はじめて「…
Ayako
2018年3月24日 14:10
昨年の9月末のある日、叔母から電話があった。数年前に地元へ戻って叔母と一緒に暮らしていた父が、失踪したので警察に届け出を出すと言う。そのひと月前、父は朝早くに軽装でふらっと出掛けて、そのまま戻っていないという話だった。部屋には免許証や保険証、鍵などがまとめて置いてあったそうだ。一瞬、どうしてひと月も届け出を出さなかったのかが気になったけれど、父の失踪は初めてではなかったから、叔母は、父
2017年12月6日 14:14
わたしの義父はアメリカ人で、日本語はほとんど話せない。「ダイジョウブ」「ソウソウ!」「ゴメンナサイ」「ドウゾー!」それぐらいかな。「Ayako」という名前はアメリカ人には発音しにくいみたいで、名前を呼ぶのもギリギリである。必然的にやりとりは英語になるのだけど、日本人には英語が理解できても話すのが苦手という人が多い。わたしももれなくそうで、完璧主義になりがちな性格も手伝って、言葉を口
2017年7月28日 12:51
癌の診断を受けるすこし前、たまたま読んでいた小林健さんの著書に、彼が癌を自分で治すくだりがあった。小林健さんはニューヨークで活躍する自然療法医で、その本は『長生きしたけりゃ素生力をつけなさい』だったと思う。最初に訪れたクリニックで「(胸のしこりは)おそらく、治療の必要なもの(癌)でしょう」と言われた日、わたしは、不安がありありと形になって、現実になっていく、まさにその瞬間を体験しているような居
2017年7月27日 12:16
癌患者にとって、最初の大仕事は治療の方針を決めることだ。自分で納得して治療法を選ぶこと。そして「癌を治すのだ」と決めること。これは、選んだ治療法がどうかということよりも、はるかに重要なことだ。 もっとも、病院で医師の言いなりになっていれば、ベルトコンベアーに乗っているようなもので、治療法は自動的に提示される。だけど、その場合にだってそれなりの覚悟が必要だ。たとえば、いまだに根強く信奉さ
2017年7月21日 23:44
多くの人にとって、癌と診断されたときが、自分の死と向き合う最初の瞬間なんじゃないだろうか。 「死ぬことだってできる病気なんだ」 癌を告げられた時、はじめて「死」の可能性を鮮明に感じた。変な言い方だけど、ぼんやりしたイメージしかなかったものが、突然鮮やかに姿を現したような、鮮烈な印象だったのだ。 その時から「生」は当たり前に与えられて、なんとなく続いていくものではなく、自ら選択する