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【CD/DVD/BD】プレスとコピー何が違うの?(実は全く違います・・・)

テックトランスでは日々、皆様からCD/DVD/BDのディスクの製作の御発注を頂いており、ありがたい事に御発注前の御質問も多くお問合頂いています。

お問合せ時に質問される事があるのが、
今回のテーマ「プレスとコピー何が違うの?」です。
※詳細に話すと本当大変な情報量になるので、ある程度の過程は省略し概要だけ書きますので、ちょっとした抜けがあるのはご容赦下さい。

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■CD/DVD/BDのディスク

そもそもCD/DVD/BDのディスクは「プレス」もしくは「コピー」のどちらかで作られています。
記事を読まれている方のお手元にあるCD/DVD/BDのディスクは、「プレス」「コピー」のどちらかで作られているはずです。

「手元にあるディスクはどれも再生できてるんだから、テックトランスはプレスとかコピーって言ってるけど、作り方も仕上がりも結局は同じなんでしょ」

・・・いやいやいや、全く違います。。。
そもそもの製作方法/過程から、完成時の仕上がりまで、何から何まで違うんです・・・。。。

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■製作方法

プレスとコピーとでは、ディスクの製作方法/工程が全く異なっています。
概要だけになりますが、下記にそれぞれ書いていきたいと思います。


【プレスでの製作方法】

プレスのディスクは、プレス工場「ディスク自体を」製作します。
そもそもプレスの製作の前段階では、ディスクは存在していないんです。

よく「プレスのディスクも空のディスクがあって、それに内容入れたり、印刷したりしてるんでしょ?」と思われている方がいらっしゃいますが、それはどちらかと言えば、後述のコピーの製造方法です。

工場と言うくらいなので、工場自体の規模もオフィスの1フロアなんて広さではなく、各工程で必要な専用の機器が、各工程の毎に並び用意されている、といった広い面積の規模感の施設で製造されているとお考え下さい。

※稀にテックトランスの事務所内でプレス作業をしていると思われている方もいらっしゃいますが、とてもじゃないですが普通の事務所や、一般家庭の住居クラスの面積の広さでは機器の一部でも設置する事はできないです・・・


お客様からお預かりしたマスターを元に、スタンパー(原盤とも呼ばれる金型)を専用の機器で作成し、それを元に製造していきます。
このスタンパーを用いて、ポリカーボネートという樹脂でディスクを製造しながら、ディスクの記録面に内容(音楽や映像などの信号)の情報を読み取るための凹凸を物理的に刻み込んで製作していきます。
※プレイヤー再生時は、この凹凸に光を当てて反射光から信号を読み取り再生します。
また内径23mm付近にスパッタと呼ばれる銀色のアルミ蒸着された箇所が作られます。

この後の別工程を経て、デザインを「オフセット印刷」または「シルク印刷」で盤面に印刷され、プレスのディスクが完成します。


※ネットを見ると
「カ○オケでCDプレスできます!」や、
「自宅でプレス作業した!」の様に書かれている事がありますが、
プレスディスクは様々な工程を経て製作されますので、プレス工場じゃないと絶対に製作する事はできません。。。


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【コピーでの製作方法】

対してコピーは「空のCD-R/DVD-R/BD-Rメディアに情報をコピーし、プリンタで盤面に印刷」をして製作していきます。
つまり、まずは「既にある空のディスク」が用意されて、そのディスクに作業を行っていくとお考え下さい。

お客様の中には、

  1. 家電量販店やコンビニなどで販売されている空のCD-Rメディアを購入

  2. ご自宅などのPCのiTunesなどアプリーケーションを使って内容を書き込み(音楽CDを作成)

  3. ディスク印刷機能のある家庭用プリンタ

こういった方法でディスクを作られた方もいらっしゃいませんか?
これらの工程をPCや家庭用のプリンタではなく、業務用の機器を使って空のCD-R/DVD-R/BD-Rメディア製作されるのが「コピー」で作られてディスクです。

コピー作業にはデュプリケーターと呼ばれる専用の機器が使用され、この機器がマスターから情報を読み取り、複製する形で空のCD-R/DVD-R/BD-Rメディアに光を当てて信号を書き込んでいきます。
そのためプレスで作られたディスクの様に凹凸を刻み込むのとは全く別の方法で、情報が書き込まれて作られます。

また盤面への印刷も業務用のプリンタでインクジェット印刷で印刷されます。
CD-R/DVD-R/BD-Rそれぞれが、メーカーやメディアの種類によって、印刷範囲が異なっています。

プレスとは異なり、デュプリケーターと盤面印刷用のプリンタのみを用いて作業を行うため、プレス工場の様な大規模な設備を有せずに製作作業が行なえますので、テックトランスも自社内の専門部署でコピー作業を行っています。

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■盤面印刷

ディスクへの盤面印刷もプレスとコピーとで方法も異なっています。

【プレスの盤面印刷】

プレスのディスクは「オフセット印刷」または「シルク印刷」の2種類の印刷方法があります。
どちらもレーベルフィルムと呼ばれる、盤面印刷時に必要なフィルムがお客様から御入稿頂いたデザインデータを元に作られ、それを使用して盤面印刷を行います。
「オフセット印刷」の場合はCMYK各色、「シルク印刷」の場合は使用する特色インク数のフィルムが作成されます。
(「オフセット印刷」と「シルク印刷」違いの説明は別の機会に)

またプレスのディスクは印刷面は、印刷作業は記録面と同様に鏡面上となっているので、ディスク鏡面を活かす仕様などもデザインデータの作り方や、御発注仕様(オフセット印刷の場合は白ベタの有無など)によっては作成可能です。

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【コピーの盤面印刷】

コピーの盤面印刷は「インクジェット印刷」によって行われます。
プレスのオフセット印刷と同様にCMYKの4色で着色されますが、プレスと異なりレーベルフィルムを作成/使用せずに印刷作業を行います

家庭用のプリンタでもラベル印刷ができる機種もありますが、それと同様の印刷作業をイメージすると分かりやすいと思います。
テックトランスのコピーサービスの盤面印刷は、業務用のラベル印刷専用インクジェットプリンタを使用して行っています。

また印刷前のCD-R/DVD-R/BD-Rメディアの印刷面は、元々が白地の状態となっているので、プレスディスクの様に鏡面を活かす事ができません。


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■その他の違い

【記録面の色】

見た目の違いとしては「記録面の色」が大きく異なります。
プレスのディスク記録面は無色透明のいわゆる鏡面状になっています。
(市販のディスク記録面を見ると参考になると思います。)

対して、コピーのディスク記録面は色味が入った鏡面状になっています。
(これも市販のCD-RやDVD-R等を御参照下さい)
一般的にはCD-Rは若干の黄色や水色、DVD-Rは紫色などの記録面に入った色味になっています。

【読み取り】

プレスディスクは、記録面に内容(音楽や映像などの信号)の情報を読み取るための凹凸を物理的に刻み込んでいるため、再生機器の種類や機器の状態によって起こる再生できない/再生エラーの発生といった事象が、コピーのディスクに比べて非常に少ないです。

コピーディスクは、空のCD-R/DVD-R/BD-Rメディアに光を当てて信号を書き込むため、再生機器の状態/種類によっては、再生ができなかったり、読み込みエラーなどの不具合が起こるなど、品質や焼込みの際の環境等により品質にばらつきが生じる場合があります。
また使用頻度が高く、読み込み部品が劣化してしまっている再生機器では、読み込みができない場合もあります。
◎例:同じコピーディスクを再生機器A/Bの2機種では再生できるが、Cの機種では再生できない。
◎例:同じ再生機器で、①/②のディスクは再生できるが、③のディスクは再生できない。

上記の様な理由から、販売店や流通会社によっては、コピーディスクでの受け入れ対応を行っていない場合もあるそうです。


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■メリット/デメリット/使用用途

CD/DVD/BDのディスクを作る面では同じですが、製作方法が異なるためメリット/デメリット、向いている用途がそれぞれにあります。

「プレスディスク」のメリット

スタンパーやレーベルフィルムを使用して製作を行うので、同じ品質/状態のディスクの製作が可能です。
そのため数百部(200~300部)の製作から、数千部、数万部の製作もプレスでは対応可能で、品質も保たれる(再生できない/再生エラーの発生といった事象が、コピーのディスクに比べて非常に少ない)上に、数量が増える毎に単価は下がりますので費用も抑える事ができるため、どちらかといえば300部~の比較的大部数向けとなります。
(100~300部などの数量で御発注頂くお客様も、もちろんいらっしゃいます。)

盤面印刷もコピーのインクジェットに比べて綺麗な仕上がりとなり、デザインデータの作成状態や御発注頂く盤面印刷仕様によっては、特殊な仕上がり(鏡面活かし、凹凸をつける等)の盤面印刷が可能です。


「プレスディスク」の使用用途

上記の品質が保たれる点や、再生時のエラーなどが少ない、仕上がりが綺麗、多くの数量を製作できるといった理由で、一般的に市販で販売されているディスクは「プレス」で製作されているディスクがほとんどの様です。

販売目的以外にも無料配布や特典、学校や企業内での配布のためのディスクを数百枚単位作られる場合は、プレスで製作される方もいらっしゃます。

また上記で説明した盤面印刷の仕上がりや記録面の色などは、プレスとコピーとで差が出るため分かる人には分かるため、数量が少ない場合でもコピーを敬遠してプレスで製作される方もいらっしゃます。


「プレスディスク」のデメリット

「コピー」に比べて、(一定数量までは)料金が高くなり、例えば1部でも御発注頂けますが、1部のみの製作でも100部と同程度の金額がかかってしまい、御入稿から納品までの日程もコピーより多く頂く事がデメリットになります。
ただある数量以上になると「コピー」の方が割高にはなるので、このデメリットは少部数でプレスを製作される場合のみとお考え下さい。


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「コピーディスク」のメリット

コピーで製作されるメリットは、スタンパーやフィルム作成しないで製作のできる「オンデマンド」での製作だからこそ、少部数(1部~数十部)から製作できる事、そして少部数なので「低価格」「短納期」な点になります。

そのため「できるだけ費用を抑えたい」「できるだけ早く欲しい」といった理由でコピーでご発注頂くお客様が多いです。


「コピーディスク」の使用用途

上記の理由で、学校の発表会などのCD/DVDをクラスごとで作成されたり、企業の配布資料、アーティストさんの物販やデモCDなどでのご発注が多いです。
また「少部数」「低価格」という点で、初めてCDやDVDを作られる方がコピーを選ばれる事もあるようです。

「コピーディスク」のデメリット

プレスのディスクと比べ、再生ができなかったり、読み込みエラーなどの不具合が起こるなど、品質や焼込みの際の環境等により品質にばらつきが生じる場合があります。
また使用頻度が高く、読み込み部品が劣化してしまっている再生機器では、読み込みができない場合もあります。

また記録面に色がついてしまっているため、分かる人が見るとコピーのディスクとすぐに分かってしまうため、見た目から安価な商品という印象を与えてしまう場合もあるかもしれません。

こういった理由からコピーでの製作を敬遠されるお客様もいらっしゃいます。



■終わりに

結局ちょっと長くなってしまいましたが、これでも省略して書かせて頂きました・・・。。。

プレスとコピーにはそれぞれに特徴や向き不向きがありますので、迷われる方は是非一度テックトランスにお問い合わせ下さい。