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技術史

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物作りの歴史・様々な身の回りの製品の歴史を簡潔に紹介します。
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2022年10月の記事一覧

【技術史】電子で刻む正確なクオーツ腕時計

【技術史】電子で刻む正確なクオーツ腕時計

1969年のクリスマス、世界で初めてクォーツ腕時計「クォーツアストロン35SQ」がセイコーから発売されました。それまで正確さを競っていた機械式の時計づくりの世界では、1日の狂いが数秒以上もありましたが、電池で動かす水晶(クォーツ)振動子を利用することにより1ヶ月で5秒以内の精度を保証できるようになりました。

水晶(クォーツ)振動子は正確な時を刻むための心臓部ともいえる「発振機構」を担う部品です

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【技術史】電子で刻む正確なクオーツ腕時計

【技術史】電子で刻む正確なクオーツ腕時計

1969年のクリスマス、世界で初めてクォーツ腕時計「クォーツアストロン35SQ」がセイコーから発売されました。それまで正確さを競っていた機械式の時計づくりの世界では、1日の狂いが数秒以上もありましたが、電池で動かす水晶(クォーツ)振動子を利用することにより1ヶ月で5秒以内の精度を保証できるようになりました。

水晶(クォーツ)振動子は正確な時を刻むための心臓部ともいえる「発振機構」を担う部品です

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【技術史】新幹線

【技術史】新幹線

1964年の東京オリンピック開催に合わせるかのように開業した新幹線。世界の高速鉄道開発の先駆け、高速鉄道といえば「シンカンセン」と言われるほど、世界的に新幹線は注目されました。

しかし、新幹線は東京オリンピックのために計画されたものではありません。新幹線のルーツは、戦前の「弾丸列車計画」にあったのです。東京から大阪、下関を経て、朝鮮半島・中国大陸までつなげようとするもので、東京と大阪の間では一

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【技術史】超々ジュラルミン

【技術史】超々ジュラルミン

太平洋戦争では、日本の戦闘機『ゼロ戦』は一度敵の背後を取ったら最後、確実に撃墜する恐ろしいスペックの戦闘機として連合国から恐れられていた。

このゼロ戦の翼の素材には当時、住友伸銅所の五十嵐勇が開発した軽くて強い最先端合金〝超々ジュラルミン“が使われた。
アルミニウムのうち純度99%以上のものが純アルミニウム、他の金属を加えて性質を改善したものがアルミニウム合金です。数あるアルミニウム合金の中でジ

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【技術史】アルマイト加工

【技術史】アルマイト加工

アルミニウムは地殻中の金属元素の中でも多く含まれているにもかかわらず、幅広く使われ始めたのは、1880年代以降と歴史が浅いです。それは、アルミニウムが他の元素と大変強く結びついていて、簡単に金属アルミニウムを取り出せなかったからです。電気エネルギーで酸化アルミニウムを電気分解して取り出しています。

アルミニウムが他の元素と強く結びつきやすいということは、金属アルミニウムは空気(酸素)や水と反応

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