デザイナーもユーザーも幸せに。ペアデザインのすゝめ
こんにちは。現場教育システムtebikiの鮫島です。プロダクト開発や、デザイナーが活躍できるデザイン組織作りに携わっています。
tebikiデザインチームは、エンジニアチームが既に実施しているノンソロ開発に触発され「ペアデザイン作業の1日平均を4hにする」をOKRのKey Resultの1つに掲げ、ペアデザインを実践しています。
この記事では、チーム一丸となって取り組んでいるペアデザインについてご紹介します。
ノンソロ開発すごいらしいよ
tebikiのEnabling Teamに加入した三宅により、9月から本格的なスクラム開発が導入され、プロダクト開発に大きな変化がありました。
その一つに、エンジニアチームが実践していたノンソロ開発の取り組みによる成果が共有されました。
これに衝撃を受け、感覚として肯定していたペアデザインをデザインチーム内でも実践しなければ、と強く感じるようになりました。
ペアデザインの理解
とにかくいっぺんやってみよう!という気持ちで、ペアデザインに関する断片的な情報をもとに、ペアプロをかじったような状態で導入をスタートしました。2人で行うデザイン作業は新鮮で刺激的なものでしたが「どういう作業をペアでやるべき?」「あまり会話せずに黙々と作業して終わったけどこれでいいの?」「誰がデザインの責任を持つのだろう?」といった疑問も生まれました。
個人的にはその価値を疑っていなかったので、チーム全員が納得した状態で積極的にペアデザインを実践して欲しいと思っていましたが、推進者としては、ペアデザインの正しい知識をインプットしつつ、チームメンバーが立ち返られる原則や細かなルールが必要だなと感じるようになりました。
そんな中CTOの渋谷から、O’Reilly社から出版されている『Pair Design』なるebookの情報を得たので、まずはこの本をもとにペアデザインの正しい方法を学ぶことにしました。
『Pair Design』 で語られるペアデザインの全容
『Pair Design』は、文章量としては手頃で、DeepLを活用すれば数時間で読み切ることができる軽めの本ですが、ペアデザインの価値や、実践方法とそのルール、Cooper、Pivotal Labsといったシリコンバレーで有名な企業のケーススタディがまとめられています。
この本をチームで輪読することでペアデザインに関する共通認識を持つことにしました。
要約すると、
『Pair Design』 読了後の実践
なんとなく個人の感覚で決めていたペア作業とソロ作業の線引きを捨て、プロダクトの機能改善から、サービスサイトのコーディング、バナー作成に至るまで、デザインプロジェクトの大小に限らずペアデザインしていくことにしました。
現在は以下のようなプロセスでペアデザインを行っています。
作業開始前
専用のSlack channelでテンプレートを用いてパートナーに依頼します。
※会話はHuddleで行っています。
また、OKRに紐付けた測定をしているため、開始時刻に加え、誰と何を行っったかを残すようにしています。
基本はFigmaを使って作業します。コーディング作業も、全デザイナーが使用しているエディタがVscodeだったため、拡張機能「Live Share」を使い作業を行っています。
作業中
はじめにシンセサイザーがプロジェクトの課題整理や前提の確認、作業の手順などを明文化しながら、ジェネレーターが作業に着手していきます。
作業中のログとして残したい発言は両者が残していきますが、議論の整理や、ジェネレーターのアイデアに対するレビューのログや利害関係者への共有を前提としたデザインプロセスの記録はシンセサイザーが行います。
途中シンセサイザーとジェネレーターの役割を入れ替えることで、新たな視点が加わり、よりダイナミックなアイデアが生まれることもあります。
なお、アイデアソースの収集や単純な複製作業については、ジェネレーター2名体制で行うこともあります。
作業が完了したらシンセサイザーが利害関係者との共有のためにデザインプロセスの整理や、共有時の段取りをまとめます。
作業後
終了時刻を記録して終了します。
ペアデザインの感想
本格的なペアデザインをスタートして得たポジティブな点は、以下のようなものがありました。
このように『Pair Design』 の中に記されていたメリットを実感することができました。
一方、『Pair Design』 に忠実なペアデザインを行う中で気になるポイントもありました。
最近は上記のポイントの改善と、ペアデザインの定着に向けた取り組みとして以下を行っています。
スキルセットや得意分野が凸凹になっていた方がどちらかの役割に徹しやすいので、スキルセットの共有と把握を行う。
基本はペア作業を前提とし、ペアで行うことの費用対効果を念頭におきながら作業を開始する。
「アプリケーションの都合で同期的に作業できない場合はソロで作業を行う」「作業の流れに左右されず、時間を決めて役割を交代する」といったルールを策定する。
役割の交代による作業遅延は短期的なものと割り切る、という共通認識を持つ。
ペアデザイン終了直前に、役割を全うできていたかなど、ペアデザインそのものに対する振り返りを行い、それを作業場所とSlackにログとして残す。
おわりに
今回はOKRとして取り組んでいる、ペアデザインの実践と定着に向けたプロセスを紹介しました。ペアデザインの最大のメリットは、お互いを補完しながらデザイン作業を行うことにより、学び合いながら、素早いアイデアの具体化と、高品質なクリエイティブを提供できることだと思います。
また、『Pair Design』 にも書かれていますが、ユニコーンデザイナーを採用することや、所属しているデザイナーが短期間に急成長するというのは非常に難しいですが、ペアリングを前提にした採用であれば難易度も下がると思います。そのためには個人とチームのスキルの可視化が前提になってくるのですが、それは別の取り組みとしてまたの機会にご紹介したいと思います。
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