チームの結束力を高める「なかよしごはん」(懇親会補助制度)
弊社では、部門内/他部門とのチームビルディングを目的とした懇親会を経費で負担する「なかよしごはん」という制度があります。
今回の記事では、この補助制度の意図と目的、問題点、事前申請ナシにしている理由などを解説します。
貴山敬 @tkiyama
なかよしごはん制度が生まれたきっかけ
1年で社員数が3倍になるような環境だと、社員がお互いのことをよく知るのはとても大事で、事業成長や離職率にダイレクトに影響します。
お互いのことをよく知る手段の一つが懇親会なのですが、代表の私がイベント苦手ということもあり、会社主催の懇親会はあまりやってませんでした。加えて、弊社のバリューのひとつ、「自分で考え自分で動く」という方針を貫いてきた結果、よくいえばプロフェッショナル、わるくいえば他の人に関心がないという冷たい職場になってきてる感覚がありました。
砂漠みたいな乾燥した会社になる前に緑化しないとまずいなーと思ってたところで、イベントが得意な社員から「懇親会企画したんですけど、これって経費だめですか...?」と聞かれたことが本制度が生まれたきっかけです。
企画してくれてありがとうという気持ちとともに、「これは会社が開催すべきところに代わって企画してくれてる!」と思ったので、経費ルールを作ったわけです。
弊社の「なかよしごはん制度」とは
会社が費用負担するべき趣旨の懇親会であれば、事前申請ナシで経費負担とするものです。
適用条件はこちら。
・社員の参加人数が5人以上
・飲食代が対象。ランチ/ディナーは問わない
・参加者1人あたり5,000円まで
・事前申請ナシ。事後報告でOK
「5人」にした理由
チーム内であれば普段のコミュニケーションも多く、懇親会の必要性は低いです。いつもと違う他メンバーを誘って欲しいので、そのラインとして5人としました。
「5,000円」にした理由
みんなで高級レストランに行こう!という制度ではありません。とはいえ、安すぎると懇親会の体験としてイマイチ、といったところのバランスをとって5,000円としました。
会社主催イベントのコストと強制力の問題
歓迎会、懇親会、MVP発表、創立記念パーティーなどなど、会社は様々なイベントを開催しますが、目的は同じで、社員間の相互理解を促進し、組織へのロイヤルティを高めて、事業成長に貢献する、みたいなところになります。
総務担当の方はよくわかると思うのですが、この企画はとてもコストがかかる。マンネリにならないように、費用対効果を考えて、みんなが喜んでくれるといいなーと思いながら、事前告知から当日の段取り、経費精算まで、諸々の手間と費用が発生します。
加えて、会社主催イベントの問題は強制力が出てしまいます。任意参加としたところで、会社が公式に主催したものにはそれなりに強制力があるし、参加しない社員には冷たい視線がそそがれることになります。
例えば半年に1回程度であればいいと思うんですが、これが毎月とかだと強制しすぎで、人によっては居心地がわるい会社になってしまうわけです。
事前申請ナシへのこだわり
以前に書いたこの記事で、みなさんに驚かれたのが「事前申請ナシ」という点でした。今回の「なかよしごはん」も事前申請ナシで、ここには私の強い意思があります。
事前申請ありのデメリットはすごくたくさんあります。
・管理者の手間が大きい
グレーゾーンをどうするか毎回聞かれます。しかも判断に迷うことが多く、都度議論が発生します。
・承認者によって判断が違うと不協和音の温床になる
AさんはわかってくれるのにBさんはわかってくれない。AさんはぬるすぎてBさんは厳しすぎる、みたいなことが起きます。
・承認者が「偉く」なってしまう
承認者が「認めてあげる」という立場なので、自分を律することができる人でなければ、どうしても偉そうになるのは避けられません。職業病だけどよくない。
・社員の自律心が育たない
自分で考えることを放棄させて、他責思考に誘導してしまいます。本人の問題だけど、制度も悪い。
・利用が進まない
国の補助金申請がめんどうすぎて諦めるのと一緒です。制度を作っても使われなかったら意味ない。
これらのデメリットが、事前申請なしにするだけですべて解決できます。多少の問題が発生したとしても、総合的に見て事前申請なしの方がコスパが良いよね、といつも思ってます。
制度の設計意図から外れて使われたとき
本制度も最初は利用も少なかったのですが、みんなが慣れて利用も増えてきた段階でこのような問題が出てきました。
・ただの飲み会補助で使われる → いつものメンバーで仲良くやるだけ
・二次会でも適用を申請 → 実質的にひとりあたり上限金額を超えてる
・ランチでも5,000円きっかり使う → 費用対効果を考えてない
これにどう対処するかが制度設計担当の腕の見せどころで、事前申請ナシのスタンスを堅持する場合、対応はこの4択となります。
対策①:議論するだけ
ルールは必要最低限にとどめ、社員の自主性に完全に任せる。議論することに価値がある、という考えです。
組織の有り様として美しいけど、よほどの自主性の高い集団でない限り機能しません。というか機能しない。
対策②:細かなルールを増やす
多くの会社はこれをやります。
例えば「一次会のみに適用。二次会には適用しない」といった細かいルールを追加します。これをやりだすと、ルールを増やす都度グレーゾーンが生まれるので、ひたすら細かくなる運命が待ってます。
この例でいうと「二次会」の定義が必要で、二次会から一次会不参加のメンバーが参加するときはどうするのか、一次会で話せなかったメンバーで集まるのはどうなのか、などなど。
各種用語の定義は高度な頭脳労働で、その時間があるなら事業成長に直接貢献する施策に使いたい。
対策③:自由に使って良いけど厳しく取り締まる
Netflix社では経費を自由にする代わりに、内部監査でサンプリング調査して悪用した人を解雇するとしています。自由と強権が表裏なこの仕組みの難易度はかなり高く、そもそも解雇規制が強い日本での実践は難しい。それに、心の弱い人に罪を作らせてしまうので、自己責任の範疇を超えてるよなーという気持ちもあり。
対策④:抽象度の高い目線で「目的」を修正する
弊社はこの選択肢をとっています。社員の自主性を尊重し、細かなルールを回避しつつ、適切な制度運用に誘導する。
直近では、コーポレートチーム内で議論してこの通り修正しました。今後も少しずつ変えていくと思います。制度は生き物。
【変更前】
【変更後】
(2023/1/3追記) 「チームビルディングごはん」への名称変更
社員がまだ20名程度だった当時、新入社員をフォローする仕組みはまだ整っておらず、管理職は全員プレーヤーでとにかく余裕がないし、社員同士の会話もとても少なかった時期でした。そんな中で、まずはみんなの会話の量をもっと増やしてコミュニケーションを円滑にしたい、という考えからはじまった制度が「なかよしごはん」制度です。その後、様々な仕組みができ、(まだまだ不十分ですが)一定の風通しの良さを作ることができたんじゃないかと思います。
そのため、お互いが仲良くなるためのただの懇親会ではなく、大きな事業成長を達成するためのチームビルディングの手段として活用して欲しい、という思いを込めて「チームビルディングごはん(TBG)」へと名称変更しました。
さいごに
Tebiki社の「カルチャー」では、この通り宣言しています。
この通り実践できるかどうかは組織設計にかかっていて、スタートアップだからこそ社内制度にこだわるべきだと考えています。今回の記事が組織運営に携わる人たちの参考になればうれしいです。
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