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大学生と一緒にこれからの子育て支援について考えてみた (前編)

先日某大学にて行った講義について、学生の皆さんから感想を沢山いただきました。20代の前半の言葉に心が揺さぶられ、一人の社会人としての覚悟を問いただされている気持ちさえしました。この経験を共有すべく、講義のスライドと共に一部を紹介します。(コメントは個人が特定されないよう、内容が変わらない範囲で編集してあります)後編はこちら

パパたちの言葉:思いつかなかった

以前、実際に私が登壇した自治体主催のセミナーでの一コマから、学生の皆さんにパパたちのコメントを話し合ってもらいました。

パパたちのコメントは非公開ですが、学生さんのコメントから想像してみてください。

「家事やっても、やり方が違うとダメ出しされる」
「こっちだって家事も育児もやりたいけど、仕事が忙しくてできない」
というのが学生の皆さんからの回答でしたが、実際は少し違いました。
聞いた時、学生の皆さんはちょっと息を飲んだ印象でした。

以下、パパたちのリアルなコメント聞いた学生さんたちの感想です。

女性の意見はよく聞くものだったので容易に想像できたが、男性目線の意見は初めてだったので、差があることを知った。特に男性側の「気楽に仕事辞めたいっていえない」のような意見は思いつかなかった。

つい女性側の味方をしてしまいがちだが、パパたちの言葉を聞いて「確かにな」と考えさせられた。実際に、今の現状を見るとむやみに仕事を辞めることは難しいのが当たり前だなと感じる。

今まで母性看護の講義の中で母親の役割について考えることはあったが、父親の子育てへの悩みについて深く考えたことがなかったため、家族としての子育ての問題について考えるきっかけとなった。男性、女性で家族役割によってストレスの感じ方が違うことも学んだ。

アンコンシャスバイアス:ずーと残っていることだなと思った

このスライドは講義では見せませんでしたが、事件の顛末を紹介しました。そこから、出席番号の話やランドセルの話へと発展。今の大学生の世代でも学校によって違うことも多く、驚いていました。

次男の反対を押し切ってピンクの上履きを学校に履いていった三男。その顛末は??

以下、学生の皆さんのコメント。「同じ世代でも違うねー」と盛り上がりながら、自分の中のバイアスに意識を向ける機会となったようです。

今日印象に残っているのは、出席番号のこと、ランドセル・上履きの色などの話である。その話を聞いて、男性は青、女性は赤となんとなく色で性別が分けられているということもずーと残っていることだなと思った

もう1つ印象的なのが、知らないうちに役割の固定が根付けられていたということ。私が通っていた学校は男女がシャッフルされた番号順で、男女混合が当たり前だと思って、今回の講義で初めて知り驚いた。同学年であっても男子が先の出席番号だった人もいると知り、子どもたちの環境から変えていく必要があると感じた。

無意識のうちに男女を分けている。幼少期から親に言われていたり、学校の制度を当然だと、疑問に思わず受け取るから。男の子らしさより、女の子らしさより自分らしさを考えたいし、他者にもそう接したいと思った

仕事と育児の両立で困ることは時間ということは知っていたけれど、その要因に無意識の思い込みが関わっていることは初めて知った。特に、出席番号のような無意識のうちに決められていたことである。

アンコンシャスバイアスでは、私自身はもし子どもが一般的にみんなが持つ考え方と異なるものを好んだとしても、好きなものを素直に楽しんで欲しいし、好きだと感じて欲しいから尊重したい。しかし、やはりアンコンシャスバイアスでもしこれで周りから浮いてしまったらどうしようと感じるなと思ったのも正直なところである。

好きなものを当たり前に好きと言えたり、周りを気にせず楽しむことができるような幅広い考え方をモテる社会になれば良いなと感じた。

「男は仕事、女は育児」「LGBTは生産性がない」などといった、イマドキ家族に「生き方」の押しつけは、息苦しいことばかりであると思う。勝手に決めつけられたり、過小評価されたりと常に肩身が狭く、何かに囚われている状態を仕事場でも感じてしまったらそれは辛いだろうと思う。「べき論」を押し付けないよう、どうしたいかを聞くことや、今は数字で伝えるといった工夫をしていくことが大切だと改めて気づけました。

スペシャリスト型&ジェネラリスト型:状況に応じで役割を変化!家族関係にもGood👍

最近の育児期家族はこんな風に制度やリソースを活用しながら「わが家流」に変化していると紹介したスライド。

スペシャリスト型とジェネラリスト型を行ったり来たりというのが彼らの思い描くライフスタイルにフィットしたのか、非常にコメントが多かったスライドの一つです。

私は役割固定のスペシャリスト型と役割交代いつでも可能のジェネラリスト型があることを知らなかった。共働きでもこれで役割分担すれば親のやることがバランスよくなり、家族関係も良くなっていくのではないかと思った。

ジェネラリスト型の方法がもっと幅広く知られていけば、女性でも男性でも過ごしやすい夫婦環境を作ることができるのではないかと感じた。家族ごとにわが家流の方法や役割、期間を考えて確立していくことが男女差を埋めるとともにこれまでのイメージの払拭やお互いの能力を評価することもなくなると感じた。

呪縛を特には勇気のいることだが上司や周囲の考えが男性も育休を取ることは当たり前という考えが定着すれば私たちが子育て世代になったときには男性も気軽に育休を取ることができるかもしれないと思う。そうすれば、役割の固定のスペシャリスト型から、役割交代がいつでも可能なジェネラリスト型に変化していくことができる。夫婦で自分達がどうありたいか話し合って状況に応じで役割を変化していくことで育児を協力して行うことができると思った。

チームわが家:社会がチームとして育ち合う家族で溢れたらいい

家族の周りの「ひと・こと・もの」と一緒に「チームわが家」で子育てしよう!という考えにも「いいね」を沢山もらいました。

「ひと・こと・もの」と一緒にチームわが家でいこう!

ただ、コメントが多かったのはチームわが家そのものというより、このスライド。
「共に育ち合う家族」が響いたようです。

「一緒に試行錯誤すること」が家族の育ちを促す

特に大事だと感じたのは、家庭内で育児と仕事を両立させるためには、「チームわが家」として、家族全員が試行錯誤して行動すること。「現状をより良くするためにあなたが犠牲になってね」という考え方ではなく、「こんな家族でありたいね」とチームとして分かち合い、育ち合う家族になることが大切だと思う

自分たちがどんな家族になりたいのか、なるためには何が不足しているのかチームとして育ち合う家族で幸せな生活を築くことに繋がると感じた。

家族内でもチームとして両立していくことの必要性について学ぶことが出来ました。どのようなチームにしていくのか、その話し合いなどを講座などを通して知ることでチームとしての家族が形成され子育てへの成長にも繋がるのだと感じました。

(チームわが家で)知識だけの向上だけでなくスキルの向上にも繋がり男性や女性が何かをするという価値観も薄れていくのではないかと感じました。子育て期は誰もが大変というような考えがあると思いますが成長するきっかけにもなり、夫婦だけでなく男女の価値観を変化させていく機会にもなると思いました。

子育てはわが家流。自分たちらしく、協力して家庭で支え合おう。そこからさらに輪を作りチームわが家が出来上がり、色んなツールを通して家族以外とも繋がりを持とう。

世の中の家族世代が、チームとして育ち合う家族で溢れることをねがっている。

ふざけ心が秘訣:苦痛や疲れは癒すのではなく楽しいに変換してしまえばいいのかも!

セミナーの冒頭で紹介したこちら。子育ては大変だけれど、めちゃくちゃ楽しい営みでもある!そう伝えたかったので、これを気に入ってくれた学生さんも多かったのが、とても嬉しかったです。

光の当て方で日々の見え方が変わってくるよ!ともちょっと伝えたかった
#うちちょけ とは家族の中でやっているおふざけや遊び「ちょける」:関西弁で「ふざける」

子どもがやっていることに名前をつけたら、なんだか愛おしくなるし子供も楽しい&子育てするお母さんやお父さんも楽しいんだろうなと思いました!きっと大きくなった時に~星人って遊んでたね!とか忘れない大切な思い出にもつながるのではないかなと思いました。

仕事と家庭について家庭ではちょっとしたふざけ心で育児をすることが、ストレスを溜め込まずとてもいい方法だなと思った。自分が母親になった時実践したい思う。

最初の雑談で、ふざけ心があると子育てが楽しくなるということを学ぶことができ、遊びを通して楽しむことも子育てには必要であることを頭に入れておきたい。そして、将来家族をもった場合には、ふざけ心も持ちながら子育てしていきたいと感じた。

講義では子育て家族の喜びや幸福についても取り上げられました。家族の絆や成長の喜び、子どもの成長過程での喜びなど、ポジティブな側面も重要です。子育て家族が直面する問題だけでなく、喜びや幸福にも焦点を当てることで、バランスの取れた支援が必要だと感じました。

また講義内で話していた子どものおふざけについても印象に残っている。子供がお風呂でいろんなものを持ってふざけたり、靴下をわざとあべこべで履いたりと言う一見叱られそうな行動を笑いに昇華するための活動というのはとても面白い試みだなと感じる。確かに苦痛や疲れを癒すのではなく楽しいに変換してしまえば育児がもっと楽しくなり良い子供の成長につながるのではないかと感じた。

と、前編はここまで。後編は学生の皆さん自身に照らし合わせたコメントもう少しスポットを当てたいと思います。