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【現場レポート】密着!うえだ映画づくり教室(前編)

こんにちは、やぎとまちの記録室のやぎかなこです。先日行われた「うえだ映画づくり教室」に、記録として密着してきました。上田市出身の映画監督・鶴岡慧子さんが講師となり、市内外から集った参加者20名が映画づくりに取り組んだ3日間。その様子を前編・後編の2回に分けてお伝えしたいと思います。

うえだ映画づくり教室とは?

うえだ映画づくり教室とは、長野県上田市にて開催された映画制作ワークショップです。上田市マルチメディア情報センターが主催し、同センターと旧宣教師館を会場に、オンラインでの事前ミーティングを含め3日間に渡って開催されました。

(鶴岡慧子さん)

講師は、上田市出身の映画監督・鶴岡慧子さん。2023年に公開された映画『バカ塗りの娘』は、「バカ塗り」と呼ばれるほど手間をかけて生み出される漆器「津軽塗」を受け継ごうとする女性の物語。津軽塗のように丁寧に物語を紡いだ鶴岡さんの映画づくりが評価され、今年、文化庁の芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞されました。

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(TEAMMATEのロゴ)

今回の企画および制作、進行を務めたのは「TEAMMATE」。「つくる人が楽しいと、みる人も楽しい」を合言葉に、つくること、そしてコミュニケーションを大切に映像制作に取り組んでいるチームです。うえだ映画づくり教室においても、LINEのオープンチャットを活用し、参加者とのきめ細やかなコミュニケーションを通して、映画づくりを共にするチームを育んでいました。

(小宮山みゆきさん)

また上田市出身の映画監督・小宮山みゆきさんも録音スタッフとして映画づくりをサポート。小宮山さんは、鶴岡さんが監督を務めた立教大学の記念映画『道のただなか』で助監督を担い、そのご縁から今回の参加につながったそうです。

はじめましてのミーティング

(うえだ映画づくり教室のしおり)

うえだ映画づくり教室は、6月1日(土)・8日(土)・9日(日)の3日間に渡って開催されました。初日の6月1日は、事前ミーティングがオンラインで実施され、参加者は「呼ばれたい名前」と「好きな瞬間」を自己紹介として発表。

好きなものではなく好きな瞬間というのは、珍しいアイスブレイクに感じましたが、「朝、コーヒーを淹れた時に広がる香り」「自然の中でも、街の中でも、鳥が飛び立つ瞬間」など、次々と発表される好きな瞬間に、参加者の人となりが柔らかく伝わってきました。

事前ミーティングでは、鶴岡さんが書き下ろした脚本についての話をはじめ、美術や小道具の募集が行われました。また参加者の中から俳優として映画に出演される方も決定。その後、翌週にあるマルチメディア情報センターでのワークショップに関する諸連絡をもって閉会となりました。

映画づくりをはじめる前に

事前ミーティングから1週間後の6月8日(土)。高校生から60代まで幅広い年代の方々が上田市内外からマルチメディア情報センターに集いました。やや緊張した面持ちの参加者たち。しかし、それぞれの佇まいから期待や高揚感が伝わってきます。

(受付の様子)

「子ども向けだけでなく、大人向けの映画づくり教室もあったら良いのにと思い、今回企画しました」開会の挨拶でこう語ったのは、マルチメディア情報センターの職員の尾崎由香さん。今回、TEAMMATEと共にうえだ映画づくり教室を企画・立案されました。

実は、わたしの知る限り、上田市では過去2回ほど子ども向けの映画教室が行われています。1回目は『南極料理人』の沖田修一監督、2回目は『風の電話』の諏訪敦彦監督がそれぞれ講師を務めました。

ちなみに沖田監督の回では、鶴岡さんもサポートで参加していたそうです。参加者の中には、小学生の時に沖田監督の映画教室に参加し、「鶴ちゃんにまた会える!」と、今回の映画づくり教室に応募したという市内の高校生もいました。

(映画を観ること、つくることについて語る鶴岡さん)

開会の挨拶の後、鶴岡さんから映画づくりの基礎知識についてお話がありました。映画制作の流れ。どのような人たちが映画づくりに関わっているか。俳優部、演出部、録音部など各部署の役割についての説明。鶴岡さんの話に頷きながら耳を傾ける参加者たち。映画づくりへの興味と関心がひしひしと伝わってきます。

各部署の説明の中で、鶴岡さんは「現場の神様は制作部。制作部が要です」と現場の進行を管理する制作部の重要性を強調。「演出部と制作部がしっかり連携できるとハッピーな現場になります」とにこやかに語りました。

(鶴岡さんに質問をする参加者の方)

質疑応答では、参加者から「先ほど、鶴岡監督は『監督は、現場では見るだけ』と話していましたが、監督に求められるものとはなんですか?」という問いが投げかけられました。「ちゃんと見ること。お客さんの目、作り手の目、両方の目でしっかり見ることが大切です」と鶴岡さん。映画監督とはどのような役割を担っているのか、その一端が垣間見えたように思います。

(使用するカメラの説明をするTEAMMATEの小幡さん)

鶴岡さんによる講義が終わると、参加者はそれぞれ希望する部署へと分かれていきました。俳優部、美術部、演出部を鶴岡さんが指導し、小宮山さんが録音部を担当。撮影部はTEAMMATEの小幡大貴さんが担当し、カメラやモニターなど撮影に使用する機材の説明を行いました。機材の使い方や現場での動き方を一通り学んだ参加者たち。いざ現場へと、軽やかな足取りで向かっていきます。

(撮影へと向かう参加者たち)

さて、今回のレポートはここまで。事前ミーティングからワークショップ1日目の前半までをお届けしました。後編では、1日目の後半から2日目の様子をご紹介。鶴岡さんと参加者のみなさんがつくり上げた「うえだ映画づくり教室」の様子をお伝えしますので、お楽しみに!

文責・撮影:やぎかなこ(やぎとまちの記録室)

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