くろまめ

頭の中にある事を時間のある時にほそぼそと書いていこうと思います。

くろまめ

頭の中にある事を時間のある時にほそぼそと書いていこうと思います。

最近の記事

晴れ時々雨#2

玄関を開けるとあまりの眩しさにみちは目を塞ぐ。まるで、もぐらが地面にどうしようもなく出たときのように家に戻りたくなる。 …今日はお気に入りの靴だし、きっと大丈夫。 心の中で呟きながら、目を瞑り足を踏み出す。 朝の時間は本当に憂鬱で早く夜にならないかと思う。早く巣に帰って、眠りたい。 みちはSNSのハートの数を数えて体の中で破裂しそうな太鼓を落ち着かせる。 「もうこんなにたくさん!」 トーストの写真についたハートマークに自分らしさを取り戻す。 「今日もいい日になり

    • 晴れ時々雨#1

      朝起きて、みちはテレビをつける。 「今日の天気は晴れ時々雨です。真夏日が続きますが、熱中症対策に…」 いつもの様に朝の天気予報を見ながら、魚焼きグリルに食パンを突っ込む。コンロの上では、小さなフライパンを温め始め、小さく切ったバターを冷蔵庫から取り出したら卵をフライパンに割り入れる。 「時々が1番困るんだよなー。」 卵を焼く音と換気扇の音だけが響く部屋で呟く。ここ最近のゲリラ豪雨は本当に厄介だ。折り畳み傘を持っていっても腰から下はびしょ濡れで役に立たない事が多いし、普

      • 暗闇の中に#4

        チャイムの主は、近所の家に住んでいるみすずの祖母。おかずを持ってやってきた。 助かった。 みすずはおばあちゃんが帰らないで欲しいと心から願った。安堵で肩の力が抜ける。 「夕飯もう食べた?おかずを多く作ったから持ってきたよ。」 「まだ食べてない。ありがとう。」 おばあちゃんに子猫の話を聞いてみよう。 脱いだ服を下着だけ着直した。いつ話が途切れるか、耳を済ませた。みすずはちょうど話終わった辺りで小さな声で呟く。 「おばあちゃん、あのね、実はね」 話を遮る様に安心す

        • 暗闇の中に#3

          「ただいま」 恐る恐る声を出す。 「ご飯まだできてないよ」 帰ってきた声の抑揚に安堵する。 「あのね…今日は友達と遊んでいたんだけど、自転車のチェーンが壊れて置いて帰ってきた。」 … 返事はない。ドキドキしながら、答えを待つが台所の油が跳ねる音だけ響く。 「もう一度戻ってとってくるよ。」 もどっても、図書館が開いているかわからなかったが子猫のことが心配でそういった。大きな背中が振り返えらずにいう。 「また、明日学校が終わったら取りに行けばいいよ。」 みすず

        晴れ時々雨#2

          暗闇の中に#2

          みすずが声をかけた子猫は三毛猫で、心配していることが伝わっていないようだ。小刻みに震えながら、狭い暗闇の中に無理やり後退りしていく。親猫が見当たらないし、兄弟も見当たらない。親 猫に忘れられたのかな。 そう思ってみすずは必死に手を伸ばす。冷たい階段と建物の隙間では寒くて夜が越せないかもしれない。子猫も見知らぬ誰かの手は怖いので必死に抵抗する。みすずは自分の手に痛みを覚え、手を抜くと埃がいっぱいについた黒くなったトレーナーの先の掌に血が滲んでいる。噛まれたのだ。 どうした

          暗闇の中に#2

          暗闇の中に#1

          それは風の子と言われる年頃でも厚めのトレーナー1枚では少し肌寒くて、手に暖かい温もりが欲しくなる季節。 その子はみすずと言う名前があり、暖かい図書館で暖をとりながら本を読んで時間を過ごすのが大好きでした。その日も学校が終わり、家に鞄を置くと一目散にお気に入りのマウンテンバイクに乗って図書館に向かいました。図書館では、色々な物語を拾い集め空想に浸ります。静寂の中で誰かが本のページをめくる音、ノートに途切れ途切れに書き込まれるペンの音。それは耳をすませば素敵な一体感のある不思議

          暗闇の中に#1

          はじめまして

          くろまめと申します。 ずっと、物語を書きたいと思っていたのですが日々の生活に揉まれ中々動け出せずにいました。動けないまま環境も変わりますます時間のない日々。どんどん歯車になっていって、自分と繋がる歯車も多くなって動かされてるけどもう自分では動けない状態で。良くも悪くも。 でも、少しずつなら出来るんじゃないか。と思いとりあえず足を踏み出すことにしました。人の目に触れる場所なので心が持つかわかりませんが、認められなくても抑制された自分らしさを取り戻すためにはじめてみようと思い

          はじめまして