晴れ時々雨#2

玄関を開けるとあまりの眩しさにみちは目を塞ぐ。まるで、もぐらが地面にどうしようもなく出たときのように家に戻りたくなる。

…今日はお気に入りの靴だし、きっと大丈夫。

心の中で呟きながら、目を瞑り足を踏み出す。

朝の時間は本当に憂鬱で早く夜にならないかと思う。早く巣に帰って、眠りたい。

みちはSNSのハートの数を数えて体の中で破裂しそうな太鼓を落ち着かせる。

「もうこんなにたくさん!」

トーストの写真についたハートマークに自分らしさを取り戻す。

「今日もいい日になりそうだ」

みちの家は駅まで徒歩5分の優良物件だ。携帯を見ながら歩き出してしまえばほんの一瞬。通勤通学のいつもの光景にふと考える。

…みんなこんなに急いでどこに行くんだろう

はっ、と自分もそうだと思いながら携帯に目を落とす。ハートマークをつけるお仕事をしながら、画面の向こうの相手と自分を比べる。

眩しい光に照らされて、みちの影が濃くなる。駅前の踏切で足を止める。

カンカンカンカン

踏切の音と列車の汽笛が響く。踏切が開いた瞬間、スタートの合図だ。皆、一斉に歩き出す。

改札を抜けて、階段を登る。アナウンスが響く。携帯を見つめているとバズっている投稿を見つける。

つづく…





サポートいただけると、自分の希望と自信と継続力につながります。あと、糖分にも…