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就活失敗して頭に来たので独立したが就活の方が楽すぎて草ww⑤

「社名は、とりべが決めてよ! 俺センスねーからさ(笑)」


普段の生真面目さのかけらもない
能天気な尾崎の返答に少し驚く。


なぜなら、大層な決断(無職独立)を、
 確定した直後だったからだ。


二人とも、とりあえず鳥かごから
羽ばたいて、身近な電柱で
下界をのんびり見降ろしている。


そんなスズメ的ポジションからの
“のほほん無職独立ライフ”がスタートした。


鷹のような獲物を狩る技術や勇ましさ、
烏のような荒々しさや狡猾さは
まだまったくない。


チュンチュンと可愛く鳴いてる程度の
存在からのスタートだ。


尾崎の言葉を聞いて、


“誘っておいて人任せとは、
 そりゃねーだろ”と思うも、
すぐに気づく。


そっか、自分で決めたんだから、
一つ一つが大事なことやから
積極的に動かねば!


「おけ!今日寝る時、俺が決めるわ!」


夜に、就活先もなく、
受験進学もせず無職確定の自分には

全く必要のない、
“カロリーメイト型単語帳”を 眺めていた。


大学受験は高校受験の失敗を踏まえて、
“強烈な学習”をしたものだ。


特に英語は、志望先の大学が
重要視している科目だったので、
徹底した学習を行った。


・1日2時間単語を予習する
・慣用句を単語メモに書き写す


そんな言葉が浮かぶだろうか?


残念ながら、
そんなクソみたいな努力ではない。

共学に進めず、男子校に進んだ時の
あの強烈な劣等感はある種の僻みや嫉みに変わる。


男子校は本当に楽しく、貴重な時間だと思ったが、
ああいう劣等感的なものは2度したくない。


じゃあ、一体どういう学習をしたのか?


答えは・・・


「英語の辞典をすべて暗記する」笑


「絶対に無理やろ?馬鹿かコイツ?」


クラスメートも頭良いのか、馬鹿なのか
よー分からんという顔をよくされた。


そういうのも引っくるめて、
チャレンジし続けたのだ。


Geniusという分厚い辞典は、
直訳すれば”天才”。

まさに英語辞典を覚えたとしたら、
その日を境に”天才になる”と思っていた。


本気でそう思ったのだ。


そうして、受験モードに入った
高校三年生から、


辞典を覚えて、みるみる成績も伸びる。
もはや、慣用句や単語とかいうものでなく、
「脳内カンペ」状態。


しかし、いよいよ受験前1ヶ月の際に、
とんでもないことに気づく。


「やばい・・・辞典のA~Gまで覚えたが、
 H~以降の単語間に合わへんかった・・・苦笑」


こういうところが、
ある種のじぶんの「らしさ」なのかもしれない。


まっすぐに”馬鹿”をすることを厭わない。


「どうせ、死なないんやし、
 かまへんかまへん。」的なモードだ。


そんな爆死寸前の受験直前に、
姉から貰ったのが、


“カロリーメイト型の単語帳”だ。


「ウチん時は、この単語帳からの問題が
 多く出て、良い点取れたんだよ!」


気遣いしてくれる姉に向かって、


「いやいや、年の差あるんやし、
 そんな都合よく受験項目に出るかよ!」


そう返していた。


じぶんの”性根”は、

基本的に曲がっている。


しかし、受験当日、
蓋を開けてみると、


“カロリーメイト型単語帳”
様様だったのだ。笑


結果的には、英語の点数も
96点以上?の結果で、
他も卒なく点数を稼ぎ、


無事に志望大学の合格を手にする。


その時味わった一種の”成功”には、
色んな要因があったのだが、
やけに印象に残っていたのが、


カロリーメイト型の単語帳にあった、
idiom(慣用句)だ。


“from now on”


当然、高校英語くらいなので、
説明はしない。


意味は知っていて、
「ふーん、で?」という程度だったが、
その後もずっと覚えていたのだ。


「・・・」

 「よし!!これにしよう!」


そして、眺めていた、
カロリーメイト型単語帳を置いて、


ベットの上にある携帯を手に取り、
尾崎をいつものベンチに電話で呼び出す。


鳥籠から出て、合流したスズメ達が、
 チーム名を決めてキャッキャ 喜んでいるようだ。

誰も気に留めない
「小さな”創作”」が、


後に“from now on”を
形成していくことになる。


こうして、社名が生まれて、
 “起業”というフェーズは始まった。


続く・・・



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