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なぜ渋滞はいつまでたっても解消されないのか-社会課題はシステムで捉える-

先の記事で、この『青いバラ』の活動の存在目的・テーマを以下のように紹介した。

「生きづらい社会を脱するきっかけに気付いてもらい一緒に成功体験を積み重ねていくことで、生きづらさを感じる全ての人、生きづらさに抗うことを諦めた人達が、『諦めてしまった人生』で得たかったものを得られたり『自分で決めた人生』を謳歌できるようにすること」

青いバラPJの存在目的・テーマ/https://note.com/team_blue_rose/n/n79ea22dec082

「生きづらさ」という言葉は、間違いなく青いバラの活動のキーワードだ。この「生きづらさ」というものは、なぜか個人の問題や責任であるように語られることが多いように私自身は感じる。「生きづらさ」についての具体的な話はまた別の記事で触れることにするが、私は「生きづらさ」というのは社会の仕組みによって引き起こされていると考えている。
つまり、「生きづらさ」は「社会課題」である、と私は考えている。

「社会課題」という言葉は聞いたことがある人も多いと思う。SDGsとか、紛争とか、貧困とか、少し自分からは遠いところの話だと感じている人もいるかもしれない。けれど私は、社会課題は常に自分も当事者で、それはもしかしたら不利益を被っている側かもしれないし、無意識に誰かの生きづらさの片棒を担いでいる側かもしれないと考えている。そして、おそらく誰もが両方の側面を持っている。誰もが何かしらの社会に属していて、関係性を持っているからだ。

社会課題には、以下のような特徴があると思う。

①関係者が多い
②誰も悪者ではないのに課題が生じてしまう
③解決しようとすると別のところで課題が生じてしまったり、悪化してしまう
④解決するのが難しく、長い時間取り残されて諦められてしまっている
⑤影響が表面化するまでに、時間的遅れを伴う

一言でいうと、社会課題は解消するのがとても難しい。その難しさを、渋滞を例にとってご紹介したい。

まずはこの図をみてほしい。これはなぜ交通渋滞が悪化し続けるかを表したものである。
私の父は家の近所の渋滞に巻き込まれるたびに「いつになったらここは道を広げるんだ」と文句を言っていたが、この図をみると、道を広げても渋滞は解消されるどころか長期的には悪化することがわかる。

先程、社会課題の特徴を5つ挙げた。それらと渋滞を照らし合わせてみる。

①関係者が多い
道路には多くの関係者がいる。
利用者、管理者(国だったり、市町村だったり)、道路工事業者、近隣住民、自動車メーカー、公共交通機関など。
道路を広げたり道を作るには近隣の住民との交渉が必要になる、あるいは利用者が減る懸念のある公共交通機関はあまり嬉しく思わない可能性もある。関係者が多ければ多いほど、全員の納得できる行動を選択するのは難しくなる傾向にあると言える。

②誰も悪者ではないのに課題が生じてしまう
この渋滞も、わざわざ誰かが「渋滞を悪化させてやろう!」と思って何かをしているわけではないことが図から読み取れる。しかし、結果として渋滞は悪化してしまっている。

③解決しようとすると別のところで課題が生じてしまったり、悪化してしまう
これも図から読み取ることができる。
道路の渋滞は悪化していくし、公共交通機関離れは新たに引き起こされてしまった課題と言える。自動車の利用頻度が増えたら、二酸化炭素の排出量が…といった聞きなれた課題にもつながるかもしれない。

④解決するのが難しく、長い時間取り残されて諦められてしまっている
諦められているかはさておき、渋滞はなかなか解消されないことが多い。父が文句を言っていた実家の近所の渋滞は私が生まれるよりも随分前からのことだ。高速道路の渋滞の発生しやすい場所もだいたいイメージがついているのではないだろうか(私が引っかかりがちなのは談合坂あたりだ)。

⑤影響が表面化するまでに、時間的遅れを伴う
これが社会課題を生むシステムの中で一番厄介と言えるかもしれない。渋滞の事例を見てなんとなくイメージできるかもしれないが、渋滞を解消しようと働きかけることで、将来的に公共交通機関の利用率が下がるなんて、ちょっと考えただけでは思いつきもしないだろう(産業革命がイギリスで起きたとき、まさか二酸化炭素による地球温暖化が後々起きるなんて多くの人は考えてなかったんじゃなかろうか)。そんな時差爆弾によって、課題は複雑かつ深刻化してしまう。

ここまで細かく渋滞を例にとって解説してきたが、渋滞の解消がなぜ難しいのか、あるいは、解消の難しい課題の特徴は何か、なんとなく理解いただけただろうか。
こういった複雑化した課題は、全体を俯瞰して打ち手を考える必要がある。
そして事象全体を俯瞰する際には、今回渋滞の事例で用いたシステム思考の手法のひとつである、「因果ループ図」が有効である。

青いバラの活動で取り扱う社会課題は、現時点では以下4パターンのステークホルダーを取り巻くものを想定している。

①困りごとを抱えていると外側から見てもわからない人とその家族
②LGBTQIA+
③働く女性
④子育て中の親

今後のnoteでは、上記4パターンのステークホルダーの詳細と、ステークホルダーを取り巻く社会課題を因果ループ図で可視化したものを取り上げていく。自分の身近に社会課題が潜んでいること、あるいは自分も当事者であることなど、新たな気付きをお届けできたらと思う。


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