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【現地取材】十和田の「窓」の先には、日本の未来がある〜日本の誇りはこの現場から〜

 僕が思うにまだ日本には世界に誇れる匠や商品、企業が存在すると思っていて、特に地方を中心にまだ発掘されていないものがあるように思う。だからこそ、僕は青森にある十和田市にやってきた。

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 色々な場所へと案内いただいたが、ここは緑に溢れ美しい渓流も、壮大な十和田湖もある。しかし、こうした豊富な観光資源を持ちながらも、いざ市街地を見ると、シャッターが閉まっている店も少なくなく、若干悲壮感が漂う気もする。だがそれが地方のすべてかと言われれば、決してそんなことはないと思っている。

 時代は変わり、地方の活性化のあり方が変質してきた。商店街を見るだけではその真実を映し出しているとは、言えないと思うのだ。彼らなりに活性化は模索されており、むしろその動きにこそ、目を向けるべきだと考えた。

 自らの地元への愛を持って、会社を興し、地方とそこに住む住民、ひいては日本に輝きをもたらしている。とある十和田の企業に焦点を当ててみた。

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 今日、尋ねたのは十和田に本社を構える「株式会社 日本の窓(ニッポンのマドと読む:以下、日本の窓と表記)」という企業で、その工場にやってきた。同社は、木製サッシの製造をしていて、誕生したのは今から僅か2年前。だが、今や28名のスタッフを抱え、地域に雇用をもたらしていて、立派な地域の立役者だ。

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 もともと日本の窓の社長 中野渡利八郎氏は既に東京で「株式会社東京組(以下、東京組)」という注文住宅やデザイン住宅を専門に施工する工務店を経営している。日本の住宅は圧倒的にアルミ製サッシが主流の中、木製サッシであることの必要性を誰より強く説いている。

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 それを受けて、日本の窓が強調するのは、充実した住宅環境だ。日本は物作りの先進国と言われて久しいが、住宅においては別で、特に窓の断熱性能に関しては最低基準すら定められていない。

 それ故、依頼主も建築士も、大事な事に気づけない。同社は、日本の住宅の窓においては、安価で扱いやすいアルミ製が重視されているわけだが、断熱性能を鑑みれば、木製サッシがもっと普及するべきだと主張しているのだ。アルミ製サッシがどうこう言っているのではなく、木製の良さを知らしめ、お客様にその選択の幅を広げようとしている事にこの会社の価値があると思う。

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 例えば、木製サッシはアルミ製と比べても、いざ火事が起きた際にそのものが溶けにくく形が崩れない。なので、その分時間稼ぎができて、その被害を人間から守れる、という大事な側面がある。

 実用面だけではない。中野渡社長は海外の住宅事情にも精通していて、インテリアの一部としてセンスの良さが際立ち、上質感のある雰囲気を醸し出すのは木製サッシが一番だとしている。

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 つまりは、窓を通して、日本の住宅建築の常識を覆し、その答えとして、木でまっとうな窓を作る、という着想に繋がっていく。

 その上で、地元に目を向けた。八甲田山にのぞむ豊富な緑は、青森の強み。木材もまた青森県のスギの木にこだわった。それを生かして、この十和田に製造工場を作ろうと決意したのだ。

 そして木製サッシに関して、この工場にふさわしい設備と環境を備えた。作業過程で効率化を測って、コストを最小限に抑え、その定価を下げてユーザーにとって敷居が高すぎないように配慮したのだ。全ては多くの人に木製サッシの素晴らしさを実感してもらうために、だ。

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 工場に行けば、その責任者が「私達のこだわりとして無垢材を使用しています。自然ならではの風合いを醸し出し、素材の良さを引き出します」と胸を張った。
「当然、無垢材ゆえに傷がつきやすかったりする部分もあるが、そういうデメリットも工場の一人一人の発想と力で製造工程を見直しながら、それが最小限となるように工夫している」とも。努力と汗と涙の結晶だ。

 そして、素材と共に歩もうという同社の決意と愛は、ユーザーにもきっと伝わる。創業以来、クレームがないというのも納得だ。

 十和田は中野渡社長の生まれ故郷。自然への理解があるからその資源を生かし、自らの想いとともにビジネスを立ち上げ、雇用を生んで、日本のユーザーに喜びをもたらし、結果、生まれ故郷に恩返しをしている。

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 工場長はこうも話す。「ここのスタッフは僕以外は皆、十和田出身です。また、専門家がいたわけではなく、皆が木の勉強から始め、大掛かりな機械の使い方に至り、木製サッシ製造の難しさと向き合い、半年の年月をかけて勉強を重ねた上で取り組んでいます。」

 「勿論、この姿勢は自治体にも伝わっていて、それらの施設にもこの木製サッシは取り入れられているなど、多くのお客様と共に、事業も年々、順調な成長を見せています」と。

 やっぱり、この企業は地方の活性化をもたらす立派な立役者であり、十和田の中における良質な循環が生まれている。そして全国に広がっている。

 ここにきて、改めて思う。今、地方に求められるのは「どうやったら良いか」と誰かに教えを請うことではなく「まずは自ら考え、早く行動を起こすか」という主体性なのではないかと思う。都会であろうが地方であろうが同様に失敗も成功もあって、何かを理由にして行動しない人は何も変われない。

 だから一歩踏み出した「日本の窓」の取り組みが意義を持つ。なぜならこの企業を見て「我こそは」と自ら奮い立たせられるかどうかが、一番地方の活性化にとって一番、大事なことだし、そこなくして、地方創生などないと思うから。

 日本の窓に続く、十和田の新しい扉を開く企業は、どこか。日本の明日はその一歩にかかっている。
#十和田   #地方創生 #住宅 #ビジネス #新興企業 #起業

ペンは剣より強しと言います。だから本気でここで書く一言、一言で必ず世の中は変わると思っています。そのあたたかなサポートが僕への自信となり、それが世の中を変えていくはずです。