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プレゼン本のノウハウは役に立ったのか?TEDの原稿ができるまで

昨年TEDxに出た時の動画が公開されました。当時原稿づくりに苦しんでいた記録が残っていたので公開します。

単に実例を載せるだけではなく、登壇が決まってから急いで読んだ「TED本(TEDに特化したプレゼン指南本)」の中から、実際に従ったアドバイスも引用していきます。この引用部分だけ読んでいただいても役に立つかもしれません。

「プレゼン 原稿」とかで検索してる人や、急にTEDに出ることになった人の役に立ったら嬉しいです。ぜひ好きな項目から読んでください!

参考までに、最終的な実際のTED原稿(下のnote)とこのnoteを照らし合わせていただけると、ビフォーアフターが分かりやすいです。

TEDxのトーク概要

持ち時間は一人当たり最大18分(パフォーマンスなど含め)。
他のTEDxも同じかは分からないけれど、今回は登壇者(スピーカー)一人一人に担当のメンターがついていた。

最初はメンターの子と話しながら、タイムライン(各話題の時間配分)を決めていく。しかしタイムライン以外の細かいところは自力である。すぐに行き詰まった。

以下のTED本をKindleの読み上げ機能で常に流しておいて、作業しながら何回か聞いた。(この記事内の引用は全てこの2冊から)

初稿ができるまで(スピーチ構造の画像あり)

TED本によれば、台本をいきなり書き始めると書き言葉になるので、まずは普通に話したものを文字起こしするといいらしい。
確かにメンターの子と話してる時はスラスラ言葉が出てくるしなと思って、一人で音声入力機能を使って喋ってみたら、びっくりするぐらいネガティブな言葉しか出てこなかった。5000字分ぐらい、いかに過去数年が暗くて孤独だったかを話していた。

とりあえずトラウマである茶道教室に関する部分は後回しにして、別のセクションから埋めていった。初対面の人向けのプレゼンでは、まだ克服していないトラウマやコンプレックスを安易に話題にしてはいけないようだ。

結論からいうと、一人でブツブツ喋るのではなく、実際に誰かに話してみたほうが原稿が作りやすかった。TED出演について唯一話していたパートナーに大まかなアイデアを話して感想を聞くと、自分が話したかったことの骨子が見えてきた。

TED本によれば、効果的なスピーチ構造は3つあり、私は〈現状ー問題提起ー解決策〉型を採用した。茶道に限った話だと思われてしまうと聴衆と課題を共有できないし、単純に「これもお茶だ」というコンセプトだけ話しても人を動かせない内容だからだ。

①〈現状ー問題提起ー解決策〉型、②時系列型、③アイデア・コンセプト提起型(『世界最高のプレゼン』より)

私のまとまっていない話を〈現状ー問題提起ー解決策〉型に当てはめてもらったのが以下の写真。ちなみにこの字を書いたのは私ではない...。

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このホワイトボード(の読める部分)を参考に、初稿を2〜3時間で書き上げた。暗い話はひとまず書かずに飛ばして、大枠だけを書く。

自分以外の誰かをヒーローにする

初稿時に意識したのは、わかりやすいストーリーだ。私の場合、茶道教室を離れて独りになったが、共感してくれる人が増えてきて独りではなくなるという「スルーライン」(『TED TALKS』に詳しい)を描いた。
そしてその「共感してくれる人」をプレゼンの後半に登場させようと思ったのだ。

「自分以外の誰かをヒーローにすることが、人の心を動かすストーリーづくりのコツ」(『世界最高のプレゼン術』より)

例えば、私の原稿にある「他分野の人が『これもお茶じゃないか?』と言ってくれたことで、(中略)私は自分の実力以上のことを成し遂げられました」というセリフは、初稿から最終稿までずっと残っている。

「自分の実力や努力のおかげで成功しました!」とプレゼンしても、ただ自慢話を聞かされたみたいでシラけるし、聴衆にとって再現性がない。「スピーカーが何をしようとしているか」ではなく「聴衆が何を得るか」を話せ、とTED本でもよく言われていた。

「創造のプロセスを見せてほしい。どうやってそこに到達したのか?その間にどんな失敗をしたのか?」(『TED TALKS』より)

ただし、あまりにも別の人が主役の話をしてしまうと、なんでその主役ではなくこの人がTEDに出てるんだと思えてきてしまう。誰かが引き立つ話でありながら、「私」が話す必要性のある物語でないといけない。

キャッチフレーズをつくる

私のプレゼンは「これもお茶だ」という謎のフレーズがくどいぐらい出てくる。TED本の中でキャッチフレーズを作るよう勧めているものがあり、オバマ元大統領の「Yes, we can」が例に挙げられていた。オバマさんのスピーチを聞いたことがない人でも「Yes, we can」という文がポジティブな意味だと(文単体で見ても)分かることが重要なのだと思う。

「キャッチフレーズを最低でも3回は繰り返そう」(『世界最高のプレゼン術』より)

「これもお茶だ」はTEDより前から言っていた言葉だが、プレゼンでキャッチフレーズを作る効能はあると思う。スピーカーがどんな人生を送ったかといった複雑な話よりも、キャッチフレーズが持つコンセプトやアイデアは残りやすいからだ。

大切なのはあなたではなく、アイデア

上とも関連するが、複雑なことを言いたくなるたび、TEDは苦労話や成功譚を聞いてもらう場ではなく、聴衆にアイデアを持ち帰ってもらうための場だ、と何度も思い直した。

「大切なのはあなたではなく、アイデアだ。そのアイデアを伝え、贈り物として差し出すことがあなたの仕事だ。」(『TED TALKS』より)

あなたのことを知っている聴衆もいるかもしれないが、大多数は初めてあなたを見る人である。

人生の複雑さはどうせ18分では伝わらないのだから、シンプルなアイデアが少しでも聴衆の中に残ることが大事だと思う。それで誰かがスピーカーに興味を持ってくれたのなら、その時は名前でググってもらえるはず。

もちろんTEDは人生で何回も出演できるものではないし(何回も出てる人はいるが)、だからこそ自分の全てを詰め込みたくもなる。しかし多分逆効果だ。何か大仰なことを言いたくなるけれど、私が28歳の今話せることだけを話さないと説得力がなくなる。これから老成してもっと立派になれたなら、そのときにまた文章を書いたり人に話したりして、年取ったなりの考えを伝えられたらいい。

つまり大事なのは、これからもまだ伸び続けて、自分を更新していくことだ。TEDがピークかのように盛り込みすぎない。でも今できる最大限の説得力で話す。

完成したTED動画

そうやって泥臭く完成させた最終形態がこちら。上述のTED本ノウハウは果たして役に立っているのか?!

原稿うんぬん以上に、そもそも話し方に課題があると痛感します...。原稿、話し方など、ぜひ反面教師にしてください。

初めまして、Teaist(ティーイスト)です。 noteまたはSNSのフォローをしていただけると嬉しいです🍵 Instagram https://www.instagram.com/teaist12/ Twitter https://twitter.com/amnjrn