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【1話完結小説】しゃべるピアノ(405文字)

ヒナが小学校に入学して驚いた事は、担任のタチバナマリ先生がとっても優しいお姉さんみたいな先生だった事。小学校の先生って、もっと怖くて厳しい大人だと思ってたから。

マリ先生の授業では音楽が1番好きだった。マリ先生が弾くと音楽室のピアノも生き生きと歌い出す。

「まずは学校の一員として校歌を歌えるように頑張ろうね」と言われて、みんな一生懸命練習した。歌詞を間違えるとピアノが「輝くじゃないよ、きらめくだよ」と熱心に教えてくれたりもした。

最終的にみんなが校歌を上手に歌えるようになった時、マリ先生もピアノも「素敵!」「やったね!」と大喜びで褒めてくれた。


ヒナが2年生になって驚いた事は、ピアノが喋らなくなってしまった事。マリ先生は異動になり、怖くて厳しい女の先生が担任になった。

「ね、喋ってよ」
音楽室でポロンとピアノを鳴らし呼びかけてみた。ピアノはずうっと知らんぷりを決め込んでいる。マリ先生に会いたいよね…ヒナもだよ。

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