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【1話完結小説】壊れるモノ

 先週、ニンジンの皮を剥いていたら、長年愛用していたピーラーがいきなり壊れてしまった。

 それからしばらくして、お気に入りのマグカップを落として派手に割ってしまった。

 今朝は、昨日まで普通に動いていた洗濯機がうんともすんとも言わなくなってしまった。

 こうも立て続けに身近な、あまり壊れないような物が壊れ続けると少し不安になってくる。

 運気が下がってるのかな、それとも誰かに呪いでもかけられた…?ただの偶然、こじつけ、思い込み…そう考えようとしても、思考はどんどん暗い方へと引き寄せられていく。

____次は何かもっと大きな、大切な物が壊れるのではないか。

 私の脳は当然のようにそんな予感を抱き始めた。人間は、考えた通りの結果を無意識に呼び寄せてしまうというから、なるべく考えないようにしよう。

 考えないように…考えないように………ダメだ!!

 いつの間にかどうしても考えてしまう。

 何が壊れる?洗濯機より更に重大な物…。車?家?それとも大切な家族?…そんなの絶対嫌だ!!

 それから1週間ほど不安な日々を過ごしたが、私の悩みはある朝あっさりと吹き飛んだ。

____地球が、壊れた。


end

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