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【1話完結小説】株式会社リストラ(404文字)

定例の退屈な月初朝礼。しかしその朝は様子が違った。

壇上の社長の横に、シュッとしたスーツの男が5人。中の1人が喋り始める。

「はじめまして。スムーズな会社再建をサポートする“株式会社リストラ”の鬼頭と申します。突然ですが皆様にはこの後、私達と鬼ごっこをして頂きます。」

ざわつく約100名の社員。鬼頭は続ける。

「御社敷地内を範囲とし、本日の定時17時まで自由に逃げて下さい。鬼に肩を叩かれた方はリストラ確定。定時まで残った方々で賞金500万円を山分けです。」

唐突にゲーム開始の笛が鳴る。

逃げる社員。隠れる社員。次々肩を叩かれ、社屋のあちこちで上がる絶叫。

社長の楽し気なアナウンスが響く。

「ここで総務の山田、リストラ!残り48人!」「腕はセーフ!林、間一髪!」「敗者復活チャンス到来!」

いつしかみな童心に返り、本気でゲームを楽しんでいた。

“リストラにエンターテイメントを”
株式会社リストラ、ご依頼お待ちしております。

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