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【1話完結小説】西瓜人生


僕の人生は、まるで種の多い西瓜を食っているようだと思う。思い切り楽しみたくても、口中で種を選り分けるのに手一杯。そしていくら慎重にやっても失敗して、時にガリリと固くて苦い種を噛まされてしまう。そんなことの繰り返しだ。

そして最近、僕はもっとショックなことに気付いてしまった。周りの奴らをよく見れば、そもそも西瓜じゃなく苺やメロンを手にして優雅に食っているじゃあないか。奴らは種のことなど気にせずに思い切り楽しんでるし、西瓜なんかよりもめちゃくちゃ美味い思いをしているんだ。同じ人間なのにどうしてこんなに違ってしまったのだろう。

シャクシャクシャクシャク…

後ろで不意に音がした。振り返ると兄ちゃんが凄い勢いで西瓜を食っていた。

「バカだな!種が固くて苦いからってなんだよ!食感のアクセントになって良いってもんじゃねぇか!種なんか気にせず噛み砕け!そして飲み込め!お前はそれができる力を持ってる!」

兄ちゃんはニッと笑って僕にピースサインをした。

励ましてくれてありがとう、兄ちゃん。その気持ちがめちゃくちゃ嬉しかった。やっぱり兄弟って良いなって思った。だけど僕は兄ちゃんに向かって言った。

「兄ちゃんの西瓜は種無しだからいいよな。」

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