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英文法解説 テーマ12 特殊構文 第1回 単語や語句を「強調」する方法

 こんにちは。今回から新しいテーマ、「特殊構文」と呼ばれているものを扱います。といっても、何も「特殊」なことはありません。あえて言うと、時制や準動詞や関係などの文法規則に従って出来上がった英文をブラッシュアップする際に用いられる手法、つまり、「最後の仕上げ」というイメージです。

 具体的には、強調・倒置・省略について扱います。これらの文法操作がなくても英文を完成することは可能ですが、これらによって英文の流れがスムーズになったり語句に強弱がついたりします。今回のテーマ12「特殊構文」では、これらを1つずつ解説する予定です。第1回目の今回は「強調」です。では、早速始めましょう!

動詞の強調

 まずは、「動詞の強調」からです。一番単純な方法としては、例えば、I like it.「それが好き」に対して、I like it very much.「それが大好き」のように、副詞要素very muchで強調することができます。また、日常会話であれば、“I LIKE it!”のように、likeを強く発音するだけでも強調できます。ただ、今回は「助動詞」を利用して動詞を強調する方法を紹介します。実は、テーマ7「助動詞」で解説したようなcanやwillやmustなど以外にも “do/does/did”が「強調の助動詞」として機能することがあります。

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 do/does/didと言えば、一般動詞を使った否定文や疑問文で用いられるほうが一般的だと思います。しかし、これらdo/does/didは、助動詞として肯定文にも使うことができます。その場合、「本当に」や「実際に」という訳し方をすると、一般動詞の強調のニュアンスが生まれます。例文で確認しましょう。

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この強調の助動詞do/does/didは、命令文にも適応することができます。

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この場合は、特に訳し方を工夫する必要がないです。状況によっては「是非~してください」と丁寧な言い方になることもあります。

疑問詞の強調

 次は、疑問詞の強調です。疑問詞wh-を強調するには、on earthin the worldといった語句を疑問詞の直後に置くのが一般的です。

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 これは、意外と覚えにくい、というか混乱しますよね?onかinか無冠詞かtheの有無、字面だけで暗記しようとするよりも、実際に何度か発音してみて口と耳で覚えるのがおススメです。他にも、副詞everを使って疑問詞を強調することもあります。まとめて、例文で確認しましょう。

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 on earthやin the worldは疑問詞の直後に置かれ、その疑問詞を強調するというのがポイントです。もし、これらが文尾などにあれば、文字通りに「地球上で」や「世界で」と訳すので、何でもかんでも疑問詞の強調だと即断しないように気を付けましょう。

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 もし、in the worldがWhereの直後にあれば、上記の訳し方のほかに「世界の一体どこに」という強調表現としての訳し方も可能です。

否定語の強調

 次は、否定語の強調です。テーマ11「否定」で解説したように、否定を表す語句を様々ありますが、ここではnotを強調する方法を解説します。これも、基本的には「否定語を強調する語句」を文に追加するだけでOKです。主に、at all, in the least, what(so)everを利用します。

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 基本的には、文末にこれらの語句を置くことで、否定語notを強調できます。例文で確認しましょう。

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 否定語であれば、not以外に“no+名詞”もat allやin the leastやwhat(so)everで強調できます。それとひとつ注意点を。in the leastに関しては、否定語notの直後に挿入されることも多いです。

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もちろん、語順が変わっただけで訳し方に変更はありません。

強調構文

 ラストは「強調構文」です。名前は聞いたことがあってなんとなくの形は知っていても、どういう構造的な特徴があるのかについては知らない人も多いと思います。基本から丁寧に解説していきましょう。

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 任意の文の中から、強調したい語句を文頭に置いたIt beとthatの間に抜き出すことで、強調構文は完成します。強調される語句は、SやOの位置にある「名詞」や前置詞+名詞などの「副詞句」(もちろん単なる副詞でもOKです)、またbecause節のような「副詞節」などです。それ以外の語句は強調構文によって強調することはできません。それと、It beのbe動詞は、時制のルールに従いisやwasになります。強調語句が複数形の名詞でもare/wereにはなりません。例文でいくつかのパターンを確認しましょう。

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 どの文も、元の文から強調語句をIt beとthatの間に抜き出すことで出来上がっています。It be … that SV~という構文と言えば、形式主語構文も同じような構造ですが、強調構文と形式主語構文は何が違うか分かりますか?

 形式主語構文についての詳しい説明は、「テーマ1「品詞と文型」第10回「形式主語構文と形式目的語構文について」」を参照してほしいのですが、基本的に形式主語構文というのは、“It be …”でSVC(第2文型)が成立しているという特徴があります。一方で、強調構文の場合は、It beの直後の語句は、後続のSVから抜き出しただけなので、“It be …”でSVC(第2文型)が成立することはありません。他にも、“It be 名詞 that SV~”の場合、形式主語構文では後続のSVが完全文なのに対して、強調構文では不完全文になるという特徴もあります。

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 ①と②のケースは、It beとthatの間の語句をチェックするだけで判別可能です。①は、“It be 副詞要素”というSVC(第2文型)は成立しないので、この時点で強調構文だと分かります。②に関しては、形容詞や分詞を強調構文の「強調語句」にすることはないのと、“It be 形容詞・分詞”でSVC(第2文型)が成立するので、形式主語構文です。

 ③と④のケースは注意が必要です。“It be 名詞”の場合、その名詞が後続のSVの中から抜き出され、強調されたものだとしたら、that節中は不完全文になります。一方で、もともと“It be 名詞”がSVC(第2文型)として成立していたのであれば、that節中は移動の痕跡も何もない単なる完全文になっているはず、ということです。

 構造的特徴を利用して、強調構文と形式主語構文を判別するとしたら以上のようになりますが、実際には、It beの直後で大抵判断できることが多いです。“It be 名詞”の場合でも、その名詞が、人称代名詞(Iやyouなど)や固有名詞であればその時点で強調構文です。一般的に、形式主語構文というのは「~なのは…だ」というように、that節に対する「判断・感情」などを表す形式なので、「…」の位置に「私」や「メアリー」などの語句は用いられません。

 少し、複雑な話になってしまいましたが、とりあえず、今回は強調構文の構造と例文までをしっかり理解してもらえれば十分です。というわけで、今回はここまでになります。次回は、一見難しそうな「倒置」について分かりやすく解説していきたいと思いますので、ご期待ください。

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