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英文法解説 テーマ7 助動詞 第5回 他にもあるぞ!こんな助動詞、あんな助動詞

 こんにちは。今回は、助動詞の解説の最終回になります。これまで解説してきた以外の助動詞とイディオムについて取り上げていきたいと思います。

助動詞or一般動詞のneed/dare

 まずは、助動詞needとdareから説明します。needと言えば、一般動詞のイメージが強いと思いますが、実は助動詞としての用法もあります。といっても、助動詞needは否定文疑問文でのみ用いられ、肯定文で用いられることはありません。

 また、助動詞dareはおそらく中学英語で習うことはなく、高校に入ってから少し触れられる程度の非常にマイナーな助動詞かもしれませんが、意外と重要です。というのも、このdareも助動詞としてだけでなく、一般動詞としても用いられることがあるからです。その点に注意して、使い方をまとめてみましょう。

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 この表で、注目すべきポイントは2つです。①「Vする必要がある」という肯定文を表す場合は、必ず「一般動詞need」を用いること②否定文と疑問文の場合は、need、dareともに「助動詞」「一般動詞」のどちらの用法も可能だということです。いくつかを例文で確認しましょう。

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 (1)では、need not V原形がdon’t need to Vに置き換えられています。否定文だからこそこのような同意表現が可能になります。(2)は、助動詞dareを用いた肯定文ですが、このケースでもそうであるように、助動詞dareの肯定文は、I dare say「おそらく~だろう」という慣用的な使い方が多いです。(3)では、didn’t dare (to) V「あえてVしなかった」が用いられていますが、これは一般動詞dareです。助動詞dareへの書き換えパターンがないのは、助動詞dareの否定文は現在では一般的には使用されないことが多いからです。

 さらに言うと、助動詞dareを使った疑問文のほとんどは、次のようにHow dare SV~?という口語表現で用いられ、Dare SV~?という疑問文はまれです。

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 助動詞dareは、一般動詞としての用法との境目が難しいのですが、「あえてVする」の意味I dare say という肯定文の形やHow dare SV?という疑問文の形を覚えておくと便利です。

助動詞had better

 次は、助動詞had betterです。実は、このhad betterはセットでひとつの助動詞扱いをするのです。どういうことかというと、否定文の場合にその特徴があります。

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 had betterは2語のかたまりとして一つの助動詞扱いをするので、もし否定文にしたい場合は、had not betterではなくて、had better notの語順になります。

 また、このhad betterは助動詞shouldと比較されやすいのですが、日本語訳から考えると「した方が良い」の方が「すべきだ」よりも柔らかい印象がありますが、実際には、had betterは命令口調(場合によっては強迫口調)に聞こえることがあり、やや強い表現になります(テーマ7 助動詞「第3回 くせ者のshouldについてまとめよう」を参照)。少し例文を見てみましょう。

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 ちなみに、had betterの変形パターンで、had best V原形(Vするのが最もよい)というのもよく用いられます(例 You had best keep silent.「黙ってるのが一番良い」)。

used toの使い方

 2語のかたまりで一つの助動詞と言えば、used toというのもあります。一般動詞useの過去形+to Vではないので気を付けてください。助動詞used toの直後には「動詞の原形」が置かれます。また、発音も「ユーズドゥ トゥ」ではなく、「ユーストゥ」です。この助動詞used toには2つの意味があります。

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 「過去の習慣(昔よく~したものだ)」は、would oftenで表すこともできるので、I would often go skiing with my parents in winter.でも基本的には同じ意味が出ます(テーマ7 助動詞 第4回「助動詞の時制ってどう決まるの?」も参照)。かといって、used to = would oftenだと勘違いしている人が多いのですが、「過去の状態(昔は~だった)」の場合は、would oftenに書き換えることはできません。要注意です。

 また、このused toという助動詞には「現在との対比」のニュアンスがあります。どういうことかというと、「昔よく~したものだ」→「今はもう~していない」ということを含意し、「昔は~だった」→「今はもう~ではない」ということを含意しています。

助動詞を含む慣用表現

 あまり数は多くないのですが、助動詞を含む慣用表現もいくつかあるので、ここでいくつかまとめておきましょう。といっても特別な意味が現れるのではなく、それぞれの助動詞の意味を正しく理解したうえで考えれば、非常に単純な使い方だとも言えます。

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 1. may wellに関して、①は「許可(してもよい)」の意味がwellによって強調されたもので、②は「推量(かもしれない)」の意味がwellによって強調されたものと考えれば、それほど難しいものではありません。また、2.のcannotは「可能性の否定(はずはない)」を土台としています。3.のmightやwouldは前回の「テーマ7 助動詞 第4回 助動詞の時制ってどう決まるの?」でも少し触れた「仮定法」ですが、詳しくは『テーマ8』で解説します。とりあえず、それぞれの慣用表現を例文で確認しましょう。

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 (7)に関しては、文脈次第では「彼女はおそらく君に怒るだろう」でもOKです。(8)は“too ~”の個所はenoughで置き換えられることがあり、例えば、I cannot thank you enough.「あなたには感謝しきれない」などの表現があります(「感謝していない」という否定文として取らないように)。(9)は、テーマ8で扱う「仮定法」の一種なので、「もし彼と話すのであれば、それよりは読書の方がましだ」という仮定の話をしています(よほど「彼との会話」は時間の無駄なのでしょうか?)

 全5回に渡って助動詞の解説をしてきましたが、たかが助動詞と侮れないほど、ボリュームがあったと思います。次回からは「仮定法」に入りますが、今回のテーマの助動詞が何度も出てくるので、特に「助動詞の過去形」についてはしっかり復習をしておくと良いでしょう。では、またの機会に。

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