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英文法解説 テーマ8 仮定法 第2回 未来のことについて仮定してみると…

 こんにちは。今回は仮定法の2回目「未来のことについての仮定法」です。簡単に言うと、「未来」という時制の中で「もし~ならば」を考えるということなのですが、一筋縄ではいかないのがこの範囲の難しいところです。まずは前回の復習として、「反実仮想」について確認しましょう。

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仮定法というのは、反実仮想を表すための方法でしたね。ここをよく意識してください。

未来のことについての仮定法

 さて、ここで「未来時制」における仮定法(=反実仮想)について考えてみたいと思います。なんかややこしい話に思えているかもしれませんので、じっくり考えてみましょう。

 そもそも、「未来」という時制は「未だ来ていない」と書くように「事実として確定していない」時間世界のことです。こういう「まだ事実も何も起きていない時制」の中で「反実仮想」を表すというのは意味が分からないと思います。そりゃそうなんです!「事実がない未来の中で反実仮想をする」というのは矛盾が起きているのです。「未来のことはまだ事実として確定していないのに、それに反することを仮に想定する??」と誰もが疑問に思うところです。

 そこで、こう考えてみてください。「ほぼ間違いなく起こりうる事柄だったら」と。例えば、テレビやネットニュースで「明日の降水確率は100%です」と報道されていたら、「雨が降る」という事実は起きる可能性が高いでしょう。そして、そういった起きる可能性の高い事柄に対して「反実仮想」をしてみたら、「起きるとは思うけど、もし万が一起きなかったら」となるはずです。たとえ降水確率100%でも雨が降らないことは起こりうるわけなので。

 というわけで、「未来のことについての仮定法」というのは、次のように考えることができます。

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 「可能性が低いことについての仮定法」を表すのには、次の2つの公式のどちらかを使います。if節の構造が違います(were toを用いるかshouldを用いるか)が、帰結節は基本的には同じです。were to のwereがwasになることはありません。主語がIでもhe/sheでもwereです。

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 それぞれの公式を例文で確認しましょう。

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 一般的に、were toを用いた仮定法は「可能性がほぼゼロのこと」について「もし仮に~ならば」と想定すると言われています。もちろん、今後の科学技術の進歩次第では海中生活も夢ではないでしょうが、近い将来すぐに可能になるとは思えません。というわけで、(1)ではwere toを用いた仮定法の公式が使われています。

 一方で、shouldを用いた仮定法は「可能性が数パーセントくらいはあること」について「もし万が一~ならば」と想定すると言われています。つまり、(2)の場合、「彼が途中で迷うことはほぼないとは思うけど、万が一迷ったら」というニュアンスです。

 また、(3)のように、if節にshouldを用いた仮定法では、帰結節で命令文を用いることも可能です。この理屈に関しては、この後説明します。

直説法を用いた「もし~ならば」

 では、「可能性の低くない未来の事柄」について仮定をする場合はどうでしょう?例えば、日本の梅雨時期に「もし明日雨が降れば」と言うような場合です。十分に雨が降る可能性があります。実は、この場合は仮定法を使うことはありません。「テーマ2 時制 第2回「未来形」と言ったらベテラン講師から皮肉られる!?」で紹介した、時制のルールを用いるのですが、覚えているでしょうか?

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 「条件を表す副詞節」の中にif節があります。つまり、if節であっても、このルールに従えば「現在形」が用いられることになるのです。

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 このように、反実仮想をベースにしていない「もし~ならば」は、直説法(つまり現実に即した事柄を表す方法)を用いて組み立てるのです。

 ということは、「未来に関する仮定」は「可能性の高低」でwere toやshouldやV現在形を使い分ける、ということになりますが、「可能性」というのはどのようにして決まるのでしょうか?例えば、「もし明日雨が降れば」という表現ひとつ取ったとしても、降水確率はどう判断すればよいのでしょうか?実は、これは「状況(発話場面の文脈)」や「発話者の主観的判断」によって決まるのです。

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 例えば、日本の梅雨時期に「もし明日雨が降れば」と仮定するのと、サハラ砂漠の真ん中で「もし明日雨が降れば」と仮定するのでは当然、状況が異なります。また、「もし彼が道に迷ったら」というのも、発話者が「彼」についてどう判断しているのかによって異なります。「道に不案内な彼」なのか「土地勘のある彼」なのか。

まとめ

 つまり、if節でwere to, should, V原形を使い分けたり、主節で助動詞の過去形や助動詞を使い分けるには、この「可能性」をしっかり見極め、if節と帰結節を適切に組み合わせることがポイントなのです。ちょっと難しそうですが、以下の表で頭の中を整理整頓してみましょう。

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 注意が必要なのは、If S should V原形「もし万が一~ならば」というif節に対する帰結節は、仮定法で書いても直説法で書いてもどちらでもOKという点です。この辺りが、実際に授業で教えていてもなかなか伝わりにくいところで、生徒さんも苦戦しやすいところです。実践的な文法問題では、可能性の高低を受験生に判断させることはないので、if節や帰結節のいずれかを見て、その組み合わせとして適切なものを選ぶというパターンが多いように思えます。少し、難しいですが、仕組みを理解したうえで慣れていってください。

 というわけで、「未来のことについての仮定法」はここまでになります。次回は、直接的に「もし~ならば」という表現が書かれていないけど、仮定法として判断しなくてはいけないという「潜在的なif節」の解説をしていきます。ご期待ください。

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