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英文法解説 テーマ10 比較 第5回 the+比較級が用いられている構文の仕組みを理解しよう!

 こんにちは。ついに比較の最終回です。今回は、the+比較級が用いられている、代表的な3つの構文について、それらの特徴と解釈のコツを解説していきたいと思います。では、さっそくいきましょう。

1.the 比較級 SV, the 比較級 SV

 一つ目は、比例を表す構文です。「the 比較級 SV~, the 比較級 SV…」という形式で、「~すればするほどますます…だ」と訳します。

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 ポイントは、the 比較級に用いられる「形容詞・副詞」がSVの中から抜き出されている、ということを意識することです。その形容詞・副詞が、もともとSVの中のどの位置でどんな語形で用いられていたのかを考えることが、適切な解釈や正しい英文組み立てに繋がります。例文で確認しましょう。

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 どちらの例文も和訳に関してはそれほど難しくはないと思いますが、この構文の組み立てプロセスを確認するために、それぞれの元の文を考えてみましょう。

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 例文1では、oldがgetのC(補語)の位置から移動し、weakがbecomeのC(補語)の位置から移動しているのが分かると思います。

 また、例文2では、副詞muchがthe moreになり文頭に抜き出されていますが、その結果、その後ろのSVは完全文になっています(副詞はMなので)。また、find it interestingというVOCという構造から、Cであるinterestingがthe more interestingとして抜き出されています。もし、元の文が、you’ll become interested in it.であれば、the more interested you’ll become in it.になります。大学受験の問題では、このinterestingかinterestedかを選ぶ問題が頻出です。


2. all the 比較級

 次は、all the 比較級です。これは、実際にどのように使われているのかという例文を見てからの方が良いでしょう。allの役割とthe 比較級の役割を分けて考えるとよいでしょう。

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 これは、もともとI like him「私は彼が好きだ」という文に対して、the better「その分だけなおさら」という意味が追加されています。ここでの「その分(theに相当)」が指しているのは、後続のbecause節の内容です。つまり、because節の内容によって、「彼に対する好き度合い」がアップしている、という解釈になります。

 では、allは何のためにあるのでしょうか?実は、このallはthe betterの強調のために用いられているだけで、省略することもできます。「強調」という役割はありますが、「和訳」にはあまり影響を与えていません

 構文と訳し方の丸暗記ではなくthe 比較級「その分~だ」という仕組みを理解することで、次のように応用することもできます。

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 これは、I like her「私は彼女が好きだ」に対して、the less because~が追加されることで、because節の内容によってその分、「彼女への好き度合い」がダウンする、ということがさらにnoneによって否定されています。つまり、マイナスになるかと思いきやそれが打ち消されているので「~という理由にもかかわらず」という解釈が生まれます。

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 両者を一般化すると以下のようになります。

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 繰り返しになりますが、表面的な訳し方を丸暗記するのではなく、仕組みを理解したうえで正しく解釈することが重要です。後者のbecause節は、結果として「~なので」という訳し方にはなっていないので気を付けてください。

3. the 比較級 of the two

 最後は、「the 比較級 of the two」という慣用表現です。これは、よく見ると最上級で用いられる形式に見えると思います。最上級では、「the -est of the数字」という使い方があったと思います。この「数字」の個所が“two”になることで、-estの代わりに-ersが用いられる、という仕組みです。要するに、「2者間での「最も~だ」は最上級の環境で比較級が用いられる」ということです。

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 of the twoの存在がポイントです。これが、そのまま比較級の直後に書かれていれば分かりやすいのですが、少し気づきにくいケースが時々あるので注意してください。例文で確認しましょう。

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 例文5は、of the two ringsがthe 比較級の直後になるのでシンプルで分かりやすいと思います。例文6は、of the two boysが文頭にあります。このようにthe 比較級とof the twoが離れているケースもあります。例文7は、関係代名詞whichの先行詞にあたるのがtwo bikesなので、of whichが実質、of the two bikesになります。なので、the olderがof whichの直前に置かれているというわけです。

 というわけで、比較級を用いた構文に関して、特に「the 比較級」が含まれるものに絞って解説してきました。呪文のように構文と訳し方を丸暗記するのではなく、仕組みを理解し例文の構造が分かった上で覚えると定着度合いも違ってくると思います。

 これで、比較の5回分の解説は終わりになります。苦手とする人の多い分野ですが、基本から丁寧に解説してきたので、これまで分からなかったことが「なるほど!」と思ってもらえると嬉しいです。また、いずれ大幅に修正加筆した「比較のまとめ(有料版)」も掲載予定なので、それもご期待頂きたいと思います。


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