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英文法解説 テーマ4 不定詞 第3回 準動詞って何?③ ~不定詞の副詞用法~

 こんにちは。不定詞に関する解説も今回で第3回目です。今回は「副詞用法」です。中学2年生くらいで習う「不定詞」の基本3用法、訳し方だけで結構サラッと進んでしまうことも多いですよね。予備校の授業でも大抵ここは1講まるまる費やすことはなく、冒頭の20~30分くらいで処理してしまいがちです。当初は、この解説記事でも「名詞用法」「形容詞用法」「副詞用法」の3用法を一気に1本の記事で扱うつもりだったのですが、きっちりくわしく解説していたら、各用法につき1回分を費やすほどの分量になってしまいました。

というわけで、今回も「副詞用法の不定詞」についてくわしく解説していきたいと思います。

副詞のはたらきの確認

 まずは、基本品詞としての副詞のはたらきからもう一度確認していきましょう。

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 「S・V・O・Cのどれにもならない」ということを言い換えると「Mになる」となります。少しややこしい考え方ですね。S・V・O・Cが「文の骨格」だとすると、それらにはならない副詞要素は、言ってみれば「文の肉付け」みたいなものです。そういう「文の肉付け部分」を「M」と呼んでいると思って差し支えないです。

 ちなみに、Mというのは、Modifier「修飾語」の略です。形容詞だって、名詞を修飾するのでModifierと呼んでも良いのですが、学校文法の話をする際はなぜかModifierというと「副詞」のことを一般的に指すようです(この辺は、大学院で英語学を専攻していた私も最初戸惑いました…)。

 また、「名詞以外を修飾する」というのは、「V(述語)や他の形容詞や副詞、さらには文全体をも修飾できる」ということです。これに関しては、副詞用法の使い方の事例をひとつずつ見ながら確認していきましょう。

副詞用法の不定詞で最も困るのは、訳し方のバリエーションがたくさんある、という点なのです。「感情の原因」とか「判断の根拠」とか聞いたことがある人もいると思いますが、あれは確かに面倒くさいです。だから、今回は、いくつかパターンがある副詞用法の不定詞をスムーズに訳す方法を紹介します。

1.「するために」「して」「するなんて」

 これらは、俗に「目的」「感情の原因」「判断の根拠」などと分類されるものです。どう見分けるのか、よく分からない人も多いと思いますが、実はこれらはわざわざ見分ける必要はないのです。次の例文を見てみましょう。

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 3パターンの訳し方を使い分けているように見えるかもしれませんが、実は、頭の中での解釈のプロセスはすべて同じなのです。どういうことかというと、どれも直前の内容に対する「なぜ?」という疑問に答えるために情報を追加しているだけなのです。

 例えば、(1)では、「私たちは空港に行った」に対して「なぜ?」と自問自答してみましょう。そして、その返答がto see him offだとすれば、自然に「彼を見送るために」となりますよね?(2)も、「私は嬉しかった」に対して「なぜ?」と自問し、その答えが「to see you again」だったら、「あなたに再会して」になりますよね?(3)も、「君は親切だ」に対して「なぜ?」と自問自答し、「to carry my bag」とあれば、「私の鞄を運んでくれるなんて(「運んでくれて」でももちろんOK)」となります。

 このように、直前の内容に対しての「目的・理由」といった情報追加の役割を持つのが、「するために」「して」「するなんて」なんです。一般的に、Why?に対する返答は「目的」か「理由」になるので、このように考えることができるのです。

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 また、「目的:するために」は、副詞用法の不定詞でもっとも使用頻度が高く、上記の例文のように文の後ろに追加されるだけでなく、例えば、To master English, you need use it every day.「英語をマスターするためには毎日、英語を使う必要がある」のように、文頭に置かれることもあります。また、in order to Vという形やso as to Vという形でも登場します。この形の時は即「するために」と判断できるので簡単ですね。

2.「するには」

 次は、「するには」です。これは、俗に「形容詞修飾の副詞用法」なんて呼ばれているものですが、いまいちピンとこないと思うので、例文で確認しましょう。

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 直前に形容詞があるので、例文(3)のような「するなんて」と混同してしまいがちですが、「形容詞修飾:するには」の場合には、この文の主語であるThis bookが、不定詞to readの意味上の目的語として解釈できるという特徴があります。「意味上の目的語」というのは、文構造上は主語であっても、read this bookのように、この場合readの目的語として解釈できる、ということです。一方、(3)の例では、主語であるYouは、不定詞to carry my bagの意味上の主語になっている、という特徴があります。

 他にも、enough totoo ~ toなどの慣用表現(次回、不定詞第5回目で扱う予定です)で用いられるto不定詞も「形容詞修飾の副詞用法」になります。

3.結果用法「その結果~だ」

 最後は、「結果」を表す副詞用法です。これが一番苦手という学生も多いのですが、そもそも上記の(1)~(4)とは用いられる環境が異なるので、それらとは別物として捉えると良いかもしれません。どういうことかというと、①限られた慣用的な表現で用いられることが多い、②直前のSVから「→」という方向性で情報が追加される、という2つの特徴があるのです。

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 「目的」「感情の原因」「判断の根拠」の際は、直前の内容に「なぜ?」と自問自答することで訳し方を特定することができましたが、「結果」の場合では、その方法が取れません。例えば、He grew up to be a teacher.という例文では、「彼は成長した」「←なんで?」と訊くのは不自然ですよね。むしろ、「彼は成長した」「→でどうなった?」の方が自然ではないでしょうか?また、My grandfather lived to be ninety.の場合も、「私の祖父は生きた」「←なんで?」よりも、「私の祖父は生きた」「→その結果の数字が90」、つまり、「私の祖父は90歳まで生きた」となります。

 ただし、④のonly toは、逆接の意味を持つので、どちらかというと「SV…,⇔結局~だ」というイメージで、butのニュアンスを入れて訳すと良いでしょう。

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 この例文のように、たいていonly toの後ろにはマイナスイメージのことが書かれています。but after allのような意味を持つ慣用表現だと割り切って覚えてしまうのも手だと思います。

 不定詞の副詞用法は、「目的」「感情の原因」「判断の根拠」「形容詞修飾」「結果」が並列上に羅列され、その例文でそれぞれの意味を確認するだけで済まされてしまうことが多いのですが、今回のように「どのような環境で用いられるのか」「どういうプロセスで訳まで持っていくのか」に注目し、体系的に理解することで、不定詞の副詞用法に対するあいまいさが少しでも払拭されればと思っています。

 というわけで、長かった、不定詞の「名詞用法」「形容詞用法」「副詞用法」の解説もここまでです。次回からは、不定詞の「意味上の主語」と「時制」の解説に入ります。ご期待ください。

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