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教師は生徒から「ありがとう」と言われることをモチベーションとしてはいけない

少し前になりますが、学校現場の第一線で活躍され、国の有識者会議のメンバーでもある高校の先生と話をする機会がありました。
探究的な学びの必要性など、これからの教育について意見交換をさせてもらったのですが、雑談の中で教師の在り方に話が及びました。
そこで出たのがタイトルにある「教師は生徒からありがとうと言われることをモチベーションとしてはいけない」という以下の言葉でした。

教師をやっていると生徒から「ありがとう」と言われれば嬉しいし、やる気も出る。
けれど、それが行き過ぎると、教師はどんどん先回りで生徒の手助けをしてしまって、生徒の主体的な学びや探究的な学びにブレーキをかけてしまう。
承認欲求を満たすのであれば大人同士でやるべきもので、子供から感謝されて承認欲求を満たすのは間違っている。教師は生徒から「ありがとう」と言われることをモチベーションとしてはいけない。

これを聞いて、厳しい言葉だなと思いつつ、その考え方はストンと腹に落ちました。そして、自分の教師時代を振り返って、過去の自分にも当てはまると感じました。
この辺りの考え方は、アドラー心理学を分かりやすく解説した『嫌われる勇気』(岸見一郎著)と共通するところが多いと思います
タイトルの言葉は、厳しい言葉に聞こえますが、逆に教師の心を軽くする言葉でもあると思います
私は、教師をやっているときにこの言葉と出会っていたかったです。

また、この話を聞いて、もっと教師同士で承認し合う関係があっても良いと思いました。最近は変わってきているのかもしれませんが、私が教師だった頃は、教師同士で授業や学級経営の振り返りを行う機会は少なかった(校内研修以外ではほとんどなかった)ので、お互いに課題を指摘することもなければ、良いところを評価することもありませんでした。この辺りの学校文化も変わっていく必要があるのかもしれません。

私自身、卒業式で生徒から感謝の言葉をもらい、一年間の苦労が報われた体験が今も深く心に残っています。それ自体を否定するつもりはありません。
けれど、それが目的になって教師が不自由になるのは違うのでしょう。
やはり、教師が心の底からやりがいを感じる瞬間は、生徒の成長する姿を見たときであって、それこそが、主体的な学びや探究的な学びを深めていく上でも肝なのだと気付かされた言葉でした。

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