席替えの話。

「席替え」という響きが懐かしい方もたくさんいることでしょう。今日は、席替えを行う理由や席替えの方法、心構えについてつらつらと書いていきます。

席替えを行う理由

なぜ席替えを行うのか、個人的に挙げるのであれば二つ。

①学級内の交流促進

ほとんどの場合、最初は出席番号順に席が決められている。各教科の授業におけるグループワークや毎日の給食では、「ご近所さん」と組んだり、話したりする時間が圧倒的に長い。学級活動などでエンカウンター体験(本音を表現し合い、それを互いに認め合う体験)を深めるような授業をバンバン行っているのであれば話は別なのかもしれないが、思うように時間が取れないのも事実。出身校が違ったり、今まで関係がなかったりするクラスメートに勇気をもって話しかけられる生徒ばかりではない。そこで、心の距離の前に物理的な距離を近づけるのも一つの手。そういう意味合いがあると思っている。

②生徒の希望を尊重

学級には様々な生徒がいる。前方の席がいい子もいれば、後方の席がいい子もいる。前方を望む子は、目が悪かったり、前で授業を聞きたかったりする生徒。後方を望む子は、教員の目が届きにくいと思っていたり(笑)、教室や人間関係に苦手意識があったりする生徒。特別な事情がある限りは、それを配慮した座席にしたいという気持ちがある。

席替えの方法

僕が今までに行った経験のある席替えの方法を四つ紹介する。

①教員による決定

座席に関するすべてを教員が決定する。学級がスタートして間もない時期や不安定な時期には用いてもいいだろう。教員がすべてを決めることから、生徒の不満を教員が一手に担うことになる。個人的には好きなやり方ではなく、かつてやったことがあるというくらい。

②アンケートをもとにした教員による決定

生徒にアンケートを配付し、希望座席のエリアに○を書いてもらう。たとえば、教室を3×3の9ブロックに分けておき、希望するエリアに○を書かせる。この時、前・中・後からひとつずつ、廊下側・中央・窓側からひとつずつ、被らないように3つ選ばせることにより、偏りをなくすことができる。(前・中央、中・窓側、後ろ・廊下側というように選ばせる)教員が頑張ればすべての生徒を第三希望までに配置することが可能になる。手動で行うとかなり面倒なのでおすすめしない。これも好きなやり方ではない。

③ランダム

あみだくじやくじ引きで生徒に番号を割り当てておく。教員は生徒に割り当てられた番号を確認していない状態で黒板に座席表を書き、ランダムに番号を書き入れていく。教員による手が入っていない方法なので、教員に対する不満は出てこない。生徒同士での番号入れ替えなどの不安があるのであれば、くじを行う前に座席表を黒板に書いておき、全員の前で一人ずつくじを箱から引いていき、席を決定していくという方法もある。人間関係に配慮することができないため、トラブルが発生する可能性があるが、僕はそれも経験だと思っているのであまり気にしない。この頃はランダムばかり行っている。

④お見合い

これは生徒からの提案で実施したことがある。男子・女子のどちらかが教室に残り、一方は廊下や別の教室で待機をする。ここでは男子が教室に残ることとして説明する。男子は自分たちで好きな席を選択し、そこに座る。教員は間違いのないように男子の座席をメモしておく。男子は女子が待機している場所に向かい、女子と入れ替わる。女子も自分たちで好きな席を選択し、そこに座る。教員は間違いのないようにメモをする。女子には席を立たせ、男子を呼んでくる。男子が戻ってきたら、いっせいのーで選択した席に座る。これで決定。なかなか盛り上がるが、ある程度学級集団が成熟していないとトラブルが生まれる可能性がある。

教員の心構え

「席替えします!」というと、ワクワクしている子もいれば、不安そうにしている子もいる。席替えをすることで悲しむ子を出さないように教員は最大限努力する必要がある。僕は心構えの一つとして、ルールを明確にする。ランダムといったらランダム、教員が決めるといったら教員が決める。そこに偽りがあってはいけないし、ブレてはいけない。後出しでルールを変えるなんてことも当然あってはいけない。二つ目が、文句禁止。席替えをした後に、不平不満を述べていたら、すぐに番号順に戻す。「えー」や「マジかよー」という言葉に傷つく子もいる、ということを口すっぱく話す。ただ、どうしてもうまくいかなかったり、苦手意識があるということであれば、連絡帳(のようなもの)に書いてくるように伝えている。逃げ道を塞いでばかりではいけない。

終わりに

僕は「席替え」というとワクワクする派の生徒だったのですが、そうじゃない子ももちろんいる。だから僕はできるだけフラットでいたいと思っています。僕から「そろそろ席替えしようか」と言うことはありません。学級内で「席替えをしたい」という声が上がり、企画されて初めて席替えを行います。いつやるのか、どのようにやるのか、誰が中心となって進めるのか、教員である僕が主導するのではなく、生徒が主体的に取り組むことで、不満を漏らす生徒も少なくなります。学級のために動いてくれているクラスメートを目の当たりにすることで生まれるものだと思っています。たかが席替え、されど席替え。席替えも立派な教育活動の一つだと思っています。

おまけ

今日は僕自身の考えをたくさん盛り込んだ文章になりました。あくまでしがない一人の教員の考えです。読み物程度にとらえていただければ幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。テーマ募集中です。コメントでお知らせください。

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