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日曜日の卵料理 たまご粥 【ショートショート】

朝から寝てる。
何だか寒気と頭痛がする。
幸い今日は日曜日。

「おはよう」
「はよ」
「ん?どした?」
「なんか調子悪い。風邪引いたっぽい」「この暖かいのに?」
「わりぃ、寝る」

春はいつもこうだ。
暖かさにつられて調子にのって体調を崩す。

ひがな1日寝て過ごすとまぁよく眠れるもので自分でも驚く。

時々こっそりスマホを取り出してnoteなど読んで人の話に涙する。

熱出てんのかなあ。涙腺緩いときは自律神経失調してるんだっけ。

ぼんやりと体調の悪さを打ち込んで調べ、そのうちにことりと寝てしまう。

「おーい。たまご粥作ったけど」

遠慮勝ちに声がかかる。

「布団で食べるか?起きてこれるならテーブルにする?」

「ああ、布団に持ってく、ありがと」

熱々と湯気が立ち上ぼり、とろんと見えて卵にはしっかり火が入っている。ゆっくり炊いたのかごはんは柔らかだ。

具合悪い時にお粥作ってもらえるの憧れたなぁとふと思い出す。かなわなかった昔の暮らし。

具合の悪い時に看病して欲しい人と放っておいて欲しい人がいる。

それは育つ過程で違うのだと心理学か何かで学んだ。看病して欲しい人は甲斐甲斐しく世話をやき、放っておいて欲しい人にとってそれは拷問に近く、放っておいて欲しい人は放っておかれるのが最高のだから看病して欲しい人には大事にされていない気がしてしまう。

体調崩しているときのことだ冷静な判断などできない。

付き合う初めに知っていればお互い苦労も我慢もせずにすんだものをと懐かしく思い出す。

色んな出会いと別れがあって、気候に花にありありと思い出されて、だから僕は春に体調崩しやすい。そして今たまご粥がおいしい。それで十分しあわせだ。

薄味だけれどちょうどいい、なんだかしょっぱい味がたされてきてる。自律神経が失調してるんだ。


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