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011「58歳の転職記」欧州との交渉

日本では知名度が高くないけど、欧州では割と名が知れた標準化団体が、日本で国際会議を開くことになった。
事務局の日本側のトップは私の所属していた標準化団体のえらい方で、欧州側のメンバーと長年の付き合いがあったので、我々に仕事が回ってきたのである。

私は事務局の日本側の担当になった。ほとんどの資料を作成し、月2回の電話会議ではつたない英語で資料の説明をした。
欧州側から、ぜひとも東京で開催したいとのことで、私が都内ど真ん中の会議場を探して予約した。
2日間の国際会議は大成功に終わった。海外からも、日本からも、多くの業界関係者が登壇し、充実した内容になった。懇親会も含めて、たくさんのお客様に楽しんでいただくことが出来た。

しかし、後始末で、少しもめた。
欧州側では、欧州で会議を開催していたのと同様に、企業からの寄付が多数来て、会合の開催費用を賄えると考えていた。しかし、日本企業の多くは、登壇者は出すがお金は出せないとの回答で、まったく寄付が集まらなかった。 日本企業の場合は年度の初めに寄付金の総額を把握して予算を確定してしまうので、突然言われても対応できなかった。
国際会議の日本開催時の会場費用は日本の標準化団体が事前に支払っている。
会合のあと、大赤字を誰が負担するか議論した。しかし、欧州側から何の提案もない。その後何度かこちらからメールで連絡したが返事がなかった。

ところがある日、欧州側からメールが来て、経費負担約500万円を欧州側で負担する、とのことだった。まもなく手続きがなされ、日本側の負担は減って、一件落着となった。
継続して交渉をすることは大事だと実感した瞬間だった。ほろ苦いが良い経験をさせてもらったと思っています。


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