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『グロースハッカー佚』(第6話)【わざと】

現在Webメディア『マーキャリメディア』内にて執筆掲載している大好評の連載小説『グロースハッカー佚』をnoteにて第5話に続いて第6話も配信致します。

BtoBマーケティング会社に中途入社した八月一日 佚(ほずみ てつ)。前職ではプロモーターとして勤務していた小さな音楽レーベルを1人でメジャーレーベルにまで成長させたキャリアを持つ26歳彼女の誰も思いつかないような独創的な発想は果たしてBtoBマーケティング会社でも通用するのか。会社のブレーンとして様々な企業課題に立ち向かう彼女と会社の成長を追ったオリジナルのストーリー小説です。

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わざと

佚「おはようございます」

チームメンバー「おはよう」

佚「あの、すみません、昨日ここ(私の机)にメモ紙置いてなかったですか?」

坂西「え、あ、あったっけ?分からないな」

川門「ん?昨日テッサンのゴミ箱に捨ててあったやつじゃない?坂西が見つけた」

坂西「あ、あれか!なんか資料かなと思って見たんだよね」

佚「え?それかも!どんな内容でした?」

坂西「あ、えっと、なんか色々書いてあったけど、大事な資料とかではないと思ってしっかり見ないでそのまま戻しちゃった。全く中まで読んでないから内容は分からないわ」

佚「そうだったんですね。お騒がせしてすみませんでした」

川門「なんか大事なメモだったの?」

佚「いいえ、今日やることとか書いてあっただけです。間違えてゴミ箱に入れちゃったみたいで」

川門「なんだ、そそっかしいな」

坂西「ははははっ」

佚「すみません」

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昨日

坂西「しかし、こんな暗号みたいなメモで本人ちゃんと理解出来てるのかな?」

川門「自分で書いてるんだから当たり前だろ」

坂西「ローマ字とか数字ばっかで何の意味だか忘れそうだけどな。ん?」

川門「どうした?」

坂西「いや、なんかURL書いてあって。あれ、これTwitterか」

川門「あのコ、Twitterやってるんだ。意外」

坂西「スマホで検索してみようかな、どれ」

川門「なんて書いてあった?」

坂西「フォロワー5人、フォロー2人、少ないな。内輪だけなのかな。お、1時間前にツイートしてるじゃん」

川門「なんだって?」

坂西「今日は疲れた、でも色々楽しみ、皆さん凄く親切で素敵な人ばかり」

川門「お!いいね、俺のことかな」

坂西「良い意見持ってる先輩もいて、もっとチームに発信していけば上手くいきそうだって」

川門「これ完全に俺へでしょ?今日プラットフォームについて彼女に聞かれた時に意見言ったし」

坂西「そうかな? ん!...」

川門「どうした?他には何か書いてあった?」

坂西「あ、....いや、これだけだった」

川門「良かったな、素敵な人ばっかりだって」

坂西「あ、そ、そうね!」


@te□■□■□■□(ただ一人、同期のコが初日に男の先輩からLine聞かれて困ってた。気をつけよ)
リプライ@gd□■□■(大丈夫?何か勘違いしてる先輩多いよね。そう言うのは上司に相談した方がいいよ)
@te□■□■□■□(ありがとう!まだ全然平気だから。でも何かあったらそうする)

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横「八月一日(ほずみ)さん、ちょっといい?」

佚「はい」

横「昨日、柿島さんからプラットフォームのコンセプトについての意見、共有受けたんだけど、八月一日さんの言ってることも、間違ってないなと思って」

佚「ありがとうございます」

横「とは言え、ある程度仕様を固めた状態なので、1人の意見で簡単に変えるわけにはいかないから、木曜日にチーム全体でミーティングを入れた。そこでもう一回皆で話し合おう」

佚「分かりました。ありがとうございます」

横「それと別件なんだけど、電話業務ってやった事あるんだっけ?」

佚「はい、前職でプロモーション活動をしてた時に掛けてました」

横「良かった。ちょっと無茶ぶりなんだけど、午後に掛けてほしいお客さんがいて。 本来掛ける人が2人とも今日休んじゃって」

佚「分かりました。内容は?」

横「営業でこちらから掛けてたお客さんなんだけど、中々担当がつかまらなくて。今日の13時から14時ならいるみたい。一応スクリプトあるから、それを参考に」

佚「落としどころは?」

横「メアド取得と、資料送付かな。アポまで行ければ良いんだけど。前回の電話の録音データあるからそれも共有するわ」

佚「ありがとうございます」

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前回の録音データ

「はい、株式会社山沢一モです」
「MMSインパクトの尾頃と申します。お世話になっております」
「はい何でしょう?」
「マーケティング部門にお繋ぎ頂けまでしょうか?」
「どういったご用件ですか?」
「はい、今回弊社のWeb戦略サービスのご紹介でご連絡致しました」
「うちは間に合ってるので結構です。」
「是非お話しだけでも聞いて頂きたいのですが」
「でしたら資料だけ送っておいてください」
「かしこまりました。ではご担当者様のメールアドレスを伺ってもよろしいでしょうか?」
「担当に聞かないと教えられません。担当は来週火曜13時から14時ならいるのでまたその時間におかけください」
「かしこまりました。ありがとうございます」

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横「(録音聞いて)どうだった?」

佚「まだ何も接点が持てていない状態なのですね」

横「でも、過去にうちのサイトから簡易資料ダウンロードされてるんだよね。Webの解析からなんで、担当情報までは分からないんだけど」

佚「分かりました。掛けてみます」

-----続く

『グロースハッカー佚』はマーキャリメディアにて絶賛連載中です。最新号も無料で読めます。もし気に入っていただけましたら是非チェックしてみてください。宜しければnoteのフォローもよろしくお願いします。

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