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V6の声とミキシングについてのZINEを去年書いたので公開します

1.”アンバランスの黄金比”と言う。

 V6好きですか?好きとかの前にご存知ですか?そうであってほしいです。僕は これからだらだらとこのグループについて書くので。興味を持ってください。
  僕が書いていくのは主に楽曲についてです。V6の楽曲はミキシング(それぞれ の声、楽器など音量のバランス調整みたいなもの)が面白く、注意深く聞く と”作り手はこの曲をどう聞かせたいのか、なぜそうするのか”という意図の部分 と芸の細かさが見えてきます、見えてきやすいと言ったほうがいいですね。
 なぜV6はそれが”見えてきやすい”のか、それはメンバーそれぞれの声、そして グループの特性に理由があります。
 まずグループについて。V6は(年長順に)坂本くん、長野くん、井ノ原くん、 森田くん、三宅くん、岡田くんからの6人から成るグループです。グループの中 でも細かく分けられることがあります。坂本長野井ノ原から成る【トニセン】、 森田三宅岡田から成る【カミセン】。そしてV6といえばこれだろというのが 【シンメ】。お察しの通りシンメトリーの略です。坂本くんと長野くん、森田く んと三宅くんこの二組がシンメに当たります。特に森田くんと三宅くんはそれぞ れの下の名前を取り剛健コンビと呼ばれそれはそれはめちゃくちゃ人気だったと か。楽曲の中でこのグループ内の組み分けというのが基本になっており聞いてい く上でまず一番におさえなければいけない点です。なぜならそれぞれの響きが全 く違うからです。どのくらい違うかと言うと「同じグループでやっているのバカだな」と思ってしまうくらい違います。アホです。なぜこんなことが起こるの か、そうです声も歌い方のアプローチもバラバラだからです。下に簡単にまとめます。
坂本ー雑に言うと歌がうまい。ミュージカル系。てかミュージカルの仕事をして る。自分の一番伸びる声を知っていてそれに従ってしっかり歌う。森田くんと比 べるとわかりやすいけど吐き出す息のロスが少ない、正反対のアプローチ。近い のは井ノ原くん。
長野ーめちゃくちゃ柔らかく響く声、坂本くんが芯のある声なら長野くんは響き
のある声。ユニゾンで歌うと聞き分けが一番難しい。坂本井ノ原と歌うと声の芯
に消される、というより響きしか残らないから縁の下の力持ちになってしまう感
じかな。特徴として近いのは岡田くん。
井ノ原ーすげえシンプルに言って歌がうまい。坂本くんと同じですごくしっかり 伸びる声でうたう、違いとしてはイノッチの方が曲によっての歌いわけが上手 い。時々誰が歌ってんのかわかんなくくらい。多分バックグラウンドが影響して ると思うんだけどロックとかフォークに強い印象。
森田ーリーサルウェポン1。めちゃくちゃ息を吐きながらうたうので艶。永遠に 変声期なのか?ってくらい声も比較的細くて高い。長野くんと違い聞き分けが簡 単にできる。シンメの三宅くんと声の高さは近い。坂本くんと真逆。ラップパー トを一番熟せるのは森田くん。
三宅ーリーサルウェポン2。声が高い、鋭い、すごく明瞭に聞こえる。森田くん もそうだけどミキシングの肝になる声。混ぜ方によっては快活になるし優しくも なる。(これV6の歌だな)ってわかるのは三宅くんの声のおかげ。
岡田ーアイドルっぽい歌い方と声とよく言われてる。長野くんの逆で芯しかない 感じ。けど歌い方のアプローチは長野くんに似てる。相対的にみると特徴がな い、言い換えれば唯一のまとも。カミセンで剛健の声をを制御しているのは岡田 くんに他ならないと言う感じ。
 改めてまとめてみると同じグループにまとめてはならない奴らだなと思ってし まいますね。これをどう楽曲に落とし込むか、ミキシングの排除と破壊と調和の 長い歴史を辿っていきます。

2.”初期のねじれと排除”と言う。

 ここからは楽曲からのグループ事情についても記載します。かつて1年半ほど しかハマってなかった&リアルタイムで追ってない僕がミキシングだけをヒント にして書いていると言うことを覚えておいてください。
1996年ーTAKE ME HIGHER 

ユーロビートを聞くと笑ってしまう持病持ちですが改めて聞きました。すごくみ んなしっかりうたってますよね。というよりしっかりうたうタイプの坂本井ノ原 の声が8割ですね。カミセンが見え隠れして聞こえるような、聞こえたらかなー って思ったらすぐ消えていくという。こういうのって声量とか全く関係ないんで すよね。聞かせたい声があれば元の声が小さくても大きくすることはいくらでも できるので。わりかし最近の楽曲と比べてみましょう
https://www.youtube.com/watch?v=lUam11BF-oE

同じ6人のユニゾンなんですけど、わかりますか...?この今日は森田くんが フィーチャーされてるので息の多い甘いこえが聞こえてきませんか?初期の楽曲 にはこの”それぞれの声を活かす”ということがないんです。排除して平にすると いうミキシングの方法を選んだんですね、確かにその方が無難に聞こえるのです が...面白くはないですよね。
1997年ー愛なんだ
https://www.youtube.com/watch?v=B_lZGBcORQM

 わかりやすくて短いものを貼りました。愛なんだはV6初めてのJ-pop(井ノ原 談)となっております。当時から歌唱力が安定していたトニセンの3人がメイン ですね。 
 こちらが当時のジャケ写ですね。トニセンメインの楽曲かと思いきや前を陣取 るのはカミセン。これが初期のねじれと排除なんですね。人気が高かった剛健の いるカミセンをメインにグループを作ったけど歌の面では不安があるので実力の 安定したトニセンをミキシングでは出してくる。ちなみに愛なんだの中でカミセ ンはラップを3人でしています。全く出番がなかったわけではないけど歌で活躍 することはあまりなかったですね。
1999年ーBelieve Your Smile https://www.youtube.com/watch?v=N5q6-CdoF5g

徐々に剛健も出てきましたね。けどカミセンで歌うと岡田くんが、井ノ原剛健 で歌うとイノッチが圧倒的に前に出てきてる。ここまでパート割りがコロコロ変 わる曲は後期になると無くなってきます。愛のメロディー(2001)とかもこの編成 に近いかもな。
2000年ーCHANGE THE WORLD

https://youtu.be/MfHCwFyR4Is
 イノッチの坂本くんの奇妙な使い分けをしているこの曲。出だしの「I want to ~」ってところからはイノッチ主体(他のメンバーは判別ができないくらいおさ えられてる)なのに同じサビの「Change my mind~」からは坂本くんが主体に なってる。なんのこだわりなんだこれは?確かにイノッチの方が軽快に聞こえる から出だしには合ってるしそこからワンステップ上がったところで坂本くんの芯のある声で曲の推進力、(始まるぞ!)って感じを出してるのは理にかなってる んだよな。けどそんなこだわりを見せるなら他のメンバーの声をきかせて!?
2003年ーFeel Your Breeze 

https://www.youtube.com/watch?v=wtwYFFGbo3g
 初期についてはこの曲で締めさせていただきたい。初期の紆余曲折のある種完 成系であり中期の”破壊と調和”につながる一曲。ちゃんと書いておきたいのは別 に初期が嫌いとか出来が悪いとかそういうことは全く思っていないということで す。この編成にはメンバーだけでは決められないそれなりの理由がありメンバー のなかでもこれに対する葛藤があったらしい。それでもその葛藤の中で生み出さ れた初期の美学というものがあり、特色であるシンメやカミセントニセンに忠実 であること、坂本くんを中心に作り上げられるとても聞きやすい楽曲たち(時代 を超えて愛されるというやつですね)などV6の基礎となる形式美が構築された 重要な時期なのです。

3.”中期の調和”と言う。

 中期の取り組みの大きいところは初期の形式美が生み出した壁を取り払うこと です。なのでカミセントニセンやシンメなどがかなり少なくなってきます。僕は 勝手に【解体】とも呼んでいます。この【解体】はV6ミキシングの応用編でもあ り6人のユニゾンのあり方を変える大改革にもつながるのです。
 中期の楽曲説明の前にこの【解体】について。パート振りとしてメンバーを 2:2:2に分けられることがここから多くなっていきます。基本的にはカミセン一人、トニセン一人で組みます。代表的な解体は坂本森田、井ノ原三宅、長野 岡田です。しかしこれはシンメなどと違って「絶対にこの二人!」というわけで はありません。それではいきましょう。
2003年ーDarling https://youtu.be/GaZlO_EFeGM
 まだトニセンカミセンでのパート割りですね。けど変わってきているのは’全 体を占める三宅くんの声の比率が上がってきていること’と’岡田くんのソロ’で す。ちょっとしたことのようですがここの変化はV6の響きが変わる肝になって きます。あと単純に好きですね、この曲。初期のような歌い上げる楽曲とは違っ た単純にノリを楽しめるポップスになってきてますね。
2003年ーCOSMIC RESCUE https://youtu.be/YAzJSdXRaVE
 カミセン内のミキシングが変わったのわかりますか?三宅くんの声がめちゃく ちゃ聞こえる...。岡田無双が終わりつつあります...。あと森田くんのソロ、この MVみるとやっぱ森田くんがセンターだわってなりますね。楽曲がシンセポップ になったおかげで剛健の需要が高まりましたね。逆に言うとトニセンがこれをど うこなしていくのかというのもかなり気になるところ...。全体の響きはやっぱり トニセン重視だけど。
2004年ーサンダーバード
https://youtu.be/nHzRFK-mmlU
 この曲めちゃくちゃ好きなんですよね、メンバーみんなWinなので。楽器編 成、曲自体がロックなのに編曲でダンサブルに仕上げてる、くせにしっかり歌い ごたえもあるという。
 そんでそんでついにきた!解体が始まりましたよ。めちゃくちゃ響きがちがい ますよね、安定感もあるのにユニークに聞こえる、だんだんV6にしか存在しな い響きが出てきましたね!
 曲によってわかりやすくミキシングを変えるようになるのもこの頃から。アップ テンポだとカミセンが強くなってきますね。坂本くんソロもあってみんな美味し い。
2005年ーOrange https://youtu.be/-7C4bs7PG9k
 解体の美がここにはあるんですよね...。長野岡田のユニゾンほんとに優しいし 落ち着く。井ノ原森田も絶妙に感傷的でいいね。イノッチは本当にカメレオン。 何させても正解出してくる。けどイッチバン仕事してんのは坂本三宅ですねはい。この二人が一緒に歌って成り立つなんて...初期からしてみたら考えられない ことですよ。
2007年ーHoney Beat https://youtu.be/dS38rjdUyuA
 これ嫌いな奴おらんやろという曲。あ”あ”リアルタイムて推したかった!!も うですね、ミキシングはコツをつかんでいます。みんな大活躍です。飛び道具の 剛健がこうもボーカルで活躍する日が来るとは...。全体のユニゾンでも健くんが めちゃくちゃ出てきてますね、アップビートの楽しさとわちゃわちゃ感が倍増。 この中で珍しいのは坂本岡田ですかね、なかなか聞けない。なんか岡田くんの良 さがでるねこのセット。V6の中でも一番の甘い高音になる。
2009年ースピリット
https://youtu.be/v8xhKqsgYAU
 あーーーーーなんかこの曲ずっと好きだったんだけどここまで書いてきていろ いろしっかり聞いてみるとまた違った良さがある...いままで隠れてきてた長野三 宅岡田の声がめちゃくちゃ聞こえる...!だからこんなにライトで爽やかになるの かもうダメだ打ってて泣いちゃうわ、サビのユニゾンも長野くんが軸になってる し大サビ前も岡田三宅でめちゃくちゃ響きが軽くて優しい...。こんなに繊細で爽 やかなユニゾンを作れるのもミキシングの力なんですよ。この曲好きだからと言 う理由で長野担になれるわ...。書いてこなかったけど長野くんの声は”繋ぎ”とし てめちゃくちゃ重要なんですよ。初期も岡田三宅と一緒に歌うこと多かったりと かトニセンだけのパートでソロ気質の坂本井ノ原をまとめあげるところとか、縁 の下の力持ちで目立つことがあんまりないけどいてくれないと困るんですよ。あーーー、ありがとう。ちな僕は森田担なので。男は皆森田担説を唱えて回ってい るので、はい。
2009年ーGUILTY https://youtu.be/nXayBNt8jdU
 はい中期はこの曲で終わりです。いい曲が多い時期なのでもっとたくさん紹介 したかったけど堪えました。この曲は”大人カッコいい”系統のやつです。蝶って いうシングルから始まったアプローチですね。上品で落ち着いているエロ路線っ て感じですよね。この系統も発展があるので覚えておきましょう。
 特筆すべきは初期のフォーメーションに戻ったのに誰一人として損をしていな いと言う点ですね。それぞれがそれぞれの役割を果たしています。ラップパート (まさにMCという感じの立ち回り)はリーサルウェポン剛健、岡田くんのソロ からイノッチへそこからトニセンのハモリ、上品ですねー。カミセンの成長がめ ざましかった中期でしたがトニセンもそれぞれのスキルを上げてきているんです よね。そしていままであまり目立ってこなかった坂本長野シンメも地味に登場。
 サビの全体ユニゾンの響きもハニビとちょっと変えてきてますね。イノッチを 中心にシンプルにまとめている印象。けど森田くんの声もしっかり聞こえてきま すね。6人それぞれの声が聞こえると(あーV6のユニゾンだなあ)となるわけです。
 それでは後期、現在までを追っていきたいのですがここでちょっとブレイク。

4.”エレクトロポップとの
   親和性”と言う。

 https://youtu.be/UvKuBxM_Wgk   こちらファンの間で伝説と言われている(らしい)セクバニコンです。1:12
からの三曲だけでいいんでみてください。
 一曲目から”will”、”OK”、”SP-Break the wall”という感じのセトリになってい ます。はあああああすごくいいですね。今まで紹介できなかった曲ばっかりだし 系統も結構違うのでびっくりかとは思うのですが、僕の中ではこれがV6の一番 強いところだと思っておりまして。
 一曲目のwill、V6の中で一番好きな曲かも。シンプルにかっこいいし王道のサ ウンドではないけどメンバーの声、パフォーマンスとも親和性がある。歌詞も常 に自身をアップグレードしていこうとするV6のモチーフにぴったりなんですよ ね。
 そんでパート割りも今までの曲と比べるととても複雑、そんでいい仕事をして る。始まりの森田くん、甘いのに哀愁のあるいい歌い方をしますね。大サビ前の 部分、人をグッと引き込む力がありますね。空気を切り替える力がグループの中 でも飛び抜けてる。やっぱりセンターだわこいつという気持ちになる。井ノ原く んも実はこういう系統得意なんですよね。二番のサビとか特に好き。おさえた歌 い方も色っぽくなるというか。長野くんはソロであんまり映えないけど誰と歌う ととてもいいですね、特に三宅くんと岡田くん。安心感が段違いになる。そんでBメロソロが多い坂本くん、サビに向かうための一推しができるのはやっぱり坂 本くんですね。それぞれがしっかりを役割を果たしながら曲を作り上げていくの は本当に聞いてて楽しいです。
 二曲目の”OK”、はいきましたオートチューン。水を得た魚です。オートチュー ンは水です。ここから暴れ出すのが健くんなんですね。3曲目の方も健くんがか なり持っていってしまいます。 健くんはとにかくオートチューンとの相性がい い。V6はそれをよくわかってる。曲の中でもアクセントになるような使い方をし てくる。まさか、まさか健くんが声で活躍することが来ようとは...。文明に感謝 です。
 健くんだけじゃなくてグループとしてエレクトロポップに強い。後期になると EDMを取り入れてきたりもする。パフォーマンス、ダンスに強いグループだから このジャンルを取り入れるのは必然っちゃあ必然なんだけど。後期はこの傾向が とても強くなってくる。トレンドのサウンドとV6をどのようにしてブレンドさせ てきたのかってのがここからの注目点でもあるわけです。

5.”後期、現在の挑戦”と言う。

 後期はいろんな意味で攻めています。初期のモチーフの踏襲もあれば構成を破 壊したり。一人一人にスポットを当てているのも印象として強いです。楽曲の特 徴として”ダンスミュージックの中に香る歌謡曲テイスト”、”ゴリゴリ EDM”、”チルトロピカルハウス”、”リバイバルブームに乗ったギターのリ フ”、”ベーススラップクソデカ”など多種多様になっておりJーPOPとして区切る といろいろと誤解や不都合が出てくるようになります。
ミキシングの傾向としてはかなりライトな響きを意識するようになってきま す。初期と比べると全く違って聞こえます。母音を伸ばして歌い上げるような曲 よりキャッチーで音一つ一つの短い曲が増えてくるので当然かなとは思います。
2011年ーSexy.Honey.Bunny! https://youtu.be/aDfwDmTEaZo
 はい、いかがでしょうか。V6史上最大の混沌が押し寄せてきますよ準備はで きていますか???大人の余裕からくる遊び心みたいなものがテーマとして出て きます。インストは若い、新しいサウンドなのにメロディラインがめちゃくちゃ 歌謡曲。簡単に言うとジャパニーズなんです。ジャパニーズ臭がとんでもないサ ビ、ここが何故こんなに悪臭を放っているかと言うと執拗にレとシを抜いている からなんです。ドレミのレとシ。ニロ抜き音階という短調なのにお祭りわっしょ いバイブスよろしく陽気に聞こえるニッポンのやつです。そんでサビの始まりが ファという。キッッモ、あと半音上がれば抜けのいい5音のソなのに、焦った い!!という風になります。Darlingを思い出させるような洋楽の節回しを意識 した日本語歌詞も特徴。
2012年ーkEEP oN. https://youtu.be/6QuTMXdBQTQ
 わかります、わかりますのでどうか落ち着いてください。この時期は本当に意 味がわからない。2010年代(20代にも続くだろうけど)の音楽のトレンド としてミニマムなものが好まれると言うかインストのわびさびの心?みたいなものが強かったので、これみたいに豪華絢爛足し算に足し算を重ねてーみたいなの は少ないんですよね。V6も実は初期に比べるとインストのごちゃごちゃ感が少な くなってとても聞きやすくなってる。この傾向が見られるのはGUILTYからか な、この曲はハープの4小節のリフとフィンガースナップが軸というね、このシ ンプルさが上品さにも繋がってるんだけど。
 kEEP oN.はメインストリームの流行り廃りだけでは測れない”その時代のエネ ルギー”であふれている。構造テンプレートからの脱却は商業音楽においてかな り破壊的な行動だ。しかも6分6秒というアイドルのシングルとは思えない長尺。 これらはどれだけタブーなことなのか、マーケティングの側面から見るとわかり やすいと思う。当時の主要メディアであるテレビとラジオ、いくら音楽番組だろ うと一曲フルでかけることなんて基本的にない。切り取られて2分前後、3分もも らえれば万々歳だ。もしこの曲をかけるとしたら序盤のバラード、三宅くんのレ ッツキポーンで終わりだろう。まだ主題もかかっていない。起承転結の起、大き な桃がどんぶらこでおしまいーてなもん。そんなんCD売る気あるってな話じゃ ないですか。とてもリスキーな選択だったわけです。けど結局これがV6の最大公 約数なんですよね。良くも悪くも小さく収まることができないと言うか。
 やっぱり個人でのパートが多くなってきて解体はあまり見られなくなってきて いますね。ミキシングはダンスナンバーということもありめちゃくちゃライト。 坂本くんの声にもエフェクトかけて太さを削ってるし。
2013年ー大人Guyz https://youtu.be/xzgkqLn3y_s
 ”Oh! My! Goodness!”という前2年の混沌を詰めこんだアルバムから一曲。
 キャッチーさを引き立てるわちゃわちゃ感ミキシングもひとつの芸になりつつありますね。パート割りもカミセントニセンでガッツリ分けてきてます。やっぱ りそれぞれの響きって全然違うけどどっちもいいですね...曲にあってる...。
 意外とこういう系統のインストって少ないんですよね。原宿育ちのスティービ ーワンダーが作りましたみたいなやつ。 
2013年ーSupernova https://youtu.be/XO_I0pDMSio
 かっこいいですね。ライブ初披露の曲らしいんですけど8割のファンが妊娠し たらしい。残り2割は男。嘘です。かっこいいけどこれも変な曲ですよね。なん で途中からラテン調になるの??めちゃクラシカルな編曲でテンポの速いマンボ やん、社交ダンスやん。全体として”クラブミュージックテイストを加えたエレ クトロポップ”という感じなんだけどなんだろうね、大人のエロさを加えたかっ たのかな?確かにクラブミュージックで腰にくる楽曲にしようとするとテンポが 落ちて重く聞こえるからね。手軽に腰触れるラテン音楽サイコー。
 
2014年ーSky's The Limit https://youtu.be/iXPHqmlCuKY
 V6らしい踊りまくる曲、シングルだけで見ると実はバラード続きだったので 2年ぶりのダンスナンバーです。トレンドのDAWの打ち込み楽曲っぽさが出てき ましたね。
 シングルでここまで一人のメンバーをフィーチャーすることも少ないんじゃな いかな?健くん一人勝ち。サビのミキシングとかモロだもんね、健くんとそれ以 外(坂本くん主体かな?)というわちゃわちゃ感のないシンプルな身軽さがあり ますね。そしてひっさしぶりに長野岡田三宅パートきました。初期と比べると長 野くん主体感が本当に薄まりましたね。薄まったというか長野岡田ペアがど定番 になりすぎてシンクロ率がやばいですね。裏シンメやんこんなの。
2015年ーTimeless https://youtu.be/omp4EjFWftY
20周年記念のシングルですね。いいなーースッキやなあ。5、6年続けてきた 大人っぽい系統、これがひとつの着地点です。とても落ち着きましたね。インス トもシックだし歌詞もオラオラしてない、本当の意味で余裕が出てきましたね。 ミディアムテンポの楽曲ということもありインストよりも声が主体として聞こえ てくる。
 サビのユニゾン、特徴があるわけじゃないんだけどそこが面白いですね。すご くまとまって聞こえる。レコーディング時間かけたんですかね、歌い方もみんな で合わせてる感じがする。今までの楽曲は「高音になるとこの人が張り上げて ー」みたいなのがあったけどそういう個人の癖が一切見えない。公約数を持たな いグループがこんなユニゾンを作れるなんて...歩いてきた道のりを知るとより感 慨深いものがありますね。
2017年ーハナヒラケ
https://youtu.be/5BjJu-laZAs
こういうのも珍しいよね?電子音と二人三脚みたいなグループだったのでこんな 感じのブラス主体の編成は新鮮。ストリングス隊も入ってるしバンジョーも登場 してきてるしお金かけすぎではぁ?そして皆さんこういう曲の時に活躍するのは 誰と誰でしたっけ?そうですイノッチと健くんです。ここの陽気で快活な響きは 何年経っても健在ですね。
2017年ー太陽と月のこどもたち
https://youtu.be/J4Usms_5K8g
 申し訳ない、しばらくVオタ休んでいたもんでここから僕も初めて聞く楽曲が 増えていきます。これはこれはまた不思議、いままできいたことないV6のユニ ゾン。音域が低いからか。長野くんと岡田ァ~100点かァ???出だしからこ んなに二人の声がしっかり聞こえてくるの本当にレア、優しい気持ちになってし まう。けど結局剛くんが180点を叩き出してしまうので本当にね、ごめんな?
 この曲の凄すぎるところ、サビのユニゾンが声のスパイラル。一人もしくは2 人の声がしっかり浮いてきたと思ったらモーフィングみたいに別のメンバーの声 が前面に出てくる。ある種ばらつきのように聞こえるミキシングのおかげでより 人らしさ、オーガニックな感じが出ているので大正解ですね。
2019年ーAll For You https://youtu.be/JzsLI-RN9Vw
さてさて最後の曲になります。まずビジュアルでビビったんですけどこんなチ ルアウトトロピカルなことあります???健くんあたりのセンスなのかな、トレ ンドに対する嗅覚が強すぎる。
 曲もめちゃチルハウスをポップスにしたやつじゃん。常に新しいプロデューサ ーと組んでトレンドを柔軟に取り入れていく姿勢、とてもすばらしいと思いま す。ここまでやられたら誰もお前たちをダサオジとは呼べない。オジにしてJ- popの最先端にいる。おわりーばいバーーイ。

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