見出し画像

【wit大解剖】オフィスのロケーションは雇用も間接費も生産性もエンゲージメントも制する?!

Tokyo Creators’ Project ワークプレイスストラテジストのyuiです。
このシリーズでは、TCPが開発している”wit”というレポーティングプロダクトについて、ご紹介しようと思います。

wit = workplace insight & tomorrow
企業が既存に持っているデータを活用し、その企業の働く環境や働き方の実態を可視化する分析レポート。

分析のスタンダード化やRPAを駆使し、
・短納期 (発注から10営業日以内に納品)
・低価格 (1拠点あたりのレポート価格50万円 (税別)) を実現。

また、既存データを活用することで、
・調査期間や費用が発生せず、気軽に試すことができる。

世界中のワークプレイスコンサルティング業界において、ぶっちぎりの短納期、低価格、高品質を実現したレポーティングサービスだと自負している一押しプロダクトです。

このnoteでは、witには実際どんな内容が書かれているの?どんなことがわかるの?それが何に役に立つの?と言ったような疑問に答える記事をいくつか共有していきたいと思います。

ユーザーエクスペリエンスという軸で考えるロケーション戦略

これからのオフィスを構築する際にそのユーザーを明確にすることは非常に重要です。誰のためのオフィスなのか、によって、あるべきロケーションも、空間内の要素も大きく変わります。
従業員に限っても、営業、コンサルタント、企画、開発など、オフィスのニーズは職種によって様々ですし、従業員に限らず、クライアントやパートナー企業、一般消費者まで検討範囲は広げられます。

witには、自社オフィスの分析の一環として「ロケーション分析」が含まれています。オフィスのユーザーを従業員としたとき、ユーザーにとって今のオフィスはどのような通勤位置にあるのかを理解することができます。

首都圏のオフィスビルの賃料はそのロケーションによって大きく変わります。「箔」という意味で一等地を借りる企業も多いですが、真にオフィスの目的に立ち返ると、その箔が必要なのかは再考の余地があります。

例えば、製品開発が主業務で、外出や営業が少ない働き方の場合、従業員居住地に近いロケーションを選んだ方が、ユーザーにとっても利便性が高く、賃料も安い、ということもあります。

また、クライアントやカスタマーを招待することを目的とした場合、彼らにとって利便性が高い位置にあるべきなので、賃料が高いエリアになる可能性があります。その場合は、営業拠点と開発拠点を分けても良いかもしれません。

また従業員の中間地点を取ると、どうしても都内の高賃料エリアになることもあるでしょう。そこで、シェアオフィスや在宅勤務を活用を取り入れることで、オフィス面積を削減し、賃料などのランニングコストを削減していくことは大いに可能です。

オフィス移転を検討している企業様でも、移転することによって通勤時間が増えてしまう授業員を気にかける声はよく耳にしますが、「働く場所と居住地はできるだけ近くにあってほしい」というのが一般的なユーザーの声だと言うのは、下記のレポートからも理解できます。

ザイマックス不動産総合研究所より2019年に報告された「通勤ストレスがワーカーの満足度に与える影響」では、通勤と仕事の満足度、生産性、会社へのエンゲージメントの関係性が非常に興味深く集計されています。

このレポートでは、通勤時間が短い人の方が通勤ストレスが少なく、通勤ストレスが少ないグループでは多いグループより、仕事への満足度、仕事の生産性、会社へのエンゲージメントの観点でポジティブな結果となったことが報告されています。

コロナ禍によって、首都圏や都心部に働く人々の通勤のあり方は大きく変わりました。今後、人々の通勤に対する考え方や意識はますます変わっていくことでしょう。従業員の居住地を大局的に見てみることで、これからのオフィスの在り方について新たなインサイトを得ることができるでしょう。

witでは、ロケーション分析の結果をこのようなマッピングをHTMLの形でお渡しします。

スクリーンショット 2021-05-17 19.33.54

青星マーク:本社
数字のある丸:従業員居住地の最寄駅。数字はその駅を最寄駅とする従業員数
小さな丸:シェアオフィスのロケーション

従業員の居住地のまとまりやばらつきを洞察したり、アクセスが不便になっている人々にとってちょうど良いシェアオフィス拠点を見つけたり、移転先としてより利便性の高いエリアに目星をつけたり、という良い材料になります

サテライトオフィスとしての、シェアオフィスの可能性

ここ数年のうちに、日本全国に多様なシェアオフィス事業者が参入し、空前の盛り上がりを見せています。

シェアオフィスにはいくつかのタイプがあります。

①個人作業へのサポートを目的とする

画像2

1人で執務をしたい人にとっての利便性を追求したシェアオフィス。営業と営業の間での使用や、自宅では集中できないというニーズに対して、ロケーションの選択肢を豊富にすることで対応。オフィス空間は個室や半個室などのブースが多く設置され、シンプルな意匠であることが多い。
国内のシェアオフィスはこの形を取るものが非常に多いように思います。

②コワーキングやコラボレーションを目的とする

画像3

チームで協働する場所として設えられたシェアオフィス。スタートアップや個人事業主、中小企業・大企業の中の1チームなどの単位で「部屋」借りするユーザーが多い。ロケーションは都内23区内の主要なビジネス街を押さえている。共用ラウンジを併設し、違う組織であっても、同居人同士がコミュニケーションを取ることも想定されている。
WeWorkがこのタイプの先駆者と言えるでしょう。

③ニッチな業種の特殊要件に応える

画像4

ニッチな業種や職種にターゲットユーザーを絞り、ユーザーの特殊な要件に応えることでポジショニングを取るシェアオフィス。②のようにチーム単位で借りることが想定されるが、業界や業種を絞っていることからロケーションも独特な位置にあることが多い。自分たちで購入するには価格が高く、使用頻度も低い設備などをシェアすることで安価に使用できたり、同業種や同職種でのコミュニティ形成をすることで情報共有や技術・リソース共有をしたり、というメリットをユーザーに提供する。
拠点数としては最も少ないですが、自分たちのビジネスに合えば享受するメリットも大きいタイプだと言えます。

witでは「シェアオフィスの可能性」とテーマで、シェアオフィスサービス(※1)の全国拠点のうち、各従業員にとって最も近接する拠点への通勤時間を分析する項目があります。

(※1)現在の分析対象シェアオフィスは下記の通り
- bellesalle
- solotime
- New Work
- WeWork
- Workstyling
- ZXY

これまで行ってきた分析実績からも、シェアオフィスを利用することで、99%の従業員が15~30分以内に通勤可能になる、というような結果が分かって来ています。この何分という数字は企業によって異なりますが、いずれであっても本社への通勤時間より、ずっと短い時間で通勤できるサービスとして、タイプ①のシェアオフィスは広がりを見せています。
つまり、タイプ①のシェアオフィスの多拠点配置が功を奏し、首都圏の企業に勤める人々の99%を網羅する形で相当数のシェアオフィスが開設されているのです。

リモートワークを実践したいが、自宅では働く環境として適切でない従業員に対しては、このような最寄りのシェアオフィスへのアクセスを可能にすることで、彼らのストレスも軽減できるでしょう。

またこのようなシェアオフィスは従量課金制を取っている場合も多く、どの程度の使用人数や使用頻度になると、自社オフィスを構築した方が安価である、というようなシミュレーションもwitでは提示します。
そのようなサテライトオフィス開設の材料としてもwitのロケーション分析は役立つでしょう。

これからの働く環境にはフレキシブルな選択肢が求められる

従来、企業は数十年間、同じ場所にオフィスを構え続け、そこから便利な場所に従業員たちが住まう、という構造となっていました。現に、私たちがこれまでロケーション分析を行なった企業のほとんどが、そのようなオフィスと従業員の居住地の位置関係を取っていたことが発見されました。

しかし今日、オフィスや住宅のライフサイクルがより短くなっていることも皆さんの実感の内でしょう。

3年前に首都圏の不動産開発をされている方々と、2030年のオフィスビルのあり方を構想するプロジェクトに携わらせていただきました。その際に、国内大企業のファシリティマネジメント担当者にインタビューを行いましたが、多くの企業の方々が、

従来は10年単位の賃貸契約が慣例となっていたが、それでは今日のビジネススピードに追いつかない。将来は、大企業であっても、2~3年単位の契約をリーズナブルに考える企業も増えるだろう。

という意味合いの発言をされていました。

今回のコロナ禍によって、特にホワイトカラーの職種は、1年半をかけて、リモートワークによって業務をこなすことができるようになりました。
対面のコミュニケーションの重要性やチームマネジメント、帰属意識、精神的サポートなどの課題は残るものの、この先、リモートワークをデフォルトとするのか、従来のように毎日オフィスに出社するのかは、企業にとって重要な意思決定となるでしょう。

雇用の面では、リモートワークができないのであれば、その企業では働きづらい、と考える人々も増えるでしょうし、働く環境の面では自社オフィスに必要な面積、すなわち間接費に大きく左右します。

幸いにもこの2〜3年の間に日本国内には多種多様なシェアオフィスが乱立し、カスタマーにとっては自分たちのニーズに合うシェアオフィスを選びやすい状況になってきました。

「通勤」というユーザーエクスペリエンスに目を向けて、自社でオフィスを構築する選択肢とシェアオフィスを活用する選択肢をうまく見定めながら、これからの働く環境を構築していくことで、雇用維持・獲得、間接費の削減だけでなく、生産性向上やエンゲージメントの強化にもつながるオフィスのあり方を再考できることでしょう。

まとめ

この記事では、ユーザーエクスペリエンス視点でのオフィスロケーションの重要性とシェアオフィスによる選択肢の広がりについてご紹介しました。

・オフィスビルの賃料はロケーションに大きく依存する!
・ターゲットユーザーに適したロケーションを考慮することで、賃料の最適化を図ろう。
・従業員というユーザーに対する通勤のエクスペリエンス(体験)を考慮することで、ユーザーに適したオフィスを構築できる。
・通勤のエクスペリエンスは、自社オフィスだけでなく、シェアオフィスも視野に入れることで可能性が広がる。
・働く環境の変化や進化のライフサイクルが短くなり、より柔軟な選択肢が企業には求められる。

wit面白そう!やってみたい!と思ったあらゆる方々は、弊社へお問い合わせください。

TCPはワークプレイスストラテジーの知識をオープンにすることで、この業界・領域の向上と、より働きやすい未来の構築をビジョンに掲げています。
既に、様々な同業他社様のコンサルティングサービスにもwitを取り入れていただいています。

お問い合わせ先は「お問い合わせ」タブへ!

ワークプレイス可視化レポート wit を大解剖!

第一回:ワークスタイル投資の考え方
第二回:進化するワークプレイスに追いつこう!
第三回:稼働率は、オフィスの体脂肪率?!
第四回:自社オフィスのコストパフォーマンスを評価することで、オフィスの目的と差別化が説明しやすくなる!
第五回:オフィスのロケーションは雇用も間接費も生産性もエンゲージメントも制する?!
第六回:変革シナリオを構築する
第七回:新たな投資を考える
第八回:データドリブンなファシリティマネジメントに向けて