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スパイスをちょっとだけ

私は人をその気にさせるのがちょっと得意だ。

先日、息子が日本語の読書感想文の宿題をやっつけていた。(文字通り、やっつけ仕事だった。)

海外生まれ、海外育ちにしては、息子は文章を書くのが得意だと思う。「あぁ、こうきたか」と思うような、私でも思いつかない視点と言葉を選び、びっくりするようなキラリと光る一文を書く。

そんな息子があまりにも内容のないものを書いているものだから、つい、「これでは何も伝わらない。あなたのここが良かったとか、こういう文が好きだったとか、そういう一言はないの?」と言うと不貞腐れている。

今学期はオールAを目指しているらしいので、普段は私も口は出さないが、少しだけスパイスをかける。
「この前書いた、『薬屋のひとりごと』がどれだけおもしろくて、どんなところが魅力的で、だから本を買ってほしいっていう文章には、光るモノがあって、よく伝わったんだよなぁ」と呟く。

渋々書き直し始めたが、それでも書いた後の顔はスッキリ輝いている。自分でも納得できるような文章が書けたらしい。

翌日、学校から帰ってきた息子に、「感想文どうだった?」と尋ねると、「すごい褒められた」と嬉しそう。

私は人をちょっとその気にさせるような一言を言うのが得意だ。

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