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売上の図解 #会計の地図

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それではここから本文つづきです。

売上

「何人がいくら支払ったのか」の合計

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売上は、お客さんが支払ったお金の総額だ。

会社が提供した商品やサービスをお客さんが買うことで、売上になる。

売上がなければ、仕事はなくなる

会社にとって、売上は何よりも重要だ。売上がないと会社は存続できない。逆に言えば、価値を提供していない会社は、売上を上げられない。つまり、売上を上げるということは、価値を提供できている証でもある。

売上がない会社は存続できない*。会社がなくなれば、仕事はなくなってしまう。つまり、売上はあらゆる人に関係する大事なものだ。だから、一人ひとりが「どうしたら売上を上げられるか?」を考える必要がある。

分解すると、具体的な行動が見えてくる

大事なのは、売上は必ず分解して考えるということだ。売上は、「客単価×客数」のかけ算に分解できる。たとえば、1,000円の商品を100人のお客さんが買ったら、売上はもちろん10万円だ。

なぜかけ算に分解するか。要因が切り分けられるからだ。売上を増やすためには、客単価を増やすか、客数を増やすかのどちらかしかない。要因が見えることで、個別に施策が考えられる。

たとえば、客単価を増やすためには、一度に買う量を増やしたり、商品1つあたりの単価を上げることが考えられる。客数を増やすためには、もっと商品の認知度を上げたり、リピートしてもらう策が有効かもしれない。

「売上を増やそう」は漠然とした目標だが、売上を増やすために、まず客単価を増やそう、そのために一度に買う量を増やそう、といったように、分解して要因を知るほど、具体的な行動につながっていく。漠然とした目標も、要因を分解することで、具体的な行動に落とし込まれていく。

何をしたらわからないときは、「とにかく分解して考える」を合言葉にしたっていいくらいだ。

* 厳密にいえば、企業の存続は売上ではなくキャッシュフローの有無(資金繰りが続くか)で決まるため、売上が無くても存続する会社はある(創薬のベンチャーは売上がない段階であっても出資者からの投資で存続する、という場合など)。

「売上」を考えるための事例

会計の地図.036

実際のビジネスでは、「客単価×客数」にとどまらず、さらに要因を分解して考えることもある。たとえば、コンビニの売上を考えてみよう。

まずは客数を分解する。コンビニは、通行者が多いところでなければお客さんは増えない。なぜなら、「遠くの○○町のコンビニに行く」というような「わざわざ行く目的地」にはなりにくく、「ふらっと寄る」特性があるからだ。つまり、何人通行するかという「通行者数」が要因になる。

また、通行者が全員コンビニに入るわけではないので、何人が入店するかという「入店率」を掛ける。さらに、入店した人がすべて商品を購入するわけではないから、何人が購入したかという「購入率」を掛ける。

そうすると、客数は「通行者数×入店率×購入率」のかけ算になる。客数を増やすためには、「通行者数を増やす」「入店率を増やす」「購入率を増やす」の3つの選択肢が生まれたことになる。

ここまでは、ただの計算式。重要なのはここからだ。通行者数は、ビジネス的に言うと「商圏」のことなので、通行者数が多い立地であることが何よりも重要である。すでに立地が決まっている場合、通行者数を増やすのは難しいが、たとえば宅配ビジネスを取り入れることで、「商圏そのものを広げる」という発想にもつながる。

入店率は「通行した人がお店に入ってくれるかどうか」なので、お店の前に看板やポップを用意して、季節ものの商品や特別な商品をアピールすることで、入店率アップを狙えるかもしれない。

購入率は「入店した人が商品を購入するかどうか」なので、いい商品があるかが最も重要ではあるが、「お店の中の導線が適切か」とか、「清潔に掃除されているか」なども要因になるかもしれない。

こうして客数を3つの要因に分解したことで、それぞれ具体的に何をしたらいいかがわかりやすくなる。

ここまでは「客数」の説明だったが、「客単価」のほうも考え方は同じだ。たとえば、客単価を「平均単価」と「買上点数」に分ける。すると、1品あたりの金額を見直したり、もっと多くの点数を買ってもらえるよう、棚に置く商品の陳列を工夫したり、レジ脇に魅力的な商品を置いたりする施策を考えられるようになる。

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「売上」が埋まった。このように全体の地図は、1つの単語が説明されるごとに、1つ埋まっていく。

「売上」の話はどうだった? 細かい話もあって戸惑っただろうか? 「このくらい知ってるよ」という人もいたかもしれない。

次は、「費用」の話に入る。費用は、売上と密接につながる概念だ。

---ここまで---

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