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「18年間熊本で暮らした県立高校出身の成松さんが世界最難関ミネルバ大学に合格した理由」成松紀佳さん(前編)

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合格率わずか1.2パーセントで“世界のエリートが今一番入りたい大学”とまで言われているミネルバ大学。キャンパスがなく、4年間で7つの都市をめぐる全寮制。授業はすべてオンラインで行い、講義もテストもないというかなり変わった大学です。

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この大学に9月から通う成松紀佳(なりまつ・のりか)さん生まれも育ちも熊本県。県立高校を卒業した彼女がどうやって難関海外大学に合格したのか。その秘密に迫ります。

県立高校からミネルバ大学へ

ミイナ:
Dooo!堀口ミイナです。今回のゲスト、ご紹介しましょう。熊本の県立高校を卒業されて、この秋からミネルバ大学に入学される成松紀佳さんです。成松さんよろしくお願いします。

成松:
よろしくお願いします。

ミイナ:
ミネルバ大学。この秋から行かれるんですね。まずはおめでとうございます。

成松:
ありがとうございます。

ミイナ:
ミネルバ大学といえば・・・

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Doooでも去年の10月に山本さんをお招きしてお話をお伺いしたんですけど。こんな本があるんですよね。

この本を書いた、ミネルバ大学日本連絡事務所の元代表山本秀樹(やまもと・ひでき)さん

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山本さん:
今年は(合格率)1.2%と言われていますね。

ミイナ:
みなさん1.2%ですよ。

Doooでは去年番組にお呼びして、ミネルバ大学についていろいろお聞きしたわけですが、今回は実際に入試を突破し、入学を決めた成松さんにあれこれお聞きします。


ミネルバ大学と出会ったきっかけ

ミイナ:
最初に成松さんがこの学校を知ったきっかけは何だったんですか?

成松:
まさに学校の先生の机の上にあったこの本がきっかけでミネルバ大学自体のことを知りました。

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ミイナ:
じゃあこの本がきっかけで。

成松:
そうですね。

ミイナ:
山本さんありがとう、ですね。

成松:
山本さんありがとう、それを置いててくれた先生ありがとうって感じですね。

ミイナ:
で、ちょっと見てみて行ってみたいなって思ったんですか?

成松:
そうですね。興味自体はずっとあったんですけど、やっぱり合格率とかを見て受かるわけないやと思って実際受験をするっていうプロセスに踏み込めてはいなかったんですけど、3月の三次募集で初めて受験しました。


熊本県が海外へ後押し

ミイナ:
そんなまずちょっと成松さんについてお伺いしていきたいんですけど、元々は熊本県生まれで熊本でずっと高校生まで勉強してきてるんですよね。

成松:
ずっと18年間熊本です。

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そのおかげで私も海外出を視野に入れ始めたっていう背景があるので熊本は大好きです。

ミイナ:
どんなプログラムなんですか?

成松:
県庁がやってる海外チャレンジ塾っていうプログラムがあって中学1年生から高校3年生まで所属出来る公的な塾みたいなのがあるんですよ。

成松さんも中学3年生から参加した「熊本時習館(じしゅうかん)海外チャレンジ塾」

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海外の大学への進学に欠かせない英語の講座のほか実際に海外に進学した先輩からアドバイスを受ける機会などもあり、いたれりつくせりなのですが、受講料はなんと無料!2013年度の開講からすでに29人が海外の大学に進学しているといいます。

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成松:
無料で全部受けられるので・・・

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ミイナ:
それにまさになろうとされてるっていう事だと思うんですけど。普通だったらTOEFL®とかTOEIC®の塾ってすごい高いし・・・

成松:
それが全部無料で受けられるって言うのも良いですし、希望すれば中学校1年生から、その対策を無料で出来るっていうのはすごく早い段階から準備が出来るので、すごく良いシステムだと思います。

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ミイナ:
何人ぐらいの人がやってるんですか?

成松:
40人ぐらいは受けてます。

ミイナ:
じゃあその40人の友達とは結構よく会うし、すごく仲良くなっていくんですか?

成松:
そうですね。実際出願するときも友達が家に泊まりに来て一緒にエッセイを書きまくったりとか、みんなで泊まり込んでやったりとか。

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ミイナ:
楽しそう。

成松:
熊本だからやっぱり情報とかイベントは少ないんですよ。福岡とか東京に比べると。だから同期の4人とかでみんなで一生懸命情報探してシェアして、「奨学金もうすぐ締め切りだよ」とか4人で言い合ってなんとか乗り越えてったって感じですね。

ミイナ:
でも、何か本当に受験とか就活もそうですけど、情報戦で友達とどれだけ共有できるかって大事ですよね。

成松:
夢がばらばらだったので、みんなでそれぞれの志望校に合格しようっていう意思があったのですごく良いグループだったっていうか。

ミイナ:
皆さんどういうところ志望されてたんですか?

成松:
私はミネルバとかアメリカのリベラル・アーツ・カレッジを複数受験したんですけど、カナダのUBCブリティッシュコロンビアに行く子だったり、バレエで留学する子とか建築を学びに工科大学に行く子だったりとかがいて。

ミイナ:
皆さんどうですか、その後。

成松:

ミイナ:
え、本当!?すごいですね。


SSH指定校での活動

ミイナ:
高校はどういう風に過ごされてたんですか?

成松:
私の高校は公立高校なんですけど、SSHっていう取り組みをやっててSSHはSuper Science Highschoolって言って、文科省がやってるプログラムなんですけど。そのSSHの中で研究活動やったり海外研修があったりっていうのがあったので、やっぱり海外に目を向けたりとか、私は実際理系の人間だったので研究に没頭したりっていう環境がすごくありました。

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ミイナ:
SSH。何か全然知らないことばっかりなんですけど。もう全国でやってる取り組みなんですか?

成松:
そうですね。全国にSSH指定校っていうのがあって、SSHの学校は絶対生徒が研究をしなきゃいけないっていうのがあって、で国から補助金をもらって実験器具を買ったりとか、他のSSH校との交流があったり。

ミイナ:
もう高校3年間の間中ずっと?

成松:
私の学校は併設型中高一貫校なので中学1年生の時からSSHの活動をすることが出来ました。

ミイナ:
やっぱりそれも視野を広げてくれるものだったんですか?

成松:
SSHを通して参加した大会とかでやっぱり感化されて理系の道に進んだっていうのもあるので元々自分は文系の人間で保育士になろうと思ってたんですよ。

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ミイナ:
そうなんですか。

成松:
何か、家族が保育園を経営してて兄も姉もお父さんもお母さんもお爺ちゃんもお婆ちゃんも保育園で働いてるんですよ。

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ミイナ:
すごい。

成松:
普通に行ったら自分も保育士になる予定だった、なる予定っていうかなるのが夢だったんですけど、

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心霊写真の研究!?

ミイナ:
そのすごい面白い研究っていうは?

成松:

をされてる先輩がいて。

ミイナ:
心霊写真の研究?

成松:

ミイナ:
嘘なんですね。

成松:
嘘なんですよ。

ミイナ:
嘘だったんだ・・・。

成松:
心霊写真を、心霊はいるかもしれないけど心霊写真は説明が出来るよっていう研究をされてて。

成松:
私たちが目で見てる物とか写真で写してるものは実像って言われてレンズがあって光源と反対側に出来る像を見てるんですけど。実は実像とは別にあと二つ像があるんですよ。副実像って言うんですけど、その副実像が写真に写り込んでるっていう。

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ミイナ:
うーん、分からない。

成松:
人間の目では副実像は見えないんですよ。

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人間のレンズは水晶体って言ってこういうのがあるんですけど・・・

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水晶体自体が綺麗な球面を切り取ったレンズじゃないんですよ。だからちょっと楕円みたいなレンズなんですけど、その楕円のレンズでは副実像っていうのが現れないんですよ。でも、カメラの場合は綺麗な球面を切り取ったレンズなので副実像は現れますし、副実像ってレンズのすぐ後ろに現れるんですよ。すごく近くに。なのでiPhoneとかiPadとかすごく薄いじゃないですか。なので副実像をスクリーン上にとらえやすいんですよ。

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ミイナ:
じゃあ心霊写真撮りやすいっていう事ですか?

成松:
そうです。

ミイナ:
ちょっとここでカメラさんiPhoneをお借りして。

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成松:
これですこれ。

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ミイナ:
あー!こんな簡単に写るんですね。

成松:
今こう見たら無いじゃないですか。

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けど、これで見たらあるじゃないですか。これは、これがレンズになっていてこのレンズで作られた副実像が・・・。

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成松:
iPhoneとかiPad。だから芸能人の方のインスタとかに副実像結構写ったりしてるんですよ。

ミイナ:
え、ちょっと待って。やっぱ研究してると誰かの写真見たときに「あ、副実像だ」みたいになるって?

成松:
明らかに副実像のやつとかあったりして、何かその芸能人の方が「やばいこの写真呪われてる」みたいなこと書いてるじゃないですか。いや、副実像だみたいなことを部員でみんなで何か漁って盛り上がるっていうのが。


なんでもやってみる積極性

ミイナ:
ちなみになかなかミネルバ大学に受かる英語力を身につけるのって、簡単じゃないと思うんですけどどんな風に勉強されたんですか?

成松:
やっぱりさっきお話しした無料で受けられる海外チャレンジ塾のオンライン講座、オンラインのTOEFL®講座を3年近くやっていたことと、あとは学校がSSHだったので自分たちの研究を最後の年に英語で発表しなきゃいけないんですよ。パワーポイントも英語で作ったり、色んな事をしなきゃいけなくて自然と身についていったっていうのは理系の単語とかに関してはあると思います。

ミイナ:
じゃあありがとう熊本県、ありがとう文科省みたいな。

成松:
熊本県とか学校とかそういうのにすごく育ててもらったと思っていて、何か活用できる事は全部活用したと思ってるんですよ。

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例えばこういう応募がありますよって言われたときは絶対必ず応募要項とか見て自分に合ってたら全部を応募するようにしてたので。

ミイナ:
その積極性が素晴らしい。

成松:
全部先生たちがその情報を止めないで全部流してくれる学校だったので、

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すごくありがとうって感じでした。感謝です。


SAT®対策は?

ミイナ:
でも何かその私インターナショナルスクールにトルコで通ってたんですけど、その時はまあ英語でやってたんですけど日本のその公立とかではそういう英語でプレゼンしたりとかTOEFL®の勉強したり出来る場所はもう全然無いと思ってたんですね。皆無だと思ってたの。でも、実際はあるんですね、何かそうやって。

成松:
学校にもよると思うし、先生にもよると思います。私の場合はSAT®の対策を高3になって始めたんですよ。

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ミイナ:
遅い!

成松:
すごい遅いじゃないですか。もう焦ってて先生と一緒に、毎日放課後一緒に勉強して、毎日質問してみたいな感じだったのでそれに協力してくれる先生がいたので、まあ学校でSAT®を受ける人は一人だったんですけどなんとか耐えたっていう感じです。


ミネルバ大が選ぶ人材とは

ミイナ:
ミネルバが定義するその頭の良さというか出来る人材の定義みたいなのがすごい独特でちゃんとあるじゃないですか。

成松:
日本人が思う頭が良い人が選ばれてるわけではないと思います。だから日本人が思う頭が良いっていうステレオタイプは私的には何か知識があって例えば入試とかに強い、いわゆる東京大学とか京都大学に合格するような人が日本では頭が良い、官僚になる、とか思われてる風潮にあると思うんですけど。

ミイナ
優秀なね。

成松:
優秀な人材っていう何か大きな定義。何かふんわりとした定義が勝手に私たちの中にあると思うんですけどミネルバは別に数学を勉強全くしたことがない子が入ってきたりするんですよ。

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成松:
今実際に入学前なんですけどいくつかテストを受けなきゃいけなくて、でそのテストの結果に応じてそれぞれ宿題もオーダーメイドで出してくれるんですよ。

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なので私が実際にプログラミングが初めてでこのテストを受けたときに、相談したらそれも習熟度の違いも多様性の一つだから同じ同学年にメンターがつくんですよ。何かそれに特化してる子が先生になってくれて日曜日に講座とかがあるんですけど、それを同学年でやっていくことによって・・・

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っていうのはすごく言ってくれてます。

ミイナ:
いや、精神的にすごく楽ですね、そっちの方が。何かこうすぐ出来る出来ないっていう事じゃなくて、それを習熟度の多様性って見るって。やっぱり何か一つ上の視点ですよね。

成松:
なので私自身英語がそこまで得意じゃないんですよ。何かTOEFL®が100点あるわけでも、100点無いんですよ。

ミイナ:
無いんだ。

成松:
無いんですよ。

ミイナ:
頑張って!

成松:
頑張る!

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だから、無いから、無いけど、大学側としても面接の中で「もし入学してくれるならインターナショナルスクールじゃなくて一般の学校から取るのはあなたたちの代が初めてになるからこちらとしてもチャレンジだけど、それでも一緒にボトムアップ出来るっていう自信があるからあなたを取るから一緒に頑張っていこう」っていうメッセージをくれたので頑張ろうって思えました。

成松:
私は日本で言う頭が良い人では絶対無いと思うんですよ。別に東大に受かったかって言われたら絶対受かってないと思うし、京大に受かったかって言われたら受かってないと思うけど、だけどそれを評価してくれるのがミネルバだったので、ミネルバに進学するんですよ。何か物差しが違うんですよね。

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日本のシステムにフィットしないなら・・・

ミイナ:
いやでもそれをまず知ることから始めるのがすごい大事だなと思うんですよね。日本の大学の入試システムに自分がうまくフィットしないんだったら、
本当にもっとこう他を探して他を探してっていうのが私も結構面白いんじゃないかなと思って。

成松:
絶対日本の中にも1、2年生で「大学合わないな」とか「学びたいこと別だな」って思ってる子いると思うんですよ。その人はやっぱり編入とか転学部とか考えた方が良いと思うんですよ。やっぱり入ってしまったら4年間同じところに行くって言うのは日本では今はスタンダードだけど、もし合わなかったら大学変えても良いし、転部しても良いからもうちょっとそれを認める教育制度って大事じゃないですかね。

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ミイナ:
大事だと思う。ね、やり直しできた方が良いですよね。そう、会社もそうだと思いますしね。

成松:
別にね、一生そこでキャリアを歩んでいく訳では無いと思うので。


日本の大学を選ばなかった理由

ミイナ:
日本の大学にも行きたければいけたと思うんですけど、どうして選ばなかったんですか?

成松:
日本の大学って一般的な大学は学部を決めて入学するじゃないですか。自分は例えば理学部って決めて4年後理学部を卒業するのかっていう、まだ自信が無かったっていうか自分の選択にまだ責任を持てなかったんですよ。日本ではまだ転学部とか編入とかってまだマイナーじゃないですか。なのでそういうリスク、何か自分がもしやりたいことが変わったときのリスクを取るよりはアメリカの大学とか海外の大学は専攻を決めるのが3年生とかで良いのでもう少し猶予があっても良いのかなと思って、そういう考え方からアメリカのリベラル・アーツにちょっと進路を変えて行ったっていう感じですね。

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ミイナ:
確かにその学部をまず決めてからじゃないと受験できないみたいな。もう当たり前だと思ってますけど、全然リベラル・アーツはそうじゃないですもんね。

成松:
美容専門学校とかでもいいんですけど自分の何か将来のキャリアのために学校を選べてる人って本当に魅力的だと思ってて。でも、まだそれをする自信が無くて、だからやっぱ日本は向いてないのかなと思って海外に目を向けだしたっていうのが本音ですね。

ミイナ:
まあでも自分の選択肢の幅をなるべく多く残しておける選択肢って事ですよね。

成松:
フォーカスしていく人生か広く持って行く人生かって選んだときに、ただ自分が向いているのが後者の方だと思ったから日本じゃなかったってだけですね。


ミネルバ大への期待と不安

ミイナ:
これからミネルバすごく楽しみな事多いと思うんですけど、色んな国で勉強できて、で寮生活も出来てっていうので何が一番楽しみですか?

成松:
やっぱりまわる寮生活って楽しみですね。

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何かそもそも海外に定住するのが今回が初めてなので不安はあるんですけど、こういう時期じゃないと世界を回るっていう時間も経験も出来ないじゃないですか。

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ミイナ:
7か国ですもんね。それで予防接種もいっぱい受けてるんですもんね。

成松:
ワクチン。本当、ビザも取らなきゃいけないので。でも、そういう経験も今しかしないじゃないですか。

ミイナ:
キャンパスがないっていう事についてはどう思います。

成松:
最初はすごく不安でしたね。やっぱり。それが魅力でもあるんですけど、

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町の物を使うっていう考え方なんで最初は何か本当にやっていけるのかなとか、本当に大学あるのかなっていう感じだったんですよ。でも、今は逆に

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授業は全部オンラインでやるんだけど、全寮制っていう感じでオフラインの活動にすごく力を入れてるので、そのバランスをどう自分で保って行こうかなっていうのも今すごく考えてます。

ミイナ:
まあでも町に出れるっていうのは、何かその町にある企業とかで研修したりとかっていうのも出来るんですよね。

成松:
そうですね。各国それぞれプログラムが組まれてて共同してる企業とか政府とかも変わってくるので、それで自分たちがやりたいことに力を注げるっていうすごく良いプログラムだと思います。

成松:
ミネルバにもし4年間・・・卒業したら、

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ミイナ:
いや、どんな国に行くのも怖くなくなりますよね。

成松:
選択肢の幅が広がるし、すごく、将来自分まだどんな選択肢を選ぶのが全然想像も出来ないんですよ。だから4年後、どうなってるのかなって楽しみです。

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