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テレワークゆり物語 (56)台風とテレワークと働く人の意識

『台風の 進路と共に 在宅勤務』

2013年10月に発生した台風26号は、太平洋を日本列島に添う形で太平洋を北上し、関東地方を中心に広域で大きな影響をもたらした。
以下は、台風が熱帯低気圧に変わった10月16日の私のFacebook投稿である。

読みやすく5.7.5にしたが、決してふざけているのではない。
奈良・東京・北見、3つのオフィスにおいて、台風の進路に応じて「在宅勤務」できることで、社員は安心して仕事ができたことを伝えたかった。

各種災害の中でも、台風時は、テレワークが大きく貢献できる。

当時は、テレワークを制度として導入していても「事情ある社員のため」「週1回のみ要事前申請」など制限のあるものが多かったので、事前対処可能な台風は、テレワークと相性が良いと考えられていた。

しかし、2019年9月 台風15号で、最大の課題は「働く人の意識」であることが浮き彫りになった。

9日月曜の早朝5時前、台風15号は千葉市付近に上陸した。記録的な暴風となり、各地に被害をもたらした。(ゴルフ練習場のポールが倒壊し民家に直撃したのもこの台風だ)

首都圏のJR在来線は、前日の夜から、始発の運休を決定していた。

「台風が過ぎ去り、電車の運行が再開してから、出社しよう」
首都圏に通う多くの通勤客がそう考え、慌てず自宅でTVのニュースに注目していた。

台風は、上陸後北東へ進み、午前8時頃に茨城県沖へ抜けた。

「8時ぐらいから電車も動きそうだ。さあ、会社に行こう。」
首都圏に通勤する人たちが、一斉に動き出した。


しかし、電車は少しずつしか動き始めない。
通勤客は、会社に行こうと、続々と駅に集まってくる。
ホームに人が溢れて危険な状態になる。
改札に入場制限をかける。
改札の外に何キロという行列が続く。
やっと中に入れても、駅内はすし詰め状態。
電車はいつも以上の満員ぎゅうぎゅう。
台風一過の猛暑日となり、熱中症の危険も危惧された。

昼すぎ、クタクタになって会社にたどり着いた人たちは、その日仕事はできたのだろうか。

混乱の様子は、以下の記事をご覧いただくと伝わるだろう。

翌日は、テレビもSNSも、「なぜそこまでして会社に行くのか?」という話題でもちきりだった。

「月曜早朝に関東通過」というタイミングだったため、「出社するかどうかは自己判断」とした企業が多かったのも、混雑を招く原因になったと言われている。

通常は40分のところを、2時間半かけて出社した40代男性へのインタビューが印象に残る。

断固たる答えではなく、「社員の(なんとなくの)意識」が、この混乱を大きくしていたのではないだろうか。

この台風15号から半年も経たないうちにコロナ禍が世界を襲い、感染対策として「在宅勤務」をせざるを得ない状況がやってきた。

「台風だから」「コロナ禍だから」ではなく、いま一度、

なぜ会社に行くのか?

という問いに向き合う必要があるのではないだろうか。

そしてその答えが「仕事をするため」であれば、
コロナ禍で多くの人がテレワークを経験した日本では、たとえ台風15号と同じ曜日、同じ時間に、同じ経路の台風が来たとしても、あの混乱は発生しないだろう。

※冒頭写真は、2019年台風15号通過後の駅の混雑の様子

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