ラーメン二郎はケニー・オメガだった話
自称「無類のラーメン好き」である筆者が本日、遂に念願の二郎デビューを果たしました。
正直に言いましょう。
失敗しました。
全くの初心者が二郎に行ったらこうなった というレポートを批判覚悟で残しておきたいと思います。
「今後私のような被害者を出さないため」という一心で書かせていただきますので、これから二郎に来店する予定がある方は是非お読み頂ければと思います。
二郎に行きかった理由①「花月より刺激が欲しかった」
私が二郎に行った理由は「なんとなく」ではなく、それなりの理由がありました。
さながらキャバ嬢に憧れる女子高生のように「いつか私もああなれたらなぁ…」という敬畏の念をジロリアン(※)の方々に抱いていたというのが1つ。
※ ジロリアン とは…
「ラーメン二郎」の熱狂的なファンのこと。
そんなジロリアンに憧れ始めたのは「ラーメン花月嵐」というラーメン屋にどハマりしたのがキッカケでした。
画像を見て何となくお察しの通り、これまたコッテリ背脂系のラーメンを売りにしています。
ニンニクや背脂がとっぷり浮いたジャンクなラーメンって、日々のストレスや悩み事が蒸発していくような快感があるんですよね。
いつしか私は「花月では満足できない」と思うようになり、「更なる高みへチャレンジしたい……」と願うようになりました。
二郎に行きたかった理由②「セブンで二郎系ラーメンを食す」
ある日。
コロナ禍真っ最中、筆者はどうしても濃ゆいラーメンが食べたくなりました。
その日一番食べたかったのは「中華蕎麦とみ田」という店のつけ麺だったのですが、コロナウイルスの影響をダイレクトに受けて営業休止をしていたのです。
※松戸市観光協会さんのサイトから画像を引用させて頂きました
花月では既に物足りなくなっていた私。
何より、花月の良さであるあの細麺に飽き始めていました。
もっとシコシコと食べ応えのある麺を噛み締めたい… けれど遠出はしたくないし、どうしたものか…と思いながら空腹に誘われるようセブンイレブンに立ち寄った時、目にしてしまいました。
※ガジェット通信さんのサイトから画像を引用させて頂きました
コンビニのラーメンで550円というなかなか強気な値段設定。万年金欠の筆者は「豚ラーメン」の前を何往復かした後、思い切ってレジに持って行きました。
家に帰ってから食べた時の衝撃といったら、もう。
花月以外だと殆どサッパリ系のラーメンを食べることが多かった筆者は、この独特の味わいに胸を打たれました。
柔らかく崩れるようでありながら弾力のある甘いチャーシュー、醤油ベースのスープに荒めのニンニクが絡んで味わい深いのなんのって!
筆者は部屋で一人呟きました。
「これが…二郎系………」
本物を、体験してみたい。
この思いが私を暫く支配してしまったのです。
その日は突然に
遅く起きた休日。
何も成果を為せていないし、為せそうにない…
ダラダラと食事を済ませた後、夕飯について私は思いを馳せていました(食うことしか頭に無い)。
…………
今日なのでは?
二郎、今日なのでは?
頭の中に棲まうラーメン審判が「GO!!」を出します。
すぐに支度を済ませ、彼氏を誘い、ラーメン二郎へと足を運びます。
道中のテンションはまるで遠征のような高揚感。
「これで二郎ヴァージン卒業か…」
「俺も二郎童貞卒業かぁ…」
という意味不明な会話を交わしつつ向かいます。
道すがら現れる黄色い看板の店を見ては「二郎かと思ったよー!!」なんて、くだらない冗談を言い合いながら寒空の下歩いていきます。
そして現れる、
>> ラーメン二郎 <<
(写真撮り忘れました)
あれは蜃気楼ではないのか?そんな思惑さえ浮かびましたが、歩を進めるごとにそれは現実だと分かりました。
入店レポ①「プレッシャーが支配する店内」
店内を見てまず思ったこと。
それは、他では感じたことのない異様なプレッシャーでした。
ラーメン二郎は厨房を取り囲むようにしてカウンター席が並んでいるのですが、それらを外野から見つめるようにして次のお客さん達が椅子に座って待ちます。
この既視感…
プロレスや!!!
※密かに応援している矢野通選手とランス・アーチャー選手。筆者がコロナ禍の前に撮影しました。
コロナ対策ということもあり会話は控えるように貼り紙がされているので、おのずとラーメンと戦う彼らをジッと見守る観客達。
花月のように、手持ち無沙汰でスマホを弄っているような客は一人もいない…
そう、彼らは二郎と真摯に勝負しに来たのだ…。
入店レポ②「注文で起立する囚人2名」
そんな"観客"の一員となった筆者と、その彼氏。
リング内の審判(厨房内の従業員)から
「そちらの2名様、札を見せてください」と言われ
「はい!」と立ち上がる彼氏。に釣られて起立する筆者。
呼んだお店の人がやや面食らっていたようですが、態度が悪いよりはマシだろう…と心を落ち着かせます。(皆さんは座ったまま手を上に伸ばせば良いと思います)
そして席に案内され、「ニンニクどうしますか?」と質問されます。
私は「ニンニクマシで」と告げ、
彼氏は「全部載せで」と言い放ちました。
「ショーシャンクの空に」のモーガン・フリーマンの如く落ち着き払った表情をしている彼氏。
観客でいた時は「トッピングなんていらないよ…普通でいいや…」と尻込んでいたのですが、あれは私の幻覚だったのでしょうか。
ちなみに筆者は「小豚」、彼氏は「小」を頼みました。
店主っぽい人に「お姉さんが"小豚"で間違いないですか?」と確認されます。『ボリューム多いけど、大丈夫なんだな??』という意味が含まれていそうです。ここで筆者、早くも後悔し始めます。
マスク越しでも分かる店主の優しい微笑みに、「もう引き返せないところまで来ちまった…」のだと悟ります。
入店レポ③「囚人、食す」
そして遂に!!
ドン!!!
ドン!!ドン!!
どれほど心待ちにしていたことでしょう、この瞬間を……
この細めのもやしと控えめなキャベツ、その下に巣食う重量感のある麺とチャーシュー…!
まずはスープをひと口。
……ッんまいッ!!!!!!!
この世の「ジャンクフード」という言葉はこれを基準に作られたのではないかというほどの、脂・塩気・甘み。
ガツンと「旨い!!」が押し寄せてくる。まるで旨味の逆水平チョップ!
そして私が一番味わいたかったといっても過言では無い、厚切りほろほろチャーシュー…!
大きくて分厚いチャーシューがどぷんと浸かっているのですが、橋で簡単に切り崩せるほど本当に柔らかい。甘みが強くて贅沢なお味です。
「小豚選んで正解だったー!!」と勝利の笑みを浮かべます。この時は。
入店レポ④「伝説の時間無制限3本勝負」
全体の2割を食べ終えたころでしょうか。
素直に、キツい。
言葉では表現できない絶望が筆者の口内を、喉を、胃を襲います。
美味しいんです。本当に。
ですが、飲み込もうとすると脳内のラーメン審判が「3!2!!」とカウントをし始めるのです。
「1!!」を言われる前になんとか飲み込む、というギリギリの戦い方を何度も繰り返す筆者。その姿はさながらオカダ・カズチカvsケニー・オメガのIWGPヘビー級選手権、時間無制限3本勝負といったところでしょう。
iPhoneの"メモ"機能に「たすけて」と書いて彼氏に差し出し、店主の見ていない隙にチャーシューを食べてもらうというコソ泥みたいなことをしつつ、その後も食べ進めていきます。
入店レポ⑤「ケニー・オメガになれなかった女」
入店してから1時間くらいでしょうか。
周りでお客さんが変わるがわるラーメンを啜っては退店していく様子を横目に、筆者は「麺・チャーシュー・ニンニクの辛さ」に奮闘していました。
彼氏はいつの間にか完食していました。
モーガン・フリーマンに二言は無かったのです。
そして彼は私にマスクを差し出します。「もうここまでだ」という無言の合図です。
涙が出そうになりながら、さぞ真心を作って完成させてくれたであろうその一杯を、半分くらい残した状態で小さく謝罪を述べながらお返しし、店を後にしました。
なんと惨めなことか。
私はケニー・オメガにはなれなかったのだ。
オカダ・カズチカのように今後飛躍していけるか、その自信を持つ余裕はまだ私にはありませんでした。
まとめ「どんなに自信があっても少量から挑むべし」
結論。
どんなにムシャクシャしていて、一日何も食べていなかったとして、どんなに胃袋に自信があったとしても、絶対に少量から、トッピング無しの状態を頼むことをお勧めします。
小を選んでも麺の量は300gだとか。
それがスープを含んだらどんな魔物になるのか…想像は容易いことでしょう。
ただ、めちゃくちゃ悪魔的に旨い食べ物ではあることは補償するので、興味がありつつ胃袋に自信がない方は「麺少なめ・野菜マシ」をオーダーすることをお勧めします!
ケニーオメガにもなれず、オカダカズチカにもなれなかった筆者からは以上です。
どうか私のような失敗はなさらないよう、切に願っております。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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